292話:最弱の武器
「じゃあ、まずこれからだな」
「ガウ?」
まず手始めに卓上に並べられた銃器の中から、基本的なベーシック武器であるアサルトライフルを彼女に手渡してみた。
「どの距離からでも柔軟に攻撃ができる万能武器だ。殆どのハンターはこの武器を愛用してる。主に連射と単発で切り替えて撃てるし。低反動のライフル弾を使っているからルドガーにはオススメだな」
「正直。私達のパーティーは後方からの射撃がメインですから。オールラウンドに立ち回れるハンターがいるとこちらも射撃に専念できますわね」
「汎用の素質があればの話しになりそうだ」
実際に使い方をレクチャーしてみた。すると。
――タタタタタタタタタタタタタタタ!!!!
「ちょっ、スットップ!」
「ガウ?」
「いいか。構え方はむちゃくちゃだし。引き金をずっと引いていると。入っている弾が直ぐになくなって戦いずらいぞ!?」
「ガウ?」
どうやら説明がうまく理解できていない様子だ。重さ3~4キロある鉄の銃を片手で。しかもバズーカ砲を構えるような持ち方をして引き金を引き続けている。これでは息切れがしやすくて戦いずらい。さらにその事もあってか。
「ご主人様。的に一発も当ってないよ」
「うん。だよな……」
これは教え甲斐がありそうだな……。てか俺、スナイパーなのになんでレクチャーできるかっていうと。
「ミステルさんが居たらもっと助かるんだけれどな……」
「無いものねだりは仕方がありませんわよご主人様」
「だな」
ミステルさんと交流があったから出来ている。
「じゃあ、これはどうだ?」
次にサブマシンガン。だが、これもさっきと同じくまともに扱えていない。
「となるとショットガンもダメだろうな。他の銃も難しいそうだ」
縦反動がでかいしノックバックの衝撃も強いので怪我をする恐れがある。触らせられそうにない。そして。
「スナイパー……。俺で間に合ってる」
それから色々な武器を差し出してレクチャーしてやらせてみたものの。
「だめか……。こうなるともう使い慣れるまで練習させる方が良いのか……?」
とりあえずルドガーの銃の才能は理解した。難しい決断だが。最悪。狩に連れて行かせられないな……。
「ガウ。あれ……なに?」
「ん?」
あれこれしててもう夕方だ。そろそろ武器を返却しに行こうとサンデーに貰ったモノ以外のレンタル銃を返却しに言ってもらった矢先の事だった。
「ハンドガンのことか?」
「ガウ」
コクリと首肯して頷くルドガー。サビがもつ4つのハンドガンM17を指で指しており、興味があるようだ。
「あれは狩ではまともに使えないぞ?」
サブマシンガンと同じ拳銃弾を使う銃だ。火力の差は全くもって違い。安定性に欠ける武器としてしられている。いわば最後の手段で使う武器なわけで。弱いとハンター達が口々でいっている護身用の武器だ。それをルドガーが物欲しそうにしている。
「無いものねだりですわ。でも、その子が使いたいといっているなら尊重するべきですわね」
「……わかった。やらせてみよう」
「ご主人様いいの?」
「ホワイエットはどう思う?」
「私はご主人様の指示に従うよ」
「そっか。ならルドガー」
「ガウ」
「4つあるハンドガンをお前にやろう。サビ」
「はい」
サビが嬉しそうにニコニコしているルドガーに4つのM17を渡した。すると。
「ガウ!」
「ちょ、あぶな!?」
M17を貰うなり突然に器用な手さばきでジャグリングをしだし。そして1つずつ右手にした瞬間に的を狙って引き金を引いて発砲した。
――パパパパパパン!!!!
撃ちだした6発の弾は……。
「全弾中央に命中してる……」
「え、ええ……そうですわね」
「凄い!」
「ガウガウ!」
ジャグリングしていたM17をシューティングテーブルに全ておき、腰に手を当ててえっへんと得意げな仕草で、全力褒めてアピールの視線を俺に向けて送ってきている。これは……。
「凄いなっ!?」
「ガウ」
「あぁいいなー」
凄い事をしたので頭を撫でてやった。とても気持ちよさそうにしている。
とりあえずルドガーの銃はこれになりそうだ。
次回の更新予定日は7月22日です。よろしくお願いします。更新が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
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