366話:治癒と共に目覚める力
ヴラドヴァンプの試練を終えた俺達は、竜の背中に乗りボルカノの街に戻ってアルシェと会っていた。
「いやぁ~お疲れさ~ん。遠路はるばるから来てくれてありがとうねー」
ホカホカのコタツに潜り込んで卓上の上で顎をつきのんびりと、アルシェはのんきな言葉と共に俺達が連れてきたヴラドに対して挨拶をする。
『久しいの炎聖竜の末裔よ。竜人の姿は仮初めのものか?』
「いやいや、元からボクはこうだよ。そもそも昔に誓った彼の言葉に従って。普段はこうして隠居の身で毎日を過ごしてるんだよね~」
『隠居してもなお、お主がつがいと認めた勇者との約束を守り続けるとはの。メスの我としても羨む思いじゃ』
――改めてモンスター牧場経由でドラゴノイド・ヒューマンに変身させたら慌てたもんだよな。
すらっとした美形体系の長身に、白髪のロングヘアーから突き出てる竜の角と白い柔肌に血に染まった深紅の瞳と端正のとれたお姉さんの顔立ち。
衣服はサビの愛用している、何故か彼女と同様に似合うチャイナドレスの姿には艶やかな色香が漂っており。
「ところでヴラドやー。そのおしゃれなドレスはいいね~。とても似合ってると思うよ~。もしかすると頑張ればカリト君を堕とせちゃったりして~」
「冗談はよしてくれよ」
その言葉に対してヴラドヴァンプこと、改めてドラゴノイド・ヴラドは自分の身につけている服を興味津々に見回しつつ。
『うむ、着心地がよくて気に入った。今後もこの服を着用するか』
「でも、一着だけだと衛生的によくないから。カリト君につれて貰ってもう数着はかってもらいな~って思うんだよねぇ~」
「まぁ、来て早々でなにかと入り用だろうし手伝うぞ」
と話しかけると、ヴラドヴァンプは腰を横にずらし思案する仕草を取る。
『うむ、ならばカリトよ。お主の助力で我の生活に必要たるモノを集めていきたいと考えておる。よければ我とこれから一緒に行かぬか?』
「えっ、でもこれからレフィアさんを助けないと」
『それもある。何かと入り用だというわけだ。サポートを頼むぞ。お主の相方を救うためにも必要なものがあるのじゃよ』
――なら、彼女の言葉に付き従う事になるな。
「了解した。さあ、いくぞヴラド」
手を差し出し握手を求めると、ヴラドは大人の余裕を感じさせられる笑みで手を差し出してくみ交わしてきた。
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