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332話:神の名を拝する伝説上の武器について

――数日後。ボルカノにあるハンターズギルドの本部施設建物内。三階ギルド長執務室。


「さてさて先日はご苦労様だ。辛くも狩猟に成功した事をどう言えば君が喜ぶか。あれこれ考えてみたんだけれど」

「なんだ? 俺がライオスオーガを討伐した事で嫌みが言いたいのかよ?」

「あぁ、いやそうはならないよ。素直に驚いたかな。あんな暴れ猿をよく倒せたねって。あれでも通常個体なら最古参クラスのハンターでないと依頼を出さないモンスターだ。それがなんとも不可思議な理由で異常個体として人間の生活圏に出没して今回の被害を起こしたわけだ。前述したとおりのハンターたちが大勢で引き連れてクランを結成してでも討伐は数日かかるはずだった。学術ギルドからはそのような結論が封書で届いたからね」


 そんなクソ化け物に俺は狩りを挑んだわけか……。信じがたい話だが。


「正直……。少しのミスを出したところでケアをしてでも無理だったかもしれない」


 あんな苛烈な攻撃を仕掛けてきた相手だったんだ。破壊光線に豪腕で大地をえぐり取って俺に振り回して襲ってきたんだ。並の人が受けたら数秒も持たない。


「うん。とりあえず君とルドガーくんがタッグを組んで連携をとりつつでの狩猟が君の生還を果たした。そう僕は記憶にとどめておくよ」

「やっぱ周囲の奴らはまだ。俺と相方のモンスターで狩猟をしていることを良いように思ってはいないのか」


 職業柄になるが人づてで何度も耳にしている。そんな評価を出している奴らは何なんだよ本当によ。


「仕方がないよ。10人がここにいて全員が君のやっている狩猟法を受け入れられるかって聞いたとして。必ず数人はおまえのやり方は間違っているって言うよ。だってそれが人間なんだよ」


 ふと、彼女の目がすっと細くなったのを見逃さなかった。同時に彼女の瞳から遠い昔の思い出を思い出したかのような……。どこか寂しそうな目つきをしていた。


「モンスターと共存できている以上。俺は彼女たちと共に狩りをし続ける。他人の都合で彼女たちの生殺与奪を委ねるつもりはない。させることもしないぞ」

「それでいい。君がそう誇示し続けてくれればいずれ全員が理解を示してくれるはずだ。そのままのカリト君でいてね。ボクも昔その言葉で救われたひとりだ。君に今言った言葉をおくるよ」

「感謝するアルシェ」


 お互いに微笑みを浮かべて頷く。これでいいんだと。


「さて、話題を少し替えさせてもらうね。今回の本題と言うべきだ」

「なんだ?」

「君が新たに所有した狩猟弓の事だ」

「ウーサがどうした? ギルドには狩猟用弓で登録しただろ? 申請書類に不備でもあったのか?」

「ううん。そうじゃない。君が言っていた神弓『ウーサ』。ボクも久しく聞いた名前だったから思い出せなかったよ」

「知ってたのか?」

「というよりもその弓は初代のモンスターテイマー。厳密にいえばその力を受け継いだ継承者が持っていた弓だね」

「継承者? どういうことだ? 俺で3代目なんだろ?」

「正式にはそうだね。でも非公式にはざっと12人いた。彼ら彼女たちは初代モンスターテイマーとゆかりのある人物たちで構成されるメンバーでね」

「……」


 12のモンスターテイマーの継承者がいた。その言葉に何かしらの因縁と言うべきか。つながりをとても強く感じるのはなぜだ……?


「十二獣。英雄たちはそう呼ばれた人物たちだ。そして君が手にしたウーサはその十二獣の1人である神弓の英雄。アステリアが所有していた狩猟具だよ」


 語り部から聞かされていたその少女の名前がアステリア。どんな意味が込められているのだろう?


「アステリア。どんな意味がある?」

「現地の言葉でうららかなという意味だよ。実際に彼女はとても澄んだ心をもつ女性だった」

「見知った感じで話してるが知り合いだったのか?」

「相棒と一緒にアステリアが住む村に訪れる機会があった。彼女が住む村は貧しくてね。満足な生活が送れない村人たちであふれていたんだ」

「どうしてそんな事が……」

「原因はわかるだろ」

「モンスターによる獣害か」

「うん。その村は元々はね。作物の豊作が約束された穀倉地帯だったの。でもある時、突如飛来した古代級のモンスターが自身の縄張りとして居座ってしまってね。これがまたやっかいな場所に巣をつくってしまった」

「まさか……村の近辺じゃないだろうな?」

「ご想像の通りだね。隠密龍カメレオックスは大のベジタリアン。人間たちが丹精込めて育て上げた作物がどうもお気に召したようでね」

「なんとなく想像できるよアルシェ」

「ええ。収入源を絶たれてしまった村は突如として困窮に陥ってしまった。王政府も貴族を介して領主に救援物資や討伐隊を派遣する名を出したけれど。相手は古代級。それも人間よりもはるか太古からこの地に根付いて生活してきたモンスター。カメレオックスはその生態的な理由もあって情報はほぼ皆無に等しくてどう倒すか。あるいは追い出すかで難航してね。それでボクと相棒にお鉢が回ってきて。創設したてのハンターズギルドの最初の仕事がそいつの討伐だったのさ」

「それでアステリアとなんの因果関係が……」


 話は面白いんだけどなぁ……。


「うん。アステリアは村のためにハンターになりたいと私たちに申し出たのがきっかけかな」

気づいたら総PVが56万いきそうです! 

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