246話:荒野に棲む長猟竜クロコダイラス その2
先生を拘束した後に別の場所で俺は尋問を行う事にした。
「それで。あのモンスターはなんだよ先生」
「……クロコダイラス。チョウリョウ竜と呼ばれる改良品種モンスターよ……。コンチネンタル社が暗殺した人間を処分するのに。それぞれの水棲系のモンスターを人工的に配合して母体となるモンスターに産ませて。その生まれたモンスターには死体となった人間を餌に与えて。時折に他のモンスターの肉を与えたりしながら。この荒野に放し飼いしているのよ」
なんてこった……。まさかそんな恐ろしい事を裏でやっていただなんて……。じゃあ、そのモンスターを生み出した組織はなんだ????
「それで……その改良品種モンスターを生み出している組織はどこなんだ? 明らかに生物兵器だろ。そんな事をして何になるんだよ」
この世界の法律にABC兵器に関する条約があるかは、おそらく無い。ならばその怖さを知識ながらも知っている自分が止めなければ。
「……言えない。というよりも分からない。ほ、本当よっ! 私はこの学園での立場を守る為に頑張ってきた。最下級学徒の人数を減らす仕事も頑張ってきて、やっと手に入れた地位でメルセデウス会派の幹部にまで登り詰めることができたのよ。こ、こんな終わり方は……いやよ」
あぁ、世の中には救いようのない人間って居るんだなって思った。
「その、メルセデウス会派って何だ?」
「アテナ都立テイマー学園の中にある2大会派の1つよ……。アテナの街にいる学者達の頂点に立つ大賢者達が集う元老院に所属する大賢者であられるメルセデウス様の派閥の事よ」
「あーっ、ようはその大賢者メルセデウスの取り巻き達の幹部なんだなあんたは」
「そうよ……」
色々と聞きたい事はあるものの。この荒野にそんな危険なモンスターを放置しておいて言い訳はないな。ハンターの俺でもそれは許せないし。自然に対する冒涜行為だと思うので。
「残念だけれど。教えて貰った限りにはこちらにも然るべき対応をさせてもらうよ。俺が何者なのかは知っているのか?」
「メルセデウス様のご側近様からは不思議な力をもつ少年だとしか……。他に何があるっていうのよ」
「なるほどね。じゃあバツバツな事はしなくてもいいか」
そうなると後始末は不要になるな。でもこの事を知られているなら漏れても困るし……。
「シャーリー」
「はーいなんだーい?」
「学園にいるグリムにこの事を伝えてくれないか?」
「グリム……まさか学園長ぉっ!?!? あなたどうしてグリム学園長と……!?!?」
「んなこと聞くのは野暮だ。とりあえずシャーリー。お使いを頼んだぞ」
「もーしょうがないなー。まーっ、面白そうだしいいよー」
「いってこーい」
側に現れたシャーリーに伝言を任せた。後はこの先生を見張ってくれる人物を選ばないとな。
「サイクロン。この先生が逃げ出さないように見張っててくれないか?」
『承知した』
「そ、それはまっ、まさかっ!?!? 伝説に語られている幻獣王サイクロン!?!?」
『ほう。我を知っているとはな。褒めたい所だが主の命令で貴様を見晴らせてもらおう。なんなら貴様の幻獣と一戦を交えてもいいぞ?』
「お、お断りします……」
しゅんとうなだれて観念したようだ。とりあえず一安心だな。
「じゃあ後は頼んだぞ」
とこの場から立ち去り、ベースキャンプに戻って装備を整えて。
「じゃあ、ひと狩りいきますか」
フルアーマプレート一式を纏い、肩に負い紐でかけたセイバーMk.2と、背中に携えたリュックを担ぎながらフィールドに赴くのであった。
「あむ。今日の携帯食料はドライソーだからモチベが上がりそうだ」
なんだか力がみなぎってきた気がした。
次回の更新予定日5月15日0時です。よろしくお願いします。
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