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346話:夜戦ドクトリン 4

【アップデート】全体的な文章の誤字脱字などの修正を行いました。

『さすがだ兄弟。この俺様にゲリラ戦術を仕掛けてくるとは大した度胸だ』

「わざわざそちらから無線通信を送るとは。よほどお気に召したご様子だと心中お察しいたします」


 言い終わった後にクスッと笑みがこぼれてしまう。無線越しに伝わってくるロッソさんの苛立ちがよく分かるな。罠は成功したと確信した。あとは相手が降伏を宣言するか、意識を失ってその場で俺に死亡確認(ゲーム上での呼び方)をとられて負けるかのどちらかだ。ちなみにこのやりとりをする前の十分前には麻酔剤入りの銃弾を用いた先制狙撃が成功しており。あと少し位でロッソさんの体中にはノックピストン方式の注射針弾頭で打ち込まれた麻酔薬が全体に回りきって、想像どおりの展開になるだろう。


『ふふふふ、ふははははははっ!!!!!』


 豪快な笑い声がヘッドセット越しに聞こえてくる。何がおかしくて笑えるのかがよく分からないが。


『俺は麻酔を投与されると一時的に脳が覚醒状態に入る。つまり貴様のおかげでこのロッソは真の姿でお前と対等に渡り合えるようになった。この意味を理解できるか兄弟?』

「…………」


 やばい、やばいやばいやばいやばい……って!?!?!?――どういうことだよそれっ!?!? 


「大型のモンスターでも倒れて少しの間は眠るとも言われる専用の麻酔薬ですよ???? それを投与されたっていう理由で覚醒状態に目覚めるって意味分からねぇよっ!?!?!?」


 頭が混乱の感情でいっぱいとなって、少しでもと思っても出来ないほど。


「くっ、予想外の事態だ……っ! このままじゃ、こちらの対勢有利が覆されてしまうぞ!」

『ははっ、兄弟。その口ぶりからお前の焦りがよーく分かるぞ。お前にも秘密が沢山あるように。俺にも人には言えない隠された秘密があるんだよ』

「ロッソさんみたいな人に隠し事があるだなんて想いもしませんでしたよ……」


 苦笑いを浮かべつつ言葉を返していく。果たしてロッソ兄さんにある秘密とは一体……?


『少しお前を倒す前に短い昔話をしてやろう』

「どうぞ……」

『俺はとある理由で超人的な力を得ることになった』

「なんとなく察しはつきます。格好いいからですよね?」


 と、冗談交じりに言い返すと。


『ダメだな兄弟。俺が見込んだ兄弟としての深読み。いや、話のオチというものを理解してない。バットラックだな』


 キャラの変わりすぎで本当にロッソさんなのかと疑う。だが、聞こえてくる声はまるで別の……それこそ重厚感のある渋い声色で俺に話しかけている別人物だ。


『俺はある超人的な力を得た。だが、その代償としてこの人格が生まれ出た。そして内に眠り変わるようにして入れ替わり。こうしてお前と話をしている。つまりは貴様とは初めましてでもあるぞ兄弟』

「ふぅ……勘弁してくれよ。中二病はもうこりごりだ……」

『あん、中二病だと? この俺が病気とでも言いたいのか?』

「………。いいや、ただの独り言ですよ兄さん」


 こんな人とどう戦えって言うんですかレフィアさん。あなた、彼がこうであると知っていた上で俺という駒をぶつけさせたのですか?


『まあいい。所詮お前も秘密を抱えて生きている立場の人間だ。俺は鼻が良く利く。俺とお前は似たような境遇を持つ人間であると分かるんだ』

「相互理解してどうするんですか? 今は訓練。サバイバルゲームの途中ですよ」

『まあな。残念だがこの主人格。どうやら先のゲリラ戦術で身の程を知ったとほざく。力を手にしてこのザマだ。実に情けない』

「本人が降伏してるなら負けを認めるべきじゃないです?」

『甘いな。俺と主人格は一心同体だ。どちらかが拒否をすれば意見は成立しないと制約をかけている。そうでなければ互いのメンタルバランスの均衡が危うくなり。最悪の状況を考えれば分かるだろ?』


 そう俺に話を振りかけられても困る。


「あいにくだが俺とロッソさんに頭の中身は別物なんでね」

『それもそうだ。この口を借りていうまでもない事が起こる。ともかくだ兄弟』


 と立て続けに喋ったかと思えば。


『俺は貴様に勝負を申し込む。制限時間は10分。この人格が主人格に居られるまでの制限時間だ。それ以上はない。どちらかが地面に伏して負けを認めるか。俺は貴様と正面を向き合った拳と拳で語り合う勝負がしたいのだ!』



 結論として麻酔薬をトリガーに。ロッソさんの精神の中で眠る超人的な力を引き立てている別人格が目を醒ますことになってしまった。


『今から言う座標に来い。さもなければこの場に仕掛けた時限爆弾が起爆し。俺と主人格は共に死ぬぞ』

「なんだと!?」

『冗談を言ったつもりはない。俺はいつも大真面目に話す。信じられないなら来い。そこで見てみろ。俺が用意した最高のコロシアムを!』


 ロッソさんの体を好き勝手に使って滅茶苦茶な事をしやがるなこの……。


「……お前。名前は?」

『名前などない。お前もそうだろ?』


 メタいことを言ってくれるじゃないか。まあいい。いつも通りでいいか。


「わかった。そう人質を取られたら動かざるを得ない。いまからそちらに向かうから座標を教えろ」


 と言い渡して聞き、現地に赴くことにした。

超人覚醒状態のロッソVS異世界転生者・サトナカカリトによるバトルが始まろうとしていた。なんかこんなシチュエーションを妄想していつか書いてみたいなって思っていたことを思い出して書いた次第です。


次回の更新時間は8月17日午前0時ころです。よろしくお願いします。


「ご機嫌ようご主人様。ご主人様の僕のサビでございます。久しゅうございます。この溢れんばかりの気持ちを代弁したいっと作者様にお願いをいたしまして馳せ参じた次第でございます!」

「いいなーサビ。私も出番なくて喋りたかったんだー」

「茶々はよしてちょうだい。私もようやくお仕事がもらえて喋っているところですの。こほん。えと、台本は……。ご主人様の活躍を描いた物語であるこの作品が少しでも面白いと思って頂けたら是非とも。作品に対するいいねやブックマーク並びに感想などの書き込み。一同を代表して心からお待ちしております。今後の作品製作には欠かせない要素となっていると認識をしており。ご協力のほど……いえ。ここはお気持ちでもかまいませんがよろしくお願いします。台本になかった事喋ってもよろしかったのでしょうか……?」

「おう、よろしくなご主人!」

「あぅう……久しぶりです……」

「ホワイエットも言ってやれって」

「うん……。えと、その。私たちもそろそろお家から出て沢山の楽しいことをしたいから。どうぞよろしくお願いします……はぅぅ!」

「あとで私と一緒に遊びましょうねホワイエットちゃん! 今日は何して遊ぶ????」

「って、出たよ。サビの甘やかし。まあ、これからもご主人。距離は離れててもずっと心は一緒だから。よろしくな」

「よろしくねー♥」

「誰だこの姉ちゃん」「お姉ちゃん誰????」「どちらさま……?」

「うふふ、ひ・み・つ♥」


 といいつつ謎のお姉さんはクールに去って行くのでした。

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