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283話:雪回廊に潜む主 縁白虎獣 エメラルドタイガー その1

「とりあえずここで休憩しよう」


 回廊を色々歩いて大方の場所を地図にマッピングし終え、残りの行っていない中央の箇所に訪れると、来た道と先の道で前後に一本道で繋がった大きな広間に辿りついた。中央には古いたき火の跡があった。そこで誰かがこの迷路みたいな空洞を攻略するために足を運んで一休みしていたんだろう。俺達もそれに倣って火起こしを始めた。


「さて、いよいよ探索もここで最後になるな」

「なんか。ただの行き止まりとかばっかりでつまらなかったぞ」

「ははっ、そんなもんさ。毎回きてもお宝があるワケでもないんだしさ。とりあえず安全だと分かればそれでいいと思うな」


 ムラ様にはこの場所のことを同説明するかは後で決めよう。たぶん村の観光スポットとして起用するかもしれないし。


「なあなあご主人。この先には何があるんだろうな」

「さあな見てからのお楽しみっていうもんだろう」

「お宝あるといいなー」

「お前って奴は金目の物にしか興味なかったっけ?」

「んー。いいやぁ、そうでもないよご主人。私はシショーと頑張って武器とか防具の造り方を学んで覚えて勉強して色々と頑張ってお金を貰っているから。昔の生活と比べて充実していると思うっているぞ」

「どうだその……カミルさんとの関係は」

「シショーとは仲良くできてるぞ。私が人間離れした力持ちだなとかって褒めてくれたり、根性が座っているって褒めてくれたり。野生で生きていた頃はそんなの当たり前だったんだけどな。力と根性がなければ生きていられない世界だったんだよな」


 強いモノは生きていられない世界。まさしく大自然の摂理なんだろう。とはいえ、カミルさんにサンデーを預けたのは正解だったようだ。あまり込み入った話をしていなかったから、まるで彼女の事を娘の様に思って、彼女の事を知ろうとしていた。


「よし、そろそろ行くか。念の為に食料だけは素肌に身に付けておけ。モンスターがいてもそれでなんかなるはずだ」

「えーっ、見ず知らずの野郎に私のおやつを差し出すっていやだよ」

「我慢しろ。俺だって今日の昼飯の弁当をへたしたら囮に使わざるを得ないかもしれんからお相子だ」

「わりにあわないぞー!」

「しーっ、声が大きい」

「あ、ごめん」


 最初の頃に出会った時より、彼女は少し人間らしいというか、その場の雰囲気に合わせて慣れていっている感じがしているな。いい兆候だと思った。


「ご主人。……いる」

「モンスターか」


 少し歩いて2回目の曲がり角に差し掛かった直後だった。サンデーがモンスターの気配を察知した。彼女は武器を両手に構えて警戒態勢をとっている。俺もセイバーMk.2を構えて息を殺し、音を最小限にして、ヒタ……ヒタ……ヒタ……と、サンデーも同じように隠密に徹して奥地へと進んでいく。そして間借り終えて通路を出た瞬間に。


――グゥ……グゥ……グゥ……グゥ……。


「あれはなんだ……虎?」


 通路を出た先にあったのは大きな逆円錐場の闘技場があり、その闘技場の中央で身をくるんで寝息を立てて眠る、全長は約3000もある中型の獣タイプのモンスターがいた。肌は白とエメラルドに輝くラインで縞模様をしており、上空から漏れて差し掛かる太陽の光によってその毛並みは神々しさを感じさせられる輝きを放っていた。


 するとそこに突然。別のモンスターの集団が闘技場の観客席からどことなく飛び現れて、その虎のモンスターを囲うように陣形をとって、


――グェ、グェ、グォ!


 虎のモンスターを起こそうと挑発する声を上げた。その挑発した一団のモンスターは全地域に分布するラプトル系統のモンスターで、おそらく寒冷地方の個体なのでスノーラプトルの群で間違いないだろう。頭部の特徴的な青いトサカがその個体の証拠でもある。


 挑発行為を受けて、眠っていた虎が不快げに唸り声を上げて目覚め、のそっと身体を起こして目を見開いた。その目はエメララルドのように輝いており、とても魅力的な色をしている。


「ご主人どうする? あいつ多分捕食されるぞ」

「三つ巴になって戦える訳がない。ここはひとまずこっそりと隠れてあいつらのやりとりを観察しよう」

次回の更新予定日は7月9日です。よろしくお願いします。


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