271話:氷山に座する冬猛猿王と冬猛猿の討伐 その2
ベースキャンプの隣に接しているエリア1に入るとさっそく4頭のスノーゴリラのグループがいた。のんきに寝そべりながら惰眠を貪っているようだ。
「ムラ様の話だと。ここは草食獣のモンスターがよく集まる水飲み場なんだけれど……。あの猿達が居座っているせいで居ないか」
「わたくし的に野生の勘ですけれど。草食獣のモンスター達はほぼあいつらのせいで死滅しているかもしれませんわ」
「というと?」
「そこら中に骨があるからですわよ」
「酷いね……」
「あぁ……これはさすがにまずいかも」
下手をすれば人間が襲われたら一溜まりもないはず。あいつらはああやって餌を得られているからいい。だが、数が増えすぎた群の中には必ず飢えている奴らがでてくるから。そのモンスター等が徒党を組んで村になだれ込めばどうなるかは分かる話だ。
「とにかく数を減らしにかからないとな。勢力を大きく削いで生態系を保たないとな」
「わかりましたわ。わたくし達で出来ることをしていきましょう」
「おう、頼んだぞ」
初動はサビが動く事になった。さっそく彼女がスノーゴリラのグループの前にズシッと段差から飛び降りて立ちはだかると。
『あぁん? なんだこいつ?』
ボゥボゥとグループ内の1頭が残りのメンバーに警戒するように声を上げた。
「さて、あなた達に恨みはございませんけれど。ご主人様の命に従って。あなた達を駆逐してさしあげますわ。恨みっこ無しですわよ!!!!」
その言葉に何を感じたのか興味を持ち。サビの動きを終始見続けているスノーゴリラ達。しかしそれが彼らの生死を分かつ判断となってしまった。次の瞬間。
――ブラララララララッ!!!!
『ぎゃぁっ!?!?』
サビがエネルギーマシンガンを腰だめで構える。銃砲が回転するのと同時にエネルギー弾の豪雨が彼らに降り注がれる。その雨が止むのが終わると。既にその場に居たスノーゴリラたちは地に伏せて絶命しており、全ての遺体には等しく黒い弾痕が無数に残っている。
「充電しますわ」
サビの持つエネルギーマシンガンは一定量の弾丸を撃ち尽くすとエンストになり、仕様の関係でリチャージが必要になる。リチャージの方法はシンプルで、バレルを一定時間の間駆動し続けるだけ。充填が完了すると駆動がストップする仕組みになっている。
本来、こういったガトリングガンはバレルを駆動させるのにバッテリーが必要になるが、サビは雷を使えるモンスターなので、そこは何の問題もなく手軽に扱えているようだ。弱点は……おそらくリチャージの間が何も出来ないのが実に痛い。しかも駆動し続けなければ銃弾はチャージできないのが欠点である。
「ホワイエット。周囲の警戒を頼む」
「うん」
こうやってサビのリチャージタイムを俺等でカバーをすることで安全に再装填が可能になる。
「ご主人様! あそこから沢山の群がやってきたよ!」
「おぉ……遠目で見てても真っ白だな……」
仲間の叫び声に誘われて大勢でやってきたようだ。その頭数なんと……12……30っ!?!? 城攻めかなっ!?!?
「あんなのさばききれねぇってっ!?!?」
藪から大蛇を飛び出させてしまったみたいだ。なんてこった……。するとホワイエットが。
「ご主人様! ここは私に任せて!!!!」
「なにか秘策でもおもいついたのか!?」
「こうすれば良いんだよ。とぉう!」
ホワイエットが背中から翼を生やし、ホワイエットが空に飛空する。そして、
『ハイパーマルチブレス砲いくよー! すぅ――』
聖属性を濃縮したブレスが2対のマルチバズーカ砲と、彼女の大きく開いた口から直線上のブレスが吐き出され、その3つのブレスは束になり巨大で極太の形状へと変り、スノーゴリラの大群に向かってよこなぎに放たれた。
ブレスを受けたスノーゴリラ達はその聖なる力によって跡形もなく塵と化していた……。
「はぁ、すっきりした……」
「さっすがだな……」
「さすがですわホワイエットちゃん!!!! お見事ですわ!!!!」
二人してホワイエットを褒めると、彼女はえへへと照れながら嬉しそうにして笑った。
「よし、この調子でささっと残りのスノーゴリラを駆除していくぞ」
「わかりましたわ!」「おーっ!」
スノーゴリラ達の前に脅威の力で向かってくる天敵達が襲い掛かる。
次回の更新予定日は6月26日です。よろしくお願いします。
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