266話:ハンターズクラン『狩人ファミリー』
「ただいまー」
ギルド集会所本部から帰宅した。受付嬢のカデリナさんから貰った派遣依頼書を片手にいつもの様にモンスター牧場の牧舎に入って声を掛けると。
「おかえりなさいご主人様」「おかえりーご主人!」「あらカリト君お帰りなさい。どうだった?」
「ん、まあとりあえず昇進が決まったかな」
「おめでとう。これで今日から胸を張って腕利きのハンターとしての第一歩が踏めるわね」
「ご主人なんかすごい事になったのか?」
「ああそうだな。今日からもっと強いモンスター達を狩ってもいいと許可が下りたんだ」
「へへ、それはいいな。これも全て私のおかげなわけだ!」
「そんなことはありませんわよサンデー。私も一役買っているのですからズルっ子は無しですわよ」
「えーっ、殆ど私がゼンセンで身体張ってご主人をさぽーとしているんだぞ。そういうサビはなんだいなんだい」
「それはわたくしの領分でいける仕事をしていますのよったくもう」
「カリト君の為にサビちゃん。一生懸命にお料理でサポートしているものね」
「そっ、それはそう……あ、当たり前のことですわよリリィさん!?」
照れることのなのかと思い見ながら。
「あ、そうそう。ホワイエットは?」
大体はこの牧舎でゆっくりしているはずのホワイエットがいないので効いてみると。
「ああ、ホワイエットか。あいつは外にあるぷーるで水浴びしてるぞ」
と、サンデーが教えてくれたので顔を出すことにした。
「よう、ホワイエット。楽しんでるかーって……」
「あ、ご主人様! お帰りなさい!!!!」
「ちょっ、おまなんでスッポンポンなん!?!?」
「んんん???? どうして顔が赤いの????」
牧舎を出て直ぐ近くにある巨大なプールのプールサイドに白無垢の裸体で、水中からジャバッと宙に飛び出してきて俺の前に現れ、ホワイエットがギュッと濡れたままで抱きついてきたので、俺はあまり耐性のない行為に対して素で恥じてしまった。
「はぁ、ってまあ公共の場でもないし俺がおかしいんだろうきっと」
「何をいっているのかよく分からないけれど。ご主人様もホワイエットと一緒に泳ごうよ」
「いやいや今は泳げないからまた今度な」
っていうかモンスターの彼女達と一緒に泳いだらついて行けなくて大変な遊びになってしまう。モンスターテイマーのチート能力の影響で彼女達の身体能力は倍増しに常時バフがかかっているからだ。さすがの俺でもそこまでの身体能力は持ち合わせてはいないので、とりあえず補助器具とかを開発してみてからのスキンシップになりそうだな。ちなみにリリィはこの事に関して。
『私に泳ぎで勝てない時点でダメだと思う』
実に泳ぎの得意なリリィの良いそうな言葉をぶつけられて少々、その、自分の金槌が嫌になりそうだ……。
「とりあえず5分後にみんなで集まって聞いて貰いたい話しがあるんだ。参加してくれよな」
「うん。急いで服に着替えてくるね」
といって俺から離れたホワイエットはそのままプール内に設けられている更衣室にトトトトと両手を伸ばしながら走って向かっていった。アラレちゃんかな?
――10分後。
「よし集まったな。じゃあ今からハンターズクラン『カリトファミリー』の会議をするぞ」
俺がリーダーを務めるハンターズクラン『狩人ファミリー』の会議が始まる。これで4回目だ。この前はなんだ。移動手段の事について話しをしてたな。結局いまだに予算とかの関係で実現ができなさそうにない。
「議題はなにかな?」
「ああ。その、いつもお世話になっているカデリナさんから指名依頼が入ったんだ。なんでも僻地にある寒冷地帯の村にいた専属ハンターが不在になったそうで。後任のハンターが選任されるまでの間。村の安全を維持する為に行って欲しいという派遣の依頼をギルドが要請を受けたんだよ」
「んー、それって私達とかご主人がやるべきことなのか?」
「いや、そうでもないんだけれどな。あいにくそこまで行きたいと思うようなハンターがおらずで困っていたらしい」
「そういう言葉に首を突っ込むのはあまり良くないと思いますわよ?」
「確かに言えているねサビお姉ちゃん」
「ええ、そうよねホワイエットちゃん。はいチョコレート」
「あーん」
「おい、そこで勝手にてぇてぇすんな。あめちゃんあげるおばちゃんかよ」
中々に遠回しな反対ムードが漂ってきたな……。でもこれ。俺が持ってきた仕事だしな……。責任っていうのがあるものだし困ったぞ。
「なるほどね。つまりその派遣依頼を受けるか受けないかの多数決をとりたいっていうことね?」
「ああ。そうなるな」
「私はカリト君と一緒に行けるならどこでも大丈夫だよ。それが妻の勤めです」
「いやまだ結婚してないからな俺達」
「こらそこ。ご主人とリリィでてぇてぇしないの」
「え、俺も悪いの?」
「うん。そうだぞ。メスの言うことを否定的に言うのはオスとして失格だぞって母ちゃんが言ってた」
「おめーの母ちゃんなかなかの母ちゃんだな」
つまり男に拒否権はないんですねわかりました。でもそれはそれ。これはこれっていう事もあるんだよ人間っていうのは。順序があるだろ。
と、まあサンデーがリリィをそのように認めているのはいいが。他の二人はというと。
「なんかズルいですわね……」「むぅ……」
「なんかもの凄く色々と空気が重くね?」
あまりよくは見ていない感じかな。まあそれはそれとして。
「俺達はまだ3ヶ月しか満たない出来たてのクランだ。やれる仕事にも質が求められるけれど。無ければ成り立たないのがこの活動の根幹としてあるんだ。この牧場がもっと良くなる。つまりリホームができる体制がととなわないと屋根さえ取り替えられない。ここはひとまず受けてみてからの試しでやってみようよ」
とりあえずうまく説得してみないと難しそうだな。
次回の更新予定日は6月19日(追記:20日に変更させてもらいます。)です。よろしくお願いします。
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