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237話:前期中間試験 その1

――じゃあまた夕方に会おうねカリト君。もし学園で何かあっても自分だけで行動したりはしないように。くれぐれもあの女の子とは一緒にならないほうがいいわね。浮気はダメだよ?


 信じてくれないのかよと突っ込みたくなるが何も言い返さなかった。別に何もやましい事なんてしているワケじゃ無いからな。


「それでは皆さん。これより明日の中間試験に向けての簡単な説明と試験内容を大まかに紹介したいと思います。ノートにメモをとるなり記録をしておくように」

「だっりぃ……試験かよ」

「なにバカなことを言ってるのよアルヴェル。試験をパスしないと昇級できないよ」

「わかってるって……」


 俺と同じく座席に隣り合って話しをしているアルヴェルとポルテ。てか試験でどういうことだよ。


「なあ二人とも。試験てなんだよ。筆記テストみたいな事をするのか?」

「さあな。上級生の先輩達がいうには。俺達みたいな最下級学徒は能の無い奴らの集団として扱われているから。大方実技のみで実力を測ろうと思っているんじゃ無いか?」

「正直に私。あまりそういう事はしたくないわね。だって勝負って時の運に任せるやり方だし不公平だから」

「運も実力のうちって言うのは釈然としねぇぜったくよ」


 どうやら二人とも。明日の試験に対して否定的な意見を持っているようだ。その根拠はどこから来ているんだろう……? 考えずに受けようとしている自分もどうだろうかと思うが。


「まずあなた方のこれまで学んできた能力を測定するために。それぞれの使役する幻獣達をいかに操れるか。属性に応じた魔術を繰り出せるか。それらの全てを採点するための試験を1日目におこないます」

「ようは身体測定みたいな事をするのか」

「次に2日目。こんどは実戦を想定した模擬戦を専用のフィールド内でおこないます。模擬戦の内容については当日に発表します」

「2日目がきになるな」

「測定試験はどうでもいいのかよカリト。たぁあさっすが幻獣召喚士の名は伊達じゃ無いぜぇ!」

「そこ静粛に」

「うぃーっす」

「茶化すなよアルヴェル」

「面白いから辞めないぜ」

「ったくよ……」

「まっ、どのみちお前が試験で最優秀賞を獲得してくれたら俺達としては胸を張って学園を歩けるようになるんだけどな」

「……そうだな」


 というものの。最下級学徒というレッテルがあるため、全部ではないが格差的に下に見られており、学園で使える福利厚生など、本来なら平等に使えるはずのモノが上位のクラスに属する生徒達の妨害行為やヘイト行為によって制限されてつづけており、その事もあって俺達は不自由を虐げられている。


 理由は単純明快だ。


『お前らは労働者育ちだから。この学園に入れるだけでもありがたく思え』


 つまり労働者という階級に属している人種だからという差別的な考えが横行しているのである。俺は思った。


「グリムはこの事を黙認してるんじゃないのか……?」


 普通なら理事長をしているグリムの所にも聞こえてくるはずだ。しかし彼女からはそんな話しを聞かされてない。いままで知っている前提で思っていたのだが。どうやら俺の思い込みだった感じが最近してきている。


 そんな虐げられている俺達の最下級のクラスのみんなは、実をいうと実力は上級クラスの奴らとさほど変りがない。むしろ少し頭一つ抜けて優秀だったりする。そう思うと何やらきな臭い思惑が裏で働いているように思えてくるのだが、いまは試験の事に集中するために気持ちを切り替えよう。


「次に3日目。最終試験の事について話します。試験の内容はモンスターを討伐することです。幻獣使いは将来有望な対モンスター戦における重要なポジションを担う人材です。そんなあなた達だからできる仕事もといい。将来の為の社会活動の一環として試験を交えた実戦訓練を行います。試験の会場はアテナの街から外にでて北西に約20キロ離れた場所にある荒野でおこないます。みなさんのご存じの通り、あの周辺一帯は凶悪なモンスターが徘徊する場所です。困難を極める討伐になると思いますが。仲間と力を合わせて試験を合格に導きましょう」

「つまりあれか。クラスの全員総出で討伐クエストをするということか。何を狩るんだ?」

「カリトは知らねぇかもしれないが。あそこにはヌシがいてだな。そいつが居るせいで周囲にいるモンスターはどれも強すぎる個体ばかりが住み着いているんだよ。時折、討伐隊が遠征に言ったりするんだけどな。どうもそのヌシだけは倒せずに帰ってくるんだよ。おかげでその繰り返しが重なって生き残った個体だけが縄張りを張り合っているんだと。笑えねぇよな」


 人間の撒いたタネがそのような結果を招いてしまった。なんか複雑だな。かなり雑な討伐遠征を繰り返してきたようにも思えてくる話しだ。


「まぁ、ハンターの俺だから別にどうもは思わないけどな」

「じゃあ全部相手してくれるのか?」

「いや、ライセンスに無い仕事は引き受けるなっていうルールがあるから無理だな。個人で勝手に狩猟をすると狩猟法違反にあたりから無理だ。最悪密猟をしたということで犯罪者になりかねないからな」

「でもここはアテナの街だぜ? カリトのいう組織はないぞ?」

「関係はなくても無理なそうだんだ」


 それにリリィが話してたからな……。


『最近。この街の外れにあるギルドが政治的に手を出せていない狩猟場があって。ギルドでは荒野って呼ばれている場所なんだけどね。イカロスが実行支配している領地だから手が出せないの。それをいい事に密猟者達が好き放題に密猟行為に及んでいるの。実際に実害もでているって報告が上がってて。荒野に住んでいるモンスター達の生態系が乱れつつある事態に陥っているの』


「それにプロだからって何でも許されるわけじゃない。むしろその逆だ。縛られる事ばかりなんだよ」

「…………」

「ごめんねカリト。このバカが余計な事を喋って。私はそれなりに分かったかも」

「いいよ。俺も言い過ぎたところあると思ってるし」


 と言葉を返すと。


「やっぱすげよなお前。俺とは全然違う世界に住んでいるな……」


 なぜか尊敬されることになってしまった。

次回の更新予定日は5月1日です。よろしくお願いします。


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