240話:幻獣トレーナーバトル サトナカ カリトVSカロッツェリア
予定を変更して今日は追加で更新させていただきました。多くの読者の方に読んで頂き心から誠に感謝申し上げます!
幻獣使いは時に互いの腕を競い合って勝負を仕掛け合う事がある。俺も学園生活をしていくなかでそう言った勝負を何度か野次馬程度に見てきた。俺もその一人なんだけれど、幻獣召喚士の称号を持っている事もあって、この壇上で今からおこる戦いには誰もが注目していた。
最下級学徒のトレーナーによる試験での模擬戦だと聞いてあくびをしたり暇そうにボーッとしている奴らも、さすがにこの戦いにでは遠くで見てでも分かるくらいに全員揃って目を向けている。こういうモノか。
「で、俺の相手は誰なんだよ」
カロッツェリアという人物について気になる。聞き耳で差し障り程度には知ったが、なんでも前年の幻獣バトルで最優秀選手に選ばれた学生か学徒なんか知らねぇけど。強いんだろう。ということはその選手も最下級のクラスの先輩なのか?
そう考えを巡らせていたら。
『サトナカカリトさんの対戦相手が入場します。皆さんのご存じの通り。前年度。1年を通して無敗の最優秀学徒に選ばれた名実ともに注目のトレーナーです』
場内に響き渡るアナウンスに周囲の熱気が沸き立つ。これは気を引き締めて試験に挑まないといけないのか……? 早くその姿を拝んでみたい……。だけど負けイベになるかもしれないという怖さも感じている。
「はぁい。カロッツェリアよ。よろしくね。将来有望な最下級学徒のルーキーさん」
「よ、よろしくお願いします先輩……」
「そう取って食ったりはしないわよ。でも可愛い顔をしているからタイプかなー」
「……茶化さないでください」
長身、容姿端麗の碧眼の美女が壇上に姿を現した。
スカート丈の短い黄色のラインの入った赤いスタイリッシュドレスに、同じカラーデザインのミリタリージャケット、足は白のロングニーソと白ライン入りの赤いスニーカーを着こなしている。
彼女は肩まであるロングブラウンの髪を、左手で背中に掻き上げる仕草をして、ラフな立ち姿と共に笑顔で俺に気さくな挨拶をしてくる。
「ふふ、試合前の交流よ。学生同士だけれど。これから面と向き合って幻獣バトルをするんだから。ねっ、握手くらいはいいでしょ?」
「……どうぞ」
俺は手を差し出して握手を求めた。それに対する周りの反応はブーイングで満場一致の様子。なんでだよ。これも勝負の前の礼儀作法なんだろ?
――カロッツェリア様になんていう無礼な行ないを……!!!!
――俺だってあそこに立って握手がしたい……!!!! 畜生!!!!
うん、殆どが嫉妬の感情が籠もった内容だった。くだらねぇ……。とはいえ、カロッツェリア先輩はニコニコと笑みを崩さずによろしくと言って握手を交してくれた。あんがいいい人そうだ。
と思ったのもつかの間。
「さて、試合前の挨拶は済んだし。お互いに観客のみんなを湧かせるような勝負をしましょうね」
「…………」
俺に触れた手を、スカートのポケットから取りだした白いハンカチで拭き取る仕草をしてきた。彼女の目はスッと細くなりゴミを見ている。その目線には慣れた自分でも嫌な気持ちになって気持ちが下がってしまった。
『それでは改めてルール説明です。今回の幻獣トレーナーバトルは模擬戦ルールでおこないます。お互いに幻獣を召喚できるのは3体までと定めます』
えっ、使役できるのって1体までなんじゃ……。そう授業で習ったんだけれど……?
「上級生になると6体も使役ができるのよ。初心者の貴方がいきなり6体もお世話ができるわけ?」
「……せいぜい5体までが限界だ」
「へぇ、大見得を切っているの?」
「事実だからな」
ていうかボルカノにあいつらもいるから言っているんだけどな。今はシャーリーもいるしな。
『試合の方式は殲滅戦です。3体のモンスターが瀕死になり気絶した時点で勝負が決まります。バトル時における薬品や道具の使用は禁止です。なお、幻獣にあらかじめ持たせていた持ち物は許可いたします』
「木の実とかを食べさせてもいいのかなるほど」
何でも幻獣は一定のストレスを感じると持ち物を使いたがる習性があるらしい。まあ運次第だろう。
とりあえず親しみのあるゲームルールだ。シンプルで分かりやすい。
『それでは両者所定の位置に立ちなさい』
「じゃあね。いい負けっぷりを私に頂戴ね」
「ほざいてろクソ女。絶対にお前なんかに負けてたまるか」
「その言葉を後でどう謝らせようかしらふふふ」
「あのやろ……」
背を向けて手を振りながら、カロッツェリアは自分の位置に向かっていった。今に見てろよ!
明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。
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