252話:城内特別収容所からの脱出 その1
――ジャラ。
「……ん……んん……? ここは……?」
虚ろだった視界がパチリとはっきりとして周囲を見ると、息が詰まるような悪臭が漂う暗い密室の中に自分はいた。どいうわけか俺はラパンに電気ショックで気絶させられた後にどこかのアジトか、あるいは何かの施設に運び込まれてしまったみたいだな。
「ご丁寧に両手両足を縛ってくれてるわけね……くそ……」
しかも下着1丁の格好だ。身に付けていた物全ては奴らの手にあるのかな。とはいえ、脱出ができないのは当たり前なわけか……。
――ガチャン。
「おっ。お目覚めのようだなガキ」
「……ビリーム。貴様よくも……!!!!」
「うっせぇな!!!!」
「がっ、はぁっ!?!?」
部屋の鉄扉が開き、そしてビリームが伸縮式の警棒らしき物を使って殴ってきやがった。胸から腹に掛けて痛くてたまらず悶絶。そんな俺を見ながらあざ笑うビリームの声に苛つきながら、痛みが引くと共にファックと吠える。
「は、これは調教のしがいがありそうだなこりゃ」
「どうしてラパンがお前と一緒にいたんだ!」
「あのさ……お前。いま、自分の置かれている立場を理解できているわけ? 肋骨や内臓に傷がついても知らねぇぞ? てか死なれたらそれでこっちが減給もんだから。正直こまるんだけれどなぁ? えと、サトナカカリトだっけ? 変な名前してるよなぁ。呼びずれぇからガキと呼ばせてもらうか」
「…………」
痛い事をしったらそれ以上の事をされたいとは思えなくなってしまった。
「大人しい方が身のためっていうだろ? じゃあ、時間も限られているし。とりあえずお前に色々と質問させてもらうぜ。あっ、ちなみによ。1ミリでも反抗したらそのカセから強力な電気が流れるからな? 常人なら1発で死ぬみたいだぜ?」
「…………」
まじで……? まるで映画みたいな話しじゃ無いか……。
「お前はそれでも反抗しない事を誓うか?」
「……あぁ」
そんな事を聞かされたらうんとしか言えないだろ……。
「んじゃあまずは。お前は何者なんだ? どこの組織の差し金でこの街に来たんだ? その組織の名前は? 何の目的で?」
俺は人生で初めて心の底から恐怖を感じた。答えたらネメシスのみんなに迷惑がかかってしまうと思った。
「何者? 俺はサトナカカリト。ただの学生だ!!!! 目的はテイマーになる為にだ……!!!!」
「ほう……」
俺は目を強く閉じて心の底から祈った。神様。助けてと……。でも、
「残念だ実によ。うんうん。仲間を思う気持ちは俺でもよく分かるぜ。俺でもそうするな。だけどよぉ。ちげぇんだよなぁ。勇気と蛮勇はなんとかって偉い人が本に残してるんだぜ? アホかお前は。ま、とりあえず試しにお前をビリビリィとやっちまうか」
「や、やめろおおおおおおおお、あああああああああああ!?!?」
目が凄くチカチカする。体中からだらだらと水分というか汗がびっしりと肌に纏わり付くように浮き出てくるのを感じる。全身の筋肉がビクビクと捻れる痛みとビリビリとした感触がつま先から頭に集中して襲い掛かってきている。死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ――
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
シヌシヌ
……しんだ。
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