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345話:夜戦ドクトリン 3

【アップデート】文章の言い回しや不備などを見返して改稿作業を実施。主に修正箇所は文章後半となります。お時間があるときにでも読み返して頂けるとうれしいです。



【お詫び】341話~345話の話数の割り振りを間違えておりました。現在修正が終わり、正常な話数の割り振りとなっております。ご迷惑をおかけしました。


作品の更新時間を12時とおしらせしておりましたが、誤入力でお伝えしてしまいました。

 ただしくは0時です。誠に申し訳ありませんでした。以降注意させて頂きます。

「あぁーっ。だめだ。耳鳴りが治まらない」


 ロッソさんと出くわしたビルから遠くに離れていく。足取りをつかまれないように。念入りに足跡や痕跡をゴチャゴチャとしたものに仕立て上げたりと。これまで体で覚えてきた技術や知見を活かした妨害行為を行い、安全圏に入る事で、再び背後からの襲撃を回避する事に成功した。当面はまた同じ目には遭わないだろう。

 だが、その引き換えといった感じに耳の不調を持つことになり。


「眼もチカチカすんな……」


 その場しのぎだったかもしれない。だが、あれ以外でロッソさんに背後をとられて逃げ出す事ができるのはあの手段だけだったと思う。思い返せばその後の代償に感しては考えてなかった。


「体を休めるといいが。今はゲーム中だ。寝込みを襲われたら一巻の終わりだし」


 寝ればある程度は体調を整えることができる。ただ相手がそれを許してくれるはずはない。相手も素人じゃない。殺しの手を磨き上げたプロだ。逃げ出したターゲットを地の果てまで追いかけて確実に命を刈り上げる。まるで死に神のように。


「とはいえ兄さんがそこまでやるとは思えねぇな……」


 あの人はそうだ。気乗りしないって思ったらやらない。だが。


「やる気になった時の兄さんは怖いよな」


 っていう極端な感じの気分屋なロッソさんを相手するのには。


「こうなったら徹底的にやる気を削ぐような戦い方を重点的にやって事を進めていこう」


 具体的にはまあいろんな方法で戦意喪失を狙って。それに気づかれないように動きながら勝ちを狙っていくのがセオリーだろう。こちら側は狩られる側。相手は鬼である狩る側。ならば。


「散発的な襲撃を等間隔に行って。規則性も混ぜながら襲撃してすぐに身を引くゲリラ戦で抗戦していこう」


 追いかけられる側が追う側に対してとれる代表的な戦術ドクトリンがある。

 『ゲリラ戦術』と呼ばれている戦技法だ。

 ごく少数の組織で大所帯に群をなす軍隊を相手によく使われる戦い方だ。

 この戦い方を採用し、二度にわたる過去の戦争で大きな痛手となり、軍を悩ませるまでに発展。一度目は大国側が勝利し。二度目は政治的な思想と共に敗北を味わうことになり。最終的には首都決戦にまで持ち込まれて敗北を喫することになった。

 前世界のアメリカではゲリラによる電撃戦により大きく悩まされた経験があった。ベトナムでの戦争後に米軍が関与する際に、事前に徹底した対ゲリラ戦術を多く編み出すなどをして、出兵する兵士の教育をしたという逸話がある。

 そうまでさせるほどに、この戦い方は最適解だ。負けるとすれば自身の慢心と、ほんの少しの不運が自身に降りかかるときだろう。このゲーム、勝つしかない。


「道中に。いや区画ごとにトラップを仕掛けてみようか」


 建物全体をひとつの罠屋敷に見立てて敷設していき。敷設に関しても散発的な配置でもって徹底とした施し方をするべきだろう。なお、死傷者を出す爆発物は仕様が禁じられているっていうか。アイテムの配置を見てきたが。そんなモノなんてなく。せいぜいでいうなら睡眠剤だけっていう調合を前提とするアイテムくらいだ。睡眠=死という判定で勝負を決めるっていう感じになるか。もちろん気絶でも同じ事が言える。


「んと、じゃあここまでで集めてきた材料を使って銃でも使える弾薬とかをスキルで調合していこう」


 こうして俺の戦い方で盤面を返す番が回ってきた。

次回の更新時間は8月16日午前0時です。よろしくお願いします。


この作品が少しでも面白いと思って頂けたら是非。いいねやブックマーク並びに感想などの書き込み。心からお待ちしております。今後の作品製作には欠かせない要素となっていると認識をしており。ご協力のほど。お気持ちでもかまいませんがよろしくお願いします。

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