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321話:討伐クエスト『岩場にて暴れし邪鬼を滅せよ』3

グランドドラゴン。この岩場の環境を整える立役者としてよく知られている大型モンスターだ。


 その生態について、岩山に窪地があれば、そこはグランドドラゴンが荒れる大地を整地した跡として調査院の記録に残されるくらいに知られる存在で。事実。このモンスターが岩場の大地を地ならしすることによって、他のモンスター達は安息地として利用したり、狩の広場として獲物を追う肉食モンスター達の躍動する姿がウオッチングできたりすることで、ハンター同伴の下でガイドツアーが設けられることもある。


 そんなグランドドラゴンが怒り狂う理由はいたってシンプルで。


「ライオスオーガに対してキレてるんだな」


――グオォオオオオオオオオオオオオ!!!!


 ロックブレスが俺に向かって放たれる。それをさっと大きくダイビングジャンプでよけてさっとグランドドラゴンに向けて構えた武器を使って応戦をした。


 ライオスオーガはいわばこの岩場の乱入者。荒らしにやってきたよそ者だ。せっかく丹精込めて地ならしをしてきた大地をその土足で荒らしまわる異質な存在に対して。本来ならば自身が身を挺して郷土の仲であるモンスター達を守るために、よそ者と対峙をして追い払うために縄張り争いに挑んだのだろう。


――クチオシイ……クチオシイゾォ!!!!


「おま、俺に八つ当たりかよ」


 ライオスオーガにはグランドドラゴンなど体にまとわりつこうとしてくるコバエにしか認識されなかったのだろう。果敢に立ち向かうもその圧倒的な力の差にひれ伏すことしかできず、一方的に撃退されてしまった。そのヴィジョンが、奴の怨嗟が伝わってくる。その圧倒的な怒りを俺にぶつけて解消しようとしている。


 弱肉強食の理。自然界が俺をためそうとしている。街では感じることのできない感覚が俺を支配してきている。


「さぁ、ミイラになるのはどちらかはっきりさせようぜ」


 俺は新武器『狩猟弓』の弦を引いて貫通榴矢を連続で放つ。徹甲鏃の中に炸薬が仕込まれた特殊な矢である。物体に貫通して鏃が変形すると同時に炸薬に引火することでその真価を発揮する。貫通して内部を炸薬と破片で破壊するというシンプルな弓矢だ。今に限って予備矢での狩猟のため。持ち矢はこの徹甲鏃付きの弓矢が60本だけだ。持てる数に限りがある。じっちゃんの持って行ったボックスにはこれ以外にも様々な特性を持った矢じりが入っているが。今はこれで応戦するしかない。鏃の威力は使用者の扱い方によって変わる。


「グランドドラゴンは体表に岩石を纏わせてるから簡単に内部損壊によるダメージを負わせることは難しいか……」


 本体の体表は粘着ローラーのように粘着質で。その巨躯を生かした転がりで砂から小石にかけて始まり、岩石を纏わせることもできる。ようはロードローラーのように体を転がして地面を削りながら整地をして生きているのだ。そしてその纏っている岩石はグランドドラゴンを守るための増加装甲の役目を担っている。自然に生み出された鎧をまとう相手だと。俺の放った徹甲榴矢は跳弾をしたりその表面を軽くえぐり爆発四散するだけで意味を成していない。


「アーマーピアッシング矢ならあの装甲を突き破れるはず」


 今はここを離脱しよう。消耗戦を強いても無理だと気付いたら離れ時だ。俺は矢筒から閃光鏃を引っ張り出してグランドドラゴンの顔にめがけてはなった。


 眩い白い光が視界を包んでいくのを目の当たりに。俺はすかさずグランドドラゴンが悲鳴を上げるのを耳にして目くらましが成功したことを感じてすぐに安全地帯へと移動した。

次回の更新は8月4日です。よろしくお願いいたします。

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