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360話:百鬼龍ヴラドヴァンプからの試練

 とはいえ、と道中でヴラドヴァンプが俺達を背中に乗せてゆったりと空を飛びながら話しかけてくる。


「ん、どうした?」

『我も人の住まう領域に住む、もといい。しばしの滞在をさせて貰う事になるのだが。いかんせんお主達の話を聞いていると。我はどうやらお尋ね者のようじゃな』

「まあ、太古の王都を滅ぼしたと言い伝えられているからな」


 実際にアルシェさんの勧めで都市図書館に向かい、その場で保管されている太古の書物を手に取って下調べをしていた。


――どれも真実を語っているようだったな。嘘なんて思えない。


 そう言葉をヴラドヴァンプに返すと、俺の反応に思うことがあるのか少し間を開けて言葉を返してくる。


『そうとは限らんぞお主。確かに我は数多の人間を血肉に変えて屠ってきたが。どれも我の身振り手振りから察することもせず。我先へ手柄は我のモノなりと向かってきたモノばかりじゃった。時折、群を成して統率者が仲間をけしかけたりして仕掛けてきた事もあったの。こっちの挨拶を無視して殺しに掛かろうとするもんじゃから力でねじ伏せてやったわい』


 つまり、ヴラドヴァンプが太古から続けてきた殺戮には、自分の身を守る為の意味があった。


『やつらは全員血気盛んでの。竜聖の力で我の言葉を投げかけても無視されるしまつじゃった。なんていうか……我が人の言葉を喋る事に対して恐怖していたような……』

「いや、普通の人間なら。そうはなるだろう」


 俺の返す言葉に喉をならし返してくる。


――生きててモンスターが自分に喋りかけてきたらどうなるかなんて判りきった話だ。


『まあ、よい。既に屠りし者達を眠りから覚ますわけにもいかん。我が祖先より与えられし七賢竜の力は【死】を司る属性である【闇】の賢竜である。故に死に対しての匂いは敏感に感じ取れる。死に行くモノ達をやすらかな光の下へと送り届けてやるのが我の使命なのじゃ』


 難しい話だったが、俺にはよく分かる話でもあった。


――異世界に転生するときに死の意味を理解したんだよな。あの時の事はもう過去の時代と共に流れていったし気にはしていない。


「んで、本題に戻るぞ。これからヴラドヴァンプはどうするんだ? その、お前の竜の力で姿を変えられたりは出来ないのか?」


 俺と同等のスキルを持つモンスターならば出来るはずだと踏んでの問いかけである。


『残念ながら、我に与えられし力には聖竜の幼子がするような変身能力はなかったの』

「うーん、となると俺が手助けしてやれば良い感じか」

『それはありがたいのじゃが。どうやらお主にはアルシェから。炎の賢竜より試練を承っている身である』


――そんな試練なんて前もって聞いていないぞ。


「くわしく」

『その試練をお主が受けることで。我との間に盟友関係の構築が可能とか。つまり、この我を模擬戦で倒してみせろということじゃな』

次回の更新日は今週の金曜日になります。よろしくお願いします。

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