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364話:百鬼龍ヴラドヴァンプからの試練 5

 ホワイエットの詠唱が始まる。


「天より穿つひじりの鉄槌。究極奥義『金色の破滅咆哮』の一撃をうけなさい!」

『迎え撃とう。その聖の力を我が闇の一撃で勝利を掴まん!』

「はぁああああああああああああああああ!!!!」


 指先に濃縮した聖属性の魔力で放たれる、天より降り注ぎし聖の咆哮がヴラドヴァンプに襲いかかる。


「この一撃が成功すればホワイエットの勝利が約束されている。さぁ、どうするんだ?」


 指先より放たれし聖なる破壊光線が前に迫るのを眺め、ヴラドヴァンプは何かのタイミングを見計らっている。


「いっけぇええええええええ!!!!」

『笑止、その程度の咆哮など。我の究極闇呪文を前にして何が後手捲りといえようか』

「なに?」


 ホワイエットの全力をあざ笑うなんて、俺には我慢ならなかった。


「なら俺もモンスターテイマーとしての矜持をみせつけてやる!」

『貴様は黙っていろ』


 ギロリと横目で視線を向けられた瞬間に、俺はいつのまにか地面でうつ伏せになって倒れていた。


「ご主人っ!?!?」

「かっ、構うな! いけぇえええええええ!!!!」


――お前ならこの試練を乗り切れる……っ!!


『地の奥底で眠りし太古の闇よ。我の粛清なる術を増幅せしたるが為に集え。究極闇呪文『デス・アルティメットバースト』!!!!』

「いかにも死にそうな破滅呪文だなっ!?」

『長年の役目で得てきたあらゆるモノの死の記憶で紡ぐ。いわば我が神より与えられし世界の救済を【死】で購う為に存在するような滅びの呪文じゃ』

「死は……刻にして……救済となる……か……」

『そうじゃ。死はありとあらゆる生命が歩んできた道路の終着地点。神が祈り望んで産みだしたこの生命の円環のシステムは。いわばありとあらゆる生命活動の中では最高位に達する理でもあるのじゃよ。さあ、幼きドラゴノイド・ホワイエットよ。我がこの反しの一撃で判らせてやろう……死の先にあるのは幸福である事を……!!!!』


――ホワイエット……生きてくれればそれでいい……!!!!


 地面を手でつかみ取り、自分の及ばない領域が展開されていることに悔しく感じた。

 それと共に、俺の中で他人にすがるような事でしか出来ない自分が嫌だった。


「ご主人に約束したんだぁあああああああ」

『約束?』


 地表より突き出て放たれていく群青色の破壊光線は、ホワイエットを確実に捉えており、もはや喋る合間もないのに、ふたりは会話を交わして何かを確かめ合っていた。


「あたしはこの戦いを勝利して。愛するご主人とキスをするっていう約束なんだぁああああああああ!!!!」

「ホワイエット……お前……」


 そして更に、ホワイエットは形の整ったつり目をより鋭くして話す。


「だからあたしは負けない。【聖なる愛】がある限り、あたしの力は。神様がいらっしゃる天界にも通ずる究極の正義を、あたしがその象徴としてあり続ける限り。あたしは聖天竜としての役目を果たし続ける!!!!」


――あぁ……そうか……俺は負けることで何かをなくすことに恐れて弱気になってたんだ……だったらやってやろうじゃないか……!!


「十二獣神技『神殺しの一撃:アルティメット・ティタニア』!!!!」


 ウーサの矢をつがえて、術を発動しているホワイエットに向けて狙い撃った。


『血迷ったか! 大人しく寝そべっていれば万事解決するはずだったのを自ら捨て去るとは!』

「捨て去る? 冗談じゃねぇっ!!」


ーー俺はホワイエットを撃ち落とす為に放ったんじゃない。


「ありがとうご主人……大好きっ!!!!」


 受けたバフ効果に酔いしれているのか、ホワイエットは片目をつぶり投げキッスを俺に返してくれた。

次回の更新日は12月30日です。よろしくお願いします。

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