291話:射撃場でトレーニング
ルドガーは人間が営む上でのありとあらゆる作法ややり方を知らずにいた。まあ、この娘がモンスターから人間体になりたてということもあるから、こちらが色々と学ばさせていかないといけないことだけは分かっている。
「んじゃあ当初の計画通り。今日はルドガーを交えたトレーニングを行いたいと思う」
「おう!」「はーい!」「わかりましたわ」「ガウ!」
今日のトレーニングにリリィは出てこない。拠点となる住居の整備を任せてくれたからだ。帰ってからの楽しみが増えてなによりである。
「んで、今日はなんだ。ここどう見ても射撃場じゃないか。俺達には不必要な場所だろ?」
「いやまあそれはいろいろと突っ込みたいところが多いけれど。日頃の銃の取り扱いを学んで熟知していくのも大事だって散々教えられてきただろ?」
「ええ、ですわね。現にわたくしはこの銃を壊す羽目になってしまったのですから」
「だろ?」
あまり銃の機構の事でペラペラと喋れるような学はないが。サンデーのバンカーバスターライフル、ホワイエットのマルチバズーカ砲の作動方式はどれもボルトアクションライフルのようにシンプルで熟成された技術で開発生産された作動方式を用いている。それに対して電気の力を使った技術というのはこの世界では未知の領域かつオーパーツな側面をもつテクノロジーを使っていることもあり、そに合わせた作動機構事態も未発展かつ、未成熟な黎明期な段階のモノで。つまり。
「サビはとにかくそのエネルギーマシンガンを沢山使ってデータを収集して欲しいんだ」
「データってなんですの?」
「主にその銃に関すること全般を紙に書いて整理して良いところと悪い所を細かく書き連ねていくんだ。それを踏まえた結果を基に今度のアップデートでその銃を改良していくんだ」
「難しいことばかりをいわれても困りますわよ。でも、言われたからにはやるしかありませんわね」
「ああ、そのデータを使ってカミルさんにお願いするんだよ」
「ししょーがそれつくんのに1週間のまずくわず寝ずでぶっ続けでがんばってたもんなー。あたしだったら1日でバッタンきゅーだよ」
「暇さえあれば昼寝してるくせに?」
「いいじゃんかー。余裕のある生き方こそが私の人生って奴なんだからよ」
「考えが程遠いですわねまったく」
「ねえ、とりあえずルドガーちゃんの武器はどうするの?」
「ああ、そうだ。とりあえずこれから村の武器屋のガッツさんにお願いしにいって。一通りの武器をレンタルしにいってくる。サンデーいっしょに運搬を手伝ってくれ」
「あいよ」
ということで少し準備運動をしてからガッツさんに会いに行って人間が使う武器を借りてきた。
「待たせたな」
ドサッと射撃テーブルの上にずらりと全部の武器を並べてみた。
「えとえと。これがアサルトライフル。これはサブマシンガン。これはショットガン。これはライトウェイトマシンガン。これはヘビーウェイトマシンガン。これはセミオートライフル。これはご主人様が使っているボルトアクションライフル。あと……あれ。なんでハンドガンがあるのご主人様?」
「ガッツさんが調査クエストの報酬のおまけに渡し損ねたから譲ってくれたんだ」
「なるほどー。しかも4つあるってことは私達の為にかな?」
「だろうな」
ガッツさんから貰ったのは半自動式拳銃の工房製拳銃モデル17だ。多分形状からみて前の世界でいうところのグロックだろう。
「あたしはいらないな。自分の身は自分でまもれるぞ」
「わたくしもですわ」
「私もいらない」
「俺も正直いらないかな。セイバーMk.2で充分だ」
結局ただのコレクション箱行きになるな。
「ガウ……」
よし、とりあえずルドガーが並べてみた銃をマジマジとみて興味をもっているのでさっそく彼女が使えそうな銃を選定していくことにしよう。
――この時。彼女がどの強力な武器よりも。世界で最弱とされている銃に興味を持って惹かれていたことを俺は知らなかった。
次回の更新予定日は7月19日です。よろしくお願いします。
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