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348話:偵察任務

 後日。疲れた体をアジトで過ごして癒やした後に。


「今からカリト君には偵察任務をしてもらいたい。場所はボルカノにある中流階級の住人が利用しているという商業施設だ」


 室長から俺に直々に任務が言い渡された。商業施設なんかに偵察任務だなんてどういうことだろうか?


「別に気分転換には良さそうな任務ですね。上手い飯とかお土産とか買って帰ってきますね」

「いいね。君のそういう度胸のある冗談は。嫌いじゃないよ」

「あ、真面目な話でしたか。すみません」

「いいさ。たまにはそうやって冗談交じりの会話をするのも精神的にはいい作用にはなる」


 真面目な話ばかりだとつまらないと言いたいのか? 手を前で組んで机に肘から載せた姿勢で室長が見つめてくるものだから。


「室長の場合は立場もあると思うので程ほどにさせてもらいますね。それで任務ってなにをすればいいんですか?」


 肝心の中身を聞きたい。


「魔人が居たと市民から通報があったんだ」

「…………それで?」


 状況が変わった。買い物とかしている場合じゃない。


「誤報の可能性も視野にはあった。しかし事が事だから一般の衛兵を送り込んでの捜査は難しくてね」

「ラパンとビリームの事もあるので行くしかないですよね」

「君に縁がある魔人達の活動報告については既に記録に残してあるから後でも気になったら読むと良い。あまりいい読み物ではないのは理解しておくように」

「理解も何も。不快に思いながら読むしかないと思います」

「……」


 ってやりとりして本題が脱線する。自分は室長の話の腰を折るのが得意かもしれない。って思いながら室長が目頭を指で押し当てる仕草をしているので。


「とりあえず任務については。なんか魔人が商業施設に紛れて潜伏ですか? そんな不届きな事をして悪さをしているという目撃情報があったので。それに対する偵察任務をしてこいって言うことですね????」

「ああ。そうだね」


 と、落ち着いた言葉で返してくるので。


「了解です。では単独で任務に向かいますので帰りのタクシー頼みますね」


 って言っておいて背を向けて室長室を出ようとしたら。後ろから、


「君ひとりでは行かせないよ」

「あ、はい」

「分かっているだろうけれど。君。魔人の間でお尋ね者として目をつけられている事を忘れてないよね????」

「あー、なんか人気者になって困っているところなんですよね。自分の借りてる牧場とか知っている人間に会うことできないじゃないですか。行こうと思ったらお付きの人間いるって言われて行けないし」

「そうだね。でないと命がいくつあっても足りない事になるからね」

「ですよねって言いたいところですが。良い機会なので発言よろしいでしょうか?」

「許可する」

「俺。そろそろ息子とリリィに会いたいです」

「却下する」

「…………」

「そう君がまじまじと断られて睨んだとしても。言葉は変わらないから諦めなさい」

「……残念だ」


 家族と過ごせる貴重な時間を刻々と失っているんだ。そんな気持ちや要望さえ断られるだなんて。組織って本当に融通が利かないな。


「ちなみに。今回はレフィアと同行してもらうことになる。代わりとはなんだが。商業施設の割引券をプレゼントしておくよ」

「そんな事で靡く俺じゃないですよ」


 と、本当にチケットを渡してきたので言ってやった。表面には『ショップ購入割引10パーセント還元』と書いてあって。


「そう言いながら私に歩み寄って受け取る君はどうなんだい?」

「も、もらえる物なら人間って普通に手に取るっしょっ!?」

「ふーん」


 と目を細くして顔色を伺ってくる室長にたじろいでしまう。


「じゃあ行ってくるわ! レフィアさんとデートしてきます!」

「ふふ。その言葉をリリィが聞いたらどんな病んだ顔をするんだろうね……ふふ」


 性格悪すぎるだろ室長。


次回の更新は8月19日です。よろしくお願いします。

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