315話:依頼任務と噂 1
「おはようございますわご主人様」
「よっサビ。頑張って金稼いでるか―?」
「あらサンデー。いわれなくてもみんなのご飯代は稼いでるわよまったく」
ツンとそっぽを向きながら給仕としての仕事で迎えに来てくれた。サビはどこから見ても宝石のように美しい美人そのもの。周りからはアイドルとして認知されつつあり、その恩恵もあってか男性客が多く行きかう酒場となりつつあった。これぐらいがちょうどいいのだろう。荒くれの俺たちハンターにとって美女との過ごせる酒場はなくてはならない憩いの場所なのだという。
「あーっ女すけこましのハンターサトナカダー!」
「やめてよサリィ。私の大事なご主人様なんだから」
「えっ二人って従僕の関係?」
「いや主従でもなんでもないから間に入ってこないでくれよサリィさん」
このお店の新入りであるサリィは俺たちの中について興味津々で仕方がないらしい。でも何を聞いてもあいまいにしか答えてこなかったのでこうやってゴシップネタを欲しがってくるのだ。できるなら目立つようなことは避けたい。
「そういえば君って奥さんとお子さんがいるんだってね。聞いたよ。方々でもっぱら不思議なカップるから夫婦になったっていう話ね」
「あれはその。分け合って付き合うことになって結婚して子供ができたんだよ」
「ふーん。そうなんだー」
「まあまあサリィ。これ以上はサビが起こっちまうからここはひとまず退散してな」
しっしと邪魔者を手で振って追い返すしぐさをするサンデーに対してサリィもうんとうなずいて。
「じゃあ仕事に戻るね。よかったら私をご指名して給仕をやらせてほしいかな。君だったらノープロブレムだしうしし」
「機会があればのはなしだ。ほらいくぞサビ。案内してくれ2名だ。いつもの頼む」
「よろしければ私もご一緒にお食事に入らせてください。せっかくお越しになられたのですから」
「そうだな。じゃあ頼むぞ」
ということで仕事中のサビも交えて朝飯をとることになった。
「あさはやっぱりソーセジマフィンに限るなご主人」
「うん。肉厚のハムとチーズを挟んだいい逸品だ。ミルクとも相性がいいから適度に軽く済ませられるところがいい」
軽食を3人でとり、次の話をする。議題は次の依頼任務をどうするかだ。
「ライオスオーガとかはどうでしょうご主人様。依頼内容だと依頼人の住む集落の近辺でライオスオーガがよく見かけるようになって非常に危機感を感じており、なにかのはずみで集落をおそってきたらひとたまりもない。一刻も早くハンターがきて倒してくれという内容ですわ」
「オーガか……」
ファンタジー世界でみるオーガとは何が違うのかきになるが。ハンターを要請するには相当な強さを誇るモンスターなのだろう、並のレベルでジャスド回避ができるくらいには標準的なハンターといわれるなら一般人からしたらそんなのできっこないという天と地との差なわけで。身体能力的にも集落の人たちには自分たちが食べられるかもしれないという恐怖があり、集落の集落のそばに縄張りをもつライオスオーガは脅威そのものなんだろう。
次回の更新は7月26日ですよろしくお願いいたします。




