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323話:討伐クエスト『岩場にて暴れし邪鬼を滅せよ』4

「これはひどいって……」


 岩場の狩猟環境は最悪だった。獣道を歩けば側にモンスターの死体が無残な形で放置されていた。誰がやったのかなんて、人間の技ではないと分かった時点で俺でも理解できる。そして俺のそばで、モンスターの姿で片時も離れずに地面の匂いを鼻で嗅ぎ分けて歩くルドガーも理解したようだ。


「邪悪なにおいのするヤツがいる。これは危険」

「邪悪なにおい?」


 それは俺でも分からないな。


「がう。すごく黒くて臭いにおいがしてる。もう地面を嗅いでもわからないけど」


 かすかに残るフェロモンで判別しているのか。ただ、その傍らで並んでいるモンスターの遺骸とはなにか因果関係があるのかわからないな。


「……確証はないが。奴はこの生存競争の頂点に立とうとして無差別にいろんなモンスター達を手当たり次第に縄張り争いを仕掛けているのかもしれんな」

「目的はたぶん。俺が一番つよいぞと力を誇示してアピールしたいんだと思う。相手が死んでいるのにそれをわかってないのかもね」

「そんなの独りよがりの可哀そうな奴じゃないか」


 そんなことしても誰も見てくれていないのにする意味はないじゃないか。だがそれでも力を誇示しなければならない理由があるんだろう。きっと。


「ともかく。このまま人間の生活圏になっているこの猟場の平穏を取り戻さなければならないな……。ライオスオーガがどうしてここに訪れたのかはわからない。放浪の末にたどり着いた場所なのかもしれんが。いくらなんでもやりすぎているって思わないのかな……」

「ご主人。もしかするとそれもわからないくらいにそのライオスオーガは乱れているのかも」

「錯乱状態になって暴れているといいたいのかルドガー?」

「がう。怒っているのかも」

「怒りの元になっている。というより錯乱とかそういった感情的に収まらない状態になってしまった原因がわからないと何とも言えない」


 かといってこのまま目的のモンスターを見つけて戦闘に挑んでもなぁ……。命がいくつあっても足りないか……。激昂のモンスターなんて、普通の狩猟とは勝手が違うしな。


「そういえば近隣の村の人たちはどうしているんだ?」

「アルシェがいってた。モンスターが出た時点で全員。遠い村の方に移動して避難したって」

「そりゃそうなるか……」


 下手にモンスターに襲われれば最悪村が滅ぶからだ。それをわかって避難をした。いい心がけだと思う。それをしなかったが為に町が滅んだという話もあるしな。甘く見積もってはいけないっていうし。


「ご主人。悩むのはいいけど。相手を放っておくとさらにほかの。ここで長く住んできたモンスター達の数が少なくなるよ」


 頭数の減少が原因ですべてのモンスターの絶滅の危機に直結していくことになる。ルドガーが焦る気持ちもわかる。


「とりあえず策を練るぞ。罠の準備や相手の耐性次第では状態異常を付与する毒矢を用意しようか」

「矢の準備はまかせて」

「じゃあ素材を集めてほしい。この場でとれるもの全部でいけるなら」

「がう。じゃあせっこうもついでにしてくる」

「おう」


 彼女がさっそうと駆け出すと同時に手を振って彼女の無事を祈った。

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