302話:古代龍の痕跡をもとめて
祝カクヨムでファンタジー部門週間ランキング1936位にランクインしましたー! メッチャビックリしております。
翌日。村から離れた雪山の奥地にて。俺はソロで探索クエストに訪れていた。ここは人の手があまりついていなくて前に進みずらい。
「くっそ。木の根っこが足にひっかかるし。枝とか茂みとかで前が見づらい……!」
こんなんだったら鉈とかを持ってくるべきだったと今になって後悔している。整地された狩場とは違って自然なままに空間が広がっており、同じ感覚で訪れたのがまちがっていた。
「ともかく。ここで痕跡を探さないとクエストにありつけない」
ギルドの照会と審査の結果。次に相手する予定のモンスターで次のランクに昇格出来ることが分かった。ギルドもそいつの存在を把握はしているものの。詳細な生態までは調べきれておらず。俺がもし討伐または捕獲に成功した場合。かなりの報酬とそれに見合った栄誉や称号ならびに地位が王国政府から送られるらしい。
「はいと行った限りはやるしかないんだ。それだけ周りから期待されているから」
ガッと手足を使って枝葉や茂みを横倒しにしつつ、前に進むための道を開いては辺りの様子を覗い痕跡を探し求めていく。だがそう簡単には見つからない。それでも俺は粘り強く3時間掛けて隅々まで歩き回り続けた。そしてついに。
「ん、これって本で見たような感じの鱗の形状をしてるな」
波線上に鋼と似たような硬質感のある鉄鱗が草むらの地面の片隅に突き刺さったまま落ちていた。念の為に採取道具を使って掴み取り、そのまま本をバックから取り出して照らし合わせながら観察していく。間違いない。この本に書かれている資料の絵と同じもので間違いない。ここに居たのか? 本の情報によると。この鉄燐は日数が経過していくと、錆びが発生していき、鱗を侵食していくと共に劣化で土に還る性質があるという。
「つやつやだな……」
しかしこの手にした鱗はとても絵の錆びた鉄鱗とは違って整った光沢感がある。つまり奴はつい最近にここを通過した事になる。
「俺達人間がしらないまだ未開拓の狩場で何をしているんだ?」
ますますこの古代龍級のモンスターの生態に興味が湧いてきた。
「ん?」
モンスターの気配がする。こう慣れてくると奴らが漂わせてくる気配には敏感になってくるものだ。
「あれは……えっ、ジャイアントキリング!?!?」
静かに驚愕する程のヤバイモンスターが近くに居て遭遇してしまった。
類人系のモンスターことジャイアントキリング。狩猟可能なランクはプレデター。世界で数少ない頂点のハンターにしか狩猟が許可されていない存在。その生態からくる強さは1つの都市を一夜にして滅亡させると言われている恐ろしい超級モンスターだ。ひと言でそいつの出で立ちを現すなら、灼熱の悪魔の魔物と言えるだろう。本でしか見たことの無い。ましてや一生で一度も会えないモンスターに遭遇してしまった。
「なんかガチャでSSRを不意に当ててしまったきがする!?!?」
雄々しい2枚の翼に、筋骨隆々の体つきにデーモンを彷彿させるような頭部とツノを生やし、ゴリラのようにどっしりと構えて地面に座ってふあぁっと退屈そうにあくびをしつつ、辺りをキョロキョロと見回す仕草をしている。俺の気配に気づいたのか? ならばまずここから撤退をしないといけない。今すぐにでもだ! こんな所で寂しくあいつの餌になって死にたくはない!!!!
「スニーキング」
モンスターテイマーの力『スニーキング』を発動させる。こうする事で気づかれても相手からは気のせいだと勘違いしてくれるかつ。ステルスで狩猟や逃げにも使える便利スキルだ。でっ、プレデタークラスのモンスターであるジャイアントキリングに聞くのかと言えば……。
『ん……気配が消えただと? なぜだ? 近くに遠い昔に忘れていた懐かしい気配を感じたのだがな……。勘違いなわけがないよな』
「ですよねー」
残念な事に俺の技量では相手に余計な不信感を抱かせるだけに終わってしまった。南無三……。
ここで戦闘? いや無理。持ってきた武具でどうしろって言うんだ。今日はセイバーMk.2を持ってきていない。身軽にフィールドワークがしたかったから護身用の小型サブマシンガンしか持ってきていないんだ。
むーりーむーりーむーりぃっ!!!!
絶賛頭の中で拒否の歌が流れている。
「藪から棒に覗き見るんじゃ無かった……」
緊張しながらもサッと後ずさりをしつつ。相手が注意散漫な状態なのをいい事に利用していきこの場を立ち去っていった。そして。
「ふぅ……無事に脱出。今日はもう精神的に疲れたし帰るか……」
結局収穫は鱗だけだという散々なものだった。もっと良い痕跡を見つける事ができたらよかったんだけどな……。
初プレデター級のモンスターに遭遇してしまった主人公は。次の手に移ることに。
次回の更新も楽しみにしていてくださいね!
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