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329話:狂乱神奮の権化 ライオスオーガ 3

 ライオスオーガからみて3時の方角に陣取った。


「ルドガー。狙撃の配置についた。いつでも援護できるぞ!!」

『がう。わかった! ご主人の援護に期待してる!! ルドガー。この剛獣と対峙して引きつけるから。強者の急所を狙って撃つの!』


――頭部を狙ってうつべきか? いや、あの凶暴なデカゴリラの頭から突き出てる曲線状で太い羊の角。いや、悪魔の角を貫けるような矢があるか……?


 安定翼付き高性能貫徹徹甲矢サボットアローを駆使して貫通に……。


「モノは試しだ。いま考えてたって拉致があかないか」


 あまり深く考えすぎて時間を無駄遣いするのもよくないと判断しよう。俺は神弓ウーサにテンションをかけて保持させてたままの爆裂矢を所定の要領でロックを安全に解除し。※緊急時はモンスターに矢を放ってロックを解除するやり方も考えてある。腰元の矢筒にあるサボットアロー数本を手の感覚で取り出してチェンジした。矢の種類はいろいろと用意してある。なので名前を覚えづらいこともあるが、まだこのウーサもといい機械式の弓が試作段階なこともあって、いろんなアイデアの元で編み出された矢を使い回しながら、このウーサに適した弓矢を模索している。


「サボットはその弾道の特性上。スタビライザーをつけてるからかなりの超射程で狙撃する事ができる」


 横風や重力に関係なく。サボットアローは安定翼の影響で横に回転しながら直線を描いて飛ぶ。そしてその物理的な作用もあって、的に被弾した際にはドリルのように物体を貫いてターゲットにダメージを与える。矢は着弾したと共に変形していき、ターゲットの体内を大きく傷つけるように設計されていると聞く。


「ウーサの照準器の調整よし」


 左手でもつ感じで構えるのでその手の親指を使ってウーサに取り付けられた照準器のダイヤルをグリグリと横軸で動くので、それを使って着弾位置をより高精度にするためにセッティングを行っていく。こんかいは有効射程を意識して200メートルに設定しておこう。ライオスオーガが肉薄して近接戦闘に持ち込まれたときも事も想定しての考えがある。200から最小値の50メートルにグリグリと指を動かせる事ができるようにしたいからな。


 神弓ウーサ。古代の伝承と現代の狩猟武具の技術が融合した新たな武器。いま、その性能を見せてやるよライオスオーガ。


「ルドガー。狙撃を開始する。間違って被弾するなよ!」

『がう!』


 ルドガーは依然としてライオスオーガと激しいにらみ合いと威嚇を繰り返し。互いに間合いを詰められないようにじりじりとして足を動かしている。ライオスオーガが気が散らないように。背後からなにかやられてると思わせないような狩猟の工夫が必要だな。あえてつり上げてルドガーに仕留めさせる方法もあるが考えておこう。


「…………ふぅ」


 呼吸を整える。弦を引いて矢を引き絞る。引きの段階でその威力をますように設計がなされているとカミルさんか聞かされてる。過貫通による威力半減を防ぐためらしい。ただ貫くだけじゃ矢の無駄遣いになるのか。学びだな。


「(いまだ!)」


 全身に震えを出さない姿勢をとって弓から矢を解き放つ。


――ヒュィン!!


――ガァアッ!?!?!?


「命中。右上腕部に被弾を確認。次射にとりかかる」

『お見事だご主人。すぐにかかる!』


 俺の狙撃の命中を合図といわんばかりにルドガーが。痛む腕を押さえて藻掻き苦しんでダウンしているライオスオーガに対し、さっと跳躍して覆い被さる形でマウントをとる。それを見届けてすかさず弓をつがえて引き絞り狙いを定める。今度はやつの頭部だ。


「ルドガー。そこから離れろ。頭部を狙う。おまえの頭に被弾させたくない」

『がう』


 風の加護で被弾しないと一瞬だけ彼女の心の声が感情共有の力で聞いてしまったがスルー。何事も過信はしてはならないとミステルさんからは教えられてるしな。


 そして。


「狙い撃つぜ!!!!」

『がう!』


 俺の合図と共にマウントをとっていたルドガーがそのばから立ち退く。


――ヒュィン!!


 空を切り裂く矢の音と共にサボットアローがライオスオーガの頭部にめがけて飛んだ。


そして体感的に約2秒ほどの間が開いて。サボットアローは。


――ガァ!!!!


「なっ、嘘だろ?!?!」


 正確に頭部を狙って撃ちはなったサボットアローは。ライオスオーガが持ち前の強引さと天性の才覚と生存本能つまり。


「気配で矢が飛んでくると気づいて」


 『勘』で飛来してきたサボットアローを。損傷を負ったはずの右手でガシッとつかみ取ってしまったのだ。二足歩行の姿勢で立ち上がって雄叫びをあげて、ゴリラのような。激しくも絶対強者を感じさせられる雄々しいドラミングでもって。目に見えてぬ俺に向かい激昂の意を示してきた。


――狩猟者よ。この程度で俺を倒せると思ってたのか?


「……」


 その出で立ちと共に発せられている煉獄のオーラを纏う逆立つ毛並みに、地獄の獅子を彷彿させられて思わずぞぞっと背筋が凍つく。


――隠れてこそこそと俺を狙って倒さなきゃ勝てないとみた。ならば。この俺が貴様の目の前に現れてやろう。覚悟してろ。


「まずい。殺される……逃げなきゃ……」

『ご主人。気をしっかりもってお願い!!』


 恐怖と焦りと先の事で頭がいっぱいになってまともな思考ができない。どうするんだ。いまからかくれんぼ。見つかったら死だ……。

もしこの作品を『面白い』と思って頂けたり、『続きが気になる』と思って頂けたならぜひ広告下にある『☆☆☆☆☆』の所を押して頂きますようお願い申し上げます。今後の作品制作の励みになります。

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