312話:壁に遺されたダイイングメッセージ
武器を手に辺りの警戒をしながら次の下層に降りた。降りていく際にエレベーターを利用したのだが、占拠されている割には警戒レベルは低く、そんなにといった感じの手ぬるさに少し心の中で困惑していた。そして誰も居ない静かで冷たさの感じる青の空間。アルシェが言うには、ここが職員の仮眠室らしく。職員が当直勤務や、残業で家に帰れなくなった社員の寝床として利用されるフロアだと聞かされいた。
「…………死んでる」
仮眠室の一部屋を開けた直後だった。白衣とスーツ姿の男性が全身を血で真っ赤に染めて、左腕をベッドに預けた側で地面に足を伸ばし、壁に背中を預け、顔を力無く俯かせて亡くなっていた。
「オレヲミロ」
死体の背後の壁には血文字でダイイングメッセージと捉えても良い言葉が大きな文字で描かれていた。俺を見ろ。その短くも力を感じさせられる言葉を目の当りにしてその場で俺は立ち尽くしていた。
――どう、探し人は見つかったかい?
何をのんきな事を。アルシェが知ってて当然の様に思った事だが、現状の事を彼女に説明した。
――それは残念だ。彼はこの施設をよく知る人物だったんだ。キミの力になれるかも知れないと思って居たのだけれど。仕方が無い。このまま長居をしても良くない。このまま敵の本丸を叩くことを優先して作戦を変更する。
俺に人を殺せとどうしても命令したいようだ。だが、俺はどんな奴でも人を殺すことはしない。
――犯人確保。それならやってやる。
――ボクが安価な考えで殺させたりはしないさ。なんせ久方の組織との関わりを持つことになったんだ。この際は再会に免じて気絶からのお縄で手を打つことにしておくことにしよう。
それなら話しが早い。俺もさっさと普段のハンターの仕事に戻りたいからな。泥や砂まみれになりながら銃を片手に巨大なモンスターと対峙して狩に興じる。自分が最初からしたいと思っていた事を、こんな仕事のせいで出来ないというかお預けにされるのは実に困る話しだからな。てかサンデー達の所在が分からなくてメンタルがやられちゃいそう……。泣いてもいいかアルシェ?
とはいえ、目的ははっきりとさせたわけだしその本丸とやらとご対面でもして倒す事にしよう。
お久しぶりです。久方の更新となります。いかがお過ごしでしょうか。ボクは持病の方が少しずつ寛解に向かって症状がよくなりつつあります。嬉しい事です。悪化してからずっと読者の方々にあたらしい小説の更新が出来ずにいたので気持ち的に思うところが沢山あったので。
今後のことについて:体調に気を遣いながらやっていこうと思います。ただそれだけの事ですが大事なことなので。頑張りましょー。
次回は2月27日に更新ができたらいいなと思っております。よろしくお願いします。




