309話:資材出荷エアポートエリア
地下から地上へと繋がっている大型のエレベーターリフトに乗り込み。地下で歩いて警備をしている歩哨達に築かれないよう操作を済ませて昇降に成功したら。
(敵がいる。それも複数人あつまって何か話してるな)
警備員とは別の服装。紫一色に染まった宗教服を身に纏った集団に、その集団の前で手を掲げて何かの話しをしているようだ。そしてその奥には。
「なんだあの見たことも無い乗り物は……? 航空機か?」
一応通信を掛けて聞いてみよう。俺は安全な場所に移動して身を隠して膝立ちになって目を閉じた。
――こちらカリト。アルシェ応答願う。
――こちらアルシェ。そこに居るということは無事に内部へ潜入が成功したようだな。ブランクがあるとは思えないね。
――運が良かっただけだ。こっからの事を考えると正直にいって憂鬱になりそうだ。
――モチベーションの維持は作戦時においてとても重要なスキルの1つに部類されることがしばし見受けられる。くれぐれも魔が差して暴れたり濫りな行動で作戦の遂行を困難にするな。
――ああ、わかった。それで今俺がいる場所はアルシェからは見えているのか?
――安心しろ。明瞭にキミの視界を通じて確認はして把握は済んだ。どうやらキミがみたのは、資材などを空路で搬出したり、逆に入庫させたりするのに使われているエアポートエリアだね。中央部に広く設けられたHのマークが特徴的な乗場があるだろ。そこで様々な業務で取り扱われているんだ。
――その乗場に置いてあるあの乗り物はなんだ?
――次期主力を狙って開発されたロビア王国軍の新型航空機だよ。名前は確かHAViだっけな。ロビアの言葉で回る飛行機を意味する言葉らしい。
――どうしてロビアの新型航空機HAViがボルカノの核廃棄処理施設に置いてあるんだよ。
――セキュリティーに関わる場所だからね。王国としても他国が保有している軍事兵器はネコの手も借りたい程に必要だったりするんだよね。
王国の台所事情は知らない。そもそも他国が存在していた事じたいが初耳だった。同盟国による相互協定でのレンドリースか、輸入による購入での配備のどちらかなんだろう。あくまで個人的な意見だ。
――俺達にはモンスターがいるだろ。飛竜だっているしそれで補えるはずだ。
――軍事協定において足し引きして割って掛けるという言葉がある。つまりロビア王国の軍事兵器を受け入れるのに最適な場所はここにしか無かったんだよ。そしてそれもあちらさんにも同じ事情があるわけさ。こちらが一方的な押しつけ方をすればそれこそ外交問題に発展する事になりかねない。微妙な調整で友好は成り立っているんだよ。
――やたらに詳しいな。
――これでも隠居の身であるけれど。王家からは信頼を寄せられる生ける賢者だからさ付き合いもあるんだよね。ちなみに、この占拠事件なんだけれど。王国軍部が主導で鎮圧作戦に尽力しようとしている。
――軍部が動き出したのか。
――そうだ。ただし、軍では我々の潜入については知らされていない。ボクたちは日陰者の組織だ。隠密に徹して活動をする立場のものだ。もしこれが表沙汰になれば問題になりかねない。
――一番に困るのは俺達か?
――それと王族だね。軍の方は貴族院が動かしているからなおさらだ。
――王は貴族が主導する軍隊に対して信頼を置いていないと議会で糾弾されることになるのか。なるほどな。
――物わかりはよさそうだ。さて、その乗り物を使って魔獣教団は何かをしようと考えているようだね。こちらで相手の目的がなにか。それを使って何をしようとしているのかについて調べてみるよ。キミは引き続き潜入にあたってくれ。
――了解した。
そこでアルシェとの通信が終わった。
次回の更新は12月9日です。よろしくお願いします。
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