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273話:氷山に座する冬猛猿王と冬猛猿の討伐 その4

「急いで戻って休息をしてご主人様の下へ戻らないといけませんわ」


 両手に負荷がかかっていた重い荷物を背中に背負い、獣が4つ足で走るように姿勢をとり、サビはご主人であるサトナカカリトの命に従ってベースキャンプへと向かっていた。

 狩猟エリアの6から5、4、3、といった道なりで自分が覚えている道を、素早い速度で巡り変わる景色を目で追いながら、時にはパルクールと呼ばれる移動手段を使ったりしてスムーズに、目の前で障害となっている地形をスルスルと抜けていき、彼女は自身に課されている命を果たそうとしている。


「邪魔ですわ!!!!」

『うぎぃっ!?!?』


 道中に現れては彼女の邪魔をして襲い掛かってくるスノーゴリラの少数勢力を、彼女は手を使わずに雷の力を駆使して放電攻撃を行ない、死角からの急襲にはアームガンシールドで柔軟に対応して身を守ってその場を去って行く。


「ご主人様からはできるだけ銃で戦えと言いつけられていますけれど。私にはこうして戦う方が性に合っていますわ」


 それと共に手の爪を鋭利に尖らせて、3頭のスノーゴリラを瞬く間に電光石火の如く切り裂いてねじ伏せる。彼女は思った。


「やはりどう見てもベースキャンプに近付くにつれてスノーゴリラの数が多すぎますわ。何故かしら?」


 最初の接敵ではそれほどの頭数では無かった。中盤で戦った空洞のエリアではかなりの軍勢を引き連れた将軍級のスノーゴリラが現れ、統率を鳥ながら自分達に襲い掛かってくる動きを見せてきていた。


「気のせいでしょう。増援で遅れた統率のとれていないゴリラ達の横取りに遭遇しているにすぎませんわね。愚かな」


 幼き頃の彼女の生活環境は両親の教育によって、げせんな行為にあたる漁夫の利の行為を禁じられていた。誇り高き轟雷獣サンダービースト族ならではの思想から来る考えである。そのおかげもあり、彼女は自分で得た獲物で自給自足する事が当たり前であり、常識であるという価値観を持つまでに至っている。


「ん?」


 そんな誇り高きモンスターである彼女ならではの嗅覚。または本能的な直感が、エリア1の外郭に入ろうとしたときに何かを察知した。サビは走るのをやめて立ち止まり、スルッとネコのような足取りで草木をすり抜けて掻き分けながら、彼女はエリアを見渡せる所で遠くを覗うと。


「……どうりで数が多いわけですわね」


 先ほどまでの急襲に対する疑問が彼女の中で納得がいった。とりわけ大きな要員となっているのが目の前にある。そう確信を得た後に彼女は、


「住処を包囲すればこちら側に有利に持ち運べると思いましたのね」


 モンスターの中でも知能指数が高いのだろう。1匹ではどうも思わない弱小のモンスターでも、こうして知能の備わった主君がいればこんな芸当も可能になる。相手の力量を認めるしかないとサビは思った。


「静かにベースキャンプに入ろうにも、恐らく気配で感じて中になだれ込んでくるはず。ご主人様。ベースキャンプ付近での狩は慎んだ方がいいかもしれませんわね」


 側に居ない主に対する批判をしつつ、彼女はベースキャンプを囲んでいるスノーゴリラの軍勢を引き剥がせないかと考えた。そしてその中で統率をとっている大物に対しても注意を惹くことができないだろうかと、彼女は同時に思案もしている。


「体力的にはもう少しいけそうですわね。それも計算して相手の脇腹を食らいつけたらいいのですけれど」


 一人ではおそらく時間の問題になる。結論はついた。しかしそれでもキャンプを守らないといけない立場にある。あそこでご主人様に休めと命令を受けているからだ。そしてサビが動き出す。


『ボウ?』

「さあ勝負よ。狩人ファミリーナンバー3。サンダービーストのサビがお相手しますわ!!!!」

『ゴォオオオオオオオオンッ!!!!』

『ボウボウッ!』『ボウ!』『ボウ!』

「ハァアアアアアアアアアッ!!!!」

 

サビVSスノーマウンテンゴリラ率いるスノーゴリラの軍勢の戦いが幕を開ける!


次回の更新予定日6月28日です。よろしくお願いします。


この作品が少しでも『面白い』また『続きが気になる』と思って頂けましたら、是非とも広告下にある『☆☆☆☆』の所を押して高評価をお願いします! 

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