358話:百鬼龍ヴラドヴァンプ その3
ヴラドヴァンプの身体的な特徴は、古代の文献に残されており。
「いいか。ヴラドヴァンプの第一印象はドラキュラ伯爵を彷彿させるような体つきと出で立ちが特徴的だ」
「ほうほう、それでそれで?」
城門の先は猟場。つまりヴラドヴァンプが住まう居城で、たちまち入れば即座に狩猟開始となる。
「服を着ているように見せているのか。翼で身体を包み込むようにして収めているらしい」
「おしゃれなドラゴンなんだね。凄い!」
「ああ、んで来客が着たら二本足で立つようにして翼を閉じたまま挨拶に向かうために歩み寄ってくる。そこでヴラドヴァンプは来訪者の値踏みをするように隻眼の視線を向けるんだ」
「この人はお友達になれるのかなって考えるんだね!」
「ははっ、だといいんだけれどな。問題はその視線が餌として適した相手なのかという思考で視てくるんだよ」
「そうじゃなかったら?」
「アルシェさんの情報だと、そっぽを向いて興味をなくしたかと思えば寝床に戻って眠り始めるんだと」
まあ、社交的な側面もあるドラゴンのようで、アルシェさんは手出しはしない方が良いと勧めてはいた。
――だが、事は急を要するんだよ。と、言葉を返したら。
『じゃあ、君は残念ながら奴の血肉となるね。そうやって怖じ気づくなと果敢に戦いに挑んだ将軍が率いる部隊は。ヴラドヴァンプの機嫌を損ねて目の前で串刺しの処刑技で全滅したんだよ。その後の事はさっき話したように奴の血肉となってしまったんだよね~』
バカだよと言葉を添えて、アルシェさんは遠い記憶に思い馳せて頬杖を立てていた。
それから俺はホワイエットに事前の心構えとして、これから相手をするモンスターの特徴の説明を終えた。
「よし、武器のチェックも終わった事だし。ホワイエットも武器の調整はうまく出来そうか?」
「大丈夫だよー。ホワイエットはこの武器と変身して戦えばいいから平気!」
ホワイエットが見せてくる、カミルさんが開発した新武器『ホワイトバースト』の威力は如何ほどなのだろうか。
――まあ、試射の際は白い破壊光線を照射するやべー武器だったな。用意されていた的が全部消失するレベルでやばかった。
次回の更新は明日になります。よろしくお願いします。
 




