259話:立ちはだかる難敵『アルテミスモンスター』その2
「いい加減に観念したらどうなんだい? こんなにだらだらと戦い続けても君には何にも得する事は無いけど? それでも戦いつづけたいのなら。無限の体力を持つボクの為にも頑張って実験台になってもらわないとこまるんだけれどなー」
「く、くそ……」
「なかなかの強敵に育て上げてしまったみたいだね。月の幻獣は。こうなることを予期して逸材を選んでここまで成長させていたみたいのようだ。自分が逃げる時間稼ぎの為に」
「どうするんだよシャーリー。こんな底なしの体力をもつあいつに対してどう戦えば良いんだよ……」
「一見無傷に見えているかもしれない。でも相手の身体は徐々にそのアテネの強弓の一撃一撃でダメージを受け続けている」
戦況は膠着状態で流れが続いている。
「どうだい。まだまだ君はこのボクと戦うというのかい? いい加減に自分が敗北者だって言うことを理解した方が身のためにも――」
俺はアルテミスモンスターの煽り言葉にイラッときて。
「はぁ? 敗北者ぁ? その言葉。訂正しろ。俺はまだ負けを認めてはいない。俺は必ずこの戦いを勝利に導く」
サンダーボルトを顕現させて弓につがえて引き絞り、そのまま曲射の構えをとって、
「くらえ。ライトニングファイア!!!! 稲妻の雨に身を焦がしやがれ!!!!」
一閃の光を天に向かって放つ。すると、
「くかかかかかっ、実に丁度良いあんばいのビリビリだね。最近肩こりだったらから助かるよー」
「俺はお前の電気マッサージの為に撃ったんじゃねえよ!?!?」
だめだ。この技はストッピングパワー能力には欠けていた。弓矢の言うとおりにやって大失敗だったのか? そう思ったのだが。
「ぐああああああああああああ!?!? なんだこの稲妻の豪雨はぁっ!?!? ……よくもやってくれたなぁ!!!!」
効果は抜群だった。最初の一発は着弾地点の修正の為に落ちてきただけだったみたいだった。そこからアルテミスモンスターに当ったのを皮切りに、暗い天井が一気に光に覆い尽くされていき、稲妻の矢の雨あられがアルテミスモンスターに降り注いだ。
直撃を受けたアルテミスモンスターの身体には矢がブサブサとささっており、緑色の血を地面に垂らしており、傷の具合はかなりのモノだと推測がつく。
「くらえ!!!!」
アルテミスモンスターの攻撃。奴は口から業火の炎を焚きだし、そのまま俺に向かって息を大きく擦って激しい炎を吐き出して攻撃を仕掛けてきた。全体攻撃なので俺は直ぐに奴の間合いに詰めて範囲外に潜り込んだが。
「あぁっつぅっ!?!?」
タイミングを逃してしまって右腕に炎が燃え移ってしまった。するとそれを見ていたシャーリーが。
「リフレクトヒール。これで火炎貰いは無効化だよ」
「サンキューだぜ……はぁ」
「ダメージを与えたらと思えば直ぐに邪魔がはいる。面倒な相手だなー」
「火炎貰いほど怖い状態異常はないからねー。っていってもあいつにはボクの行っている言葉は聞こえないか」
会話のドッチボールというべきか。それは兎も角で。
「シャーリー。なにか強化してくれるような魔術はないか?」
「腕力を強化するパワーバンプアップと、魔術の効能を飛躍的に向上するインテリジェンスアップがあるけれどどっちがいいかい?」
「どっちでもいいから頼む」
「あいあいわかったよ」
切羽詰まっているんだ。ここは相方の判断に任せることにした。
「じゃあ、プロテストアップとインテリジェンスアップにランニングアップにしよう。これで守りと賢さと素早さにバフがかかったよ」
「助かるぜ。なんだか頭が冴えてきた感じがするし。足がとてもかるいな」
「なにをブツブツ言ってるんだい。こっちもそれなりに本気をださせてもらうよ!!!!」
怒りに満ちているアルテミスモンスターの攻撃が始まった。先ほどの百烈拳に激しい炎を付与した切り裂き攻撃を仕掛けてきた。拳に炎を纏わせた百烈拳が俺に襲い掛かってくる。
「……いってぇ……」
「ハイヒール」
「ふっふっふっ。これで君は命の危険に立たされたわけだ。どうだい。ここまで戦えたんだから降参してボクの配下にならないか? そうすれば。将来はこの世界の半分を君のモノにしてあげてもいいんだよ? それで君は晴れて自分の自由に思いのままに好きな人生を歩めるんだよ。どうだい?」
なんだよ。きっちり魔王やってるじゃないかこいつ……。そう思いながら俺は。
「断る。そんな事の為に逃げるわけにはいかねえ……」
戦闘は押しつつ押されつつのままで中々に進まない。だがそれでも一筋の可能性ってやつを手にするまでは戦い続けてやる……!!!!
次回の更新予定日は6月6日です。よろしくお願いします。
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