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322話:討伐クエスト『岩場にて暴れし邪鬼を滅せよ』3

「どうやら撒いたみたいだな」


 安全地帯まで逃げ切ることができた。そして今はあいつの見ていたヴィジョンを思い出す。


「あの黒い影に見える赤く鋭い視線……恐ろしい存在に見えたんだな…」


 グランドドラゴンが見ていた恐怖の存在と対峙する瞬間のヴィジョン。黒く揺らめく焔に赤く見つめてくる視線。我を邪魔するものは何ぞやと言わんとばかりに注がれる怪奇でおぞましい視線にためらいを感じさせる感情を抱く。


「お前の見ていた視線はそう思わせる程の恐怖体験だったんだな」


 本当は諫めたかった。モンスターテイマーとしての資質が問われる瞬間だっと振り返る。俺はあいつに危害を加える、もといい。自己防衛のためには致し方無い状況だった。武器を取って殺しあう。あいつに傷を負わせることをしてしまった事に申し訳なさを感じている。


「この岩場の平穏。お前の代わりに俺が取り戻してやるから」


 怒りに我を忘れて本能のままに俺を襲ってきたあいつには、俺の言葉は通じてなかったのでここで言っているだけにしておくか。とりあえずベースキャンプに戻って支度をしなければ。


――数分後。


「戻ったぞ。って、俺一人だけだったな」


 キャンプの設営はすべてじーさんがやってくれていたみたいだ。


 中央の焚火のそばでゴロンと猫みたいに寝転がって眠りこけてるルドガーも気持ちよさそうに寝息を立ててるな。えっ、ルドガーぁっ!?!?!?


「ふぅ……にゃぁ……んんっ……? ふぁ……あぁご主人だ。おかえりー。つよいやつ倒せたか?」

「なんで……ルドガーが……?」

「ついてきた」

「い、いやみたらわかるって……」


 どうして狩服『ルドガーの着ぐるみ』を纏った彼女がここにいるんだよ……????


 そう非常に戸惑っているとルドガーがのそっと起き上がり焚火から離れて俺の下により。ギュッと抱きしめて顔をうずめてきた。俺の体の感触を肌で確かめるようにあちこち体を摺り寄せ来ている。


「アルシェに頼まれた。狩はお前がする。でも私も一緒にする」

「アルシェに何を言われたんだ。詳しく教えてくれよ」

「ごめんなさい。人との言葉をうまく話せないから伝わらないと思う。だからそういってアルシェにこれ書けって言ってやった」


 アルシェに命令することのできるだなんてルドガー。何者なんだよおま。とはいえ彼女がポケットから取り出してきた用紙を受け取って開いて文面の内容を確認する。


「…………」


 やはりアルシェがこのクエストをかき乱そうと茶々を入れてきたようだ。おまけに狩猟経験の乏しいルドガーを連れて行かせて俺にライオスオーガを狩猟せよと。冗談は街の中での酒場にしておけばいいものを……やってくれたな……。


 持っている用紙に力が入ってしまった。用紙がびりっと避けてルドガーがちょっとびくっと驚いてしまった。


「すまん。俺の感情が抑えきれなかった」

「がう。ちょっとオスの怒る目をしてたのみてたからわかる。アルシェは私より若輩者だ。ご主人を怒らせて楽しんでいる大馬鹿な愚か者だ。同じ人の伝説にうたわれている獣と竜。帰ったらしっかりと怒ろう」


 いま伝説の獣と竜だと? いや、いまは刻々と過ぎていく狩猟時間に追いつかなければならない。俺はルドガーに状況を説明してライオスオーガがいると思われるエリアへと、彼女の力を借りて疾風迅雷のごとき速さで直行した。

次回の更新は8月5日です。よろしくお願いいたします。

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