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262話:魔王アルテミス その2

 それから暫く激しい攻防戦を耐え凌ぎ続けていると、


「うごごごご!?!? み、右腕がアアアアアアァッ!!!?」

「あ、あれはなんだ!」


 長期の戦闘によって限界を超えたダメージを負い続けたアルテミスの右腕が、俺が放ったライトニングボルトの一撃を受けて地面に落ちて石灰化して崩れ落ちる。すると灰の中から神々しい炎の玉が宙に浮いて現れた。


「カリト。それが炎幻獣王の魂だ! 直ぐにこの召喚幻獣マテリアルに吸収するんだ!」

「おう、言われなくても分かった!! おりぃやぁっ!!!!」


 キラキラと揺らめく炎幻獣王の魂にむけてマテリアルを全力投球すると。それに反応して依り代だと思ったのか、魂は自然と俺の投げつけたマテリアルに向かって近付き、


「成功だ! これでボルケニクスも安らかに眠りにつけるだろう……」


 マテリアルと炎幻獣王の魂こと、ボルケニクスの魂はマテリアルと一体化してボルケニクスマテリアルになった。シャーリーはその姿に何を思ったのか落ち込んでいる様子だ。死んでいるわけじゃないだろ?


「これをどうするんだ?」

「それをボクに預けてくれないかい? とても大事だからね」

「ああ、わかった。この調子で次の幻獣王達も回収していくぞ」

「そうしてくれないか。幻獣王達もそれを望んでいるはず。闇の力によって支配はされていたものの。彼らはボクが配下にしていた者達だ。全員が揃えば君の力になってくれるはずだ」

「つまりなんだ?」

「この幻獣王が収められているマテリアルを揃えて合成し。世界で最強の召喚幻獣マテリアル『オーディン』を顕現させる為のオーロラマテリアルを作るんだ。それの為にもボクの力と4つの幻獣王のマテリアルが必要だ」


 とシャーリーの話を聞いていると。切断による傷で呻いていたアルテミスが立ち直ったようで。


「よくも我、ボクの「『力を奪ったなアアアアアア』」あああああああああ!!!!」

「一瞬二重で声が混じってたな」


 アルテミスの声に異変が生じている。


「気配がなかったというのは合点がいくわけだね。なるほど。月の幻獣は契約と称してあの人間の身体の中に寄生していたみたいだ。精神まで闇に侵されていたとなると。よほどの適合率があったみたいだね」


 シャーリーはまたなにか心当たりがあったようだ。なるほどな。


「じゃあアルテミスはもう人格を失っていると……?」

「前の世界でも似たような事があったんだけれどね。寄生型の幻獣に支配された人間は確実に人格を失っていたね」

「死んだらどうなるんだ……?」

「光の力を持つ者が倒せばどうなるかは勝ってからのお楽しみさ」


 と、話しを聞きながらアルテミスの攻撃するタイミングを覗うと。今度はなにやら全身に冷気を纏わせ始めたようだ。あれが幻獣王シベリアの能力……? いや、正確にはコピーした能力を反映させて利用しているんだろう。奴の攻撃方法がだいぶ分かってきた。なら、氷が苦手とする弱点の属性を利用するだけだ。


「シャーリー。炎幻獣王ボルケニクスの力を貸してくれ!」

「了解だカリト!| 世界にめします神よ。《GFW》我の声を聞きたまえ。(LTMV)|神獣シャリオスの名において《ITNOTGBCharios》今一時でも我らの聖戦を脅かす魔の者に炎で打ち払う為の力を。魂となった炎幻獣王《FlameBeastKing》に|今一度の力を貸し与えたまえ《WBTS》」


 正直うまく聞き取れる自信はなかった。長い詠唱を短縮詠唱で特殊な言語でスペルを紡ぎながらシャーリーがうたい終えると。空間を埋め尽くすほどの赤い灼熱の業火が渦巻いて現れて、その炎の壁から人の形をした炎の巨人が地面に足を付けて現れた。


『時間がない。シャリオス様。我をあの者からお救いくださったこと。心から感謝する。この屈辱。他の同胞の為にも憤怒の極炎で。そしてこの雪辱を果たしましょう!!!! 地獄の業火を味わうがいい!!!!』

「くっ!?!?」


 周囲に渦巻いていた炎がアルテミスを包んで焼き殺そうと、流れを変えて濁流の如く襲い掛かった。その地獄の業火の攻撃を受ける直前に、アルテミスは氷幻獣王の(後でシャーリーに氷の幻獣王の名前えを聞き直したらシルベリアだった。なまりで聞き違えてしまったみたいだ)コピーした力を使い、厚く巨大な氷の防御壁をつくりだして炎から身を守る態勢に入っていた。


 だがそれもほんの数秒の守りでしか耐えきれず、アルテミスは全方位からの炎の包囲攻撃に飲込まれてしまった。中では悲痛な悲鳴を上げて暴れる声が聞こえてきており、暫くして炎が収まると同時に、


『どうやら私はここまでのようだ。後は任せたぞ少年よ。シャリオス様。どうかご無事で』

「ありがとうな」「おつかれさまー」


 炎幻獣王ボルケニクスは赤い光の粒子になってその場から消え去っていった。それと変わってアルテミスがいる場所から立ちこめている煙の中で凍り付くような色をした青い火の玉が現れるのを目撃し、すかさず俺はさっきと同じようにマテリアルを投げつけて、無事に氷幻獣王シルベリアをキャプチャーすることに成功し、手に取ったそれをシャーリーに手渡した。


 力を奪われてぐったりと地面に横たわるアルテミスは、


「『もはやこの身体も限界のようだな』まだやれる。『所詮。出来損ないだったわけだ人間なんていう下等な生き物は』違う……。ボクは下等なんかじゃない……んだ……!」


 身体の中にいると思われる月の幻獣と揉めているようだ。しかしそれが本人が会話をしているのかは分からない。でもそれで攻撃をとめるわけにはいかない。


「さあ、これで二体の幻獣をお互いに持ち合わせた事になる……ね。正直この身体も限界に近付いているみたいだな……ははっ、ここで魔導はお終いになるとはシミュレーションとは違った想定外の事態に驚いているよ。そして強いね。これもボクの目には見えない支援者のおかげなんだね。いいね。そうやって誰かに支えてもらえる環境が整っているだなんて。ボクなんかひとりぼっちでここまで頑張って生きてきたんだ」

「同情なんかするつもりはないぞ」

「それでいい。ボクもはなからそう話したいわけじゃないからね。じゃあこれで最後にしよう。ボクが負ければ認めよう。全ての幻獣王の力を君にあげる。そしてボクは死ぬ。それでこの街は救われるんだから」


 全ての幻獣王を俺に渡す事を約束してきた。そこまでして覚悟を決めたのか。ならばそれに答えるしかないな……!!!!


「受けようその約束」

「じゃあ、最後の実験の始まりだ!!!!」


 アルテミスが最後に使い出したのは。


「風、雷。この組み合わせをずっと使いたいと思ってた!!!! 

これで『貴様』を『理性が崩壊する世界』に帰して『や』るよ!!!!」


 風幻獣王サイクロンと雷幻獣王ミニョルの力を合体したコピー能力だった。それと、


「本体が協力をしはじめたね。ボクもマネしてみようかな?」

「えっ、それってどういう?」

「こういう事だよカリト。それっ合体!」

「…………は?」


 なぜか合体と称してシャーリーが俺の頭にのしかかって抱きつくようにくっついてきた。意味不明!?

次回の更新予定日は6月10日です。よろしくお願いします。


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