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316話:依頼任務と噂 2

若干更新に不都合を感じたので27日の0時に更新とさせていただきます。

――実はねカリト君。君に謝らないといけないことがあるの。この出産が終わったときに私。もしかすると死んでしまうかもしれないから。


 出産まえでの病院の病室でリリィが、ふと何気なく外の窓の景色を見ながら俺に話し始めた時の出来事を思い出してしまった。それは何の前触れもなく彼女がすべてを俺に告白した話だ。


――私。本当はアルシェの命令と任務であなたと恋仲になって子供を作らないといけないの。あなたの子供を産んだら私は自由になれるって彼女が取引を持ち掛けてきて。最初は得体のしれない男の子を身ごもることに抵抗を示したわ。吐き気をもよおすくらいに。黙って静かに聞いてほしい。全部わたしの言葉でしゃべらせてほしいの。


 あの時に俺と恋仲になったのはそれが理由だったとは思いもしなかったし。結構強引に関係を迫った感じだったが。まあ、そういう恋愛の始まり方もあるんだろうとは割り切ってというより、感情的な側面でOKをしてしまった。あの時の俺は恋愛なんてしたことがなかったんだ。


……アルシェは俺を逃がさないために外堀を埋める計画を着々と時間をかけて完遂させようとしてきている。俺たちの間にできた子供を利用してでも俺のことを手放したくないアルシェの狙いは何だ?

 あの周りを引っ掻き回すことが好きな奴がしそうな事は……わからない。俺は完全にあいつよりも先手を打たれた状態に立たされているだな。実感のない。得体の知れない視線にその時ぞっとした。


 俺はアルシェの手に乗せられて空高くから太陽を遮るように見下ろされていると。俺の頭の中で描いた想像だが。現実に置き換えて考えてもあり得るかもしれない。


――でも今日まで君に見せてきた私は違う。ネメシスの繁栄のためにつかわされたリリィっていう女の姿をした工作員。色欲の力をもつ私なら適任だと感じたアルシェがとった。彼女の計画のために使われた工作員なの。君を何を思って高く評価したのか彼女は君を我が物にしようと思い至って、そしてこの任務を命じてきたの。ごめんなさい。すべて私の演技であなたを信じさせてだまし続けてきたの。アルシェは君が死ねば真実は闇とともに墓へと葬られる。その言葉を君に送ると言って病室から立ち去ったわ。


 つまりアルシェはリリィの死を望み。それを美談に仕立て上げていくつもりだったんだ。だが、計画は神がそれを許さなかったようだ。


 結果的に俺とリリィはそばに寄り添って病室のベッドの上で抱きかかえる赤ん坊と幸せの瞬間を過ごすことになったからだ。


 今回のリリィの静養もアルシェに対する疑念と警戒を込めて遠く離れた場所へと移り住まわせることにしたんだ。すべてが片付き、このボルカノの街に平和が訪れる時まで、静かに平穏な生活を息子と過ごしてもらうためにだ。


 片は俺がつける。リリィは分娩室に運び込まれる直前に俺のことを今はもう心から愛している。好きだよカリトといって麻酔の作用とともに眠りに落ちていった彼女の姿を忘れることはないだろう。


 あがいてみせる。アルシェの支配を終わらせるためにも。この街すべてがアルシェともいうべき場所だ。彼女のいない街になるためにも戦わなければならない。いずれそうなる時が来るだろう。


「さて。今回の依頼はそのライオスオーガについて知るところからだな。図書館にでも行ってそのモンスターのことについて詳しく調べてみることにしようか」


 次の行く場所は図書館だ。図書館には司書のお手伝いをしているルドガーがいる。語学の勉強を兼ねての研修をさせつつこの世界の、人間社会のことについて学んでもらっているのだ。


「後片付けは私がしますわご主人様。ではまた夜にお会いしましょう。失礼しますね」


 軽いお辞儀とともにサビはテーブルの空いた皿を持ち運んで立ち去った。サビはというと。


「おいてめぇまたこんなところで油売ってたんかよ馬鹿垂れが!」

「いでっ! いたいよししょー!!!!」


 さぼっているところをカミラさんに見つかり、サンデーは首根っこをつかまれたま工房へと連れていかれてしまった。真面目に仕事しろよな本当に。

次回は7月28日ですよろしくお願いいたします。高評価とブックマークよろしくお願いいたします。

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