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235話:フロント企業コンチネンタル

予定を変更して本日は2話分の更新となります。

 学園に戻り、そのまま俺はラパンと一緒に理事長室へ向かった。夕方を過ぎてはいるが、彼女はまだ執務中の筈だと踏んでの訪問だった。


「グリム入るぞ」

「し、失礼します……」


 遠慮無しと恐る恐るでの入室を済ませると。


「ノックもせずに入るのは良くないのじゃが。そうも言ってはおられぬようじゃの」

「なんで分かるんだよ」

「いつもの事じゃ」


 入るなり見透かされて少し動揺もするが、今はそんな事を話している場合じゃ無い。重厚なテーブルの上で肘をついて手を組んで見つめてくるグリムに対して、俺達が今日何をして何が起きたのかについて事細かく説明をした。すると、


「そう話しを聞くとラパンの独断専行による失態がこのような顛末を招いたと思っても良いのじゃな?」

「そ、それは……」


 しまった。このままではラパンが責任を問われる事になってしまうじゃないか!?!? ふと隣で終始黙っていたラパンが、


「理事長様。いえ、グリム様。今回の作戦は本来私が単独行動であるべき内容でした。しかしながら個人での技量にも限界があったため、そこで仲まであるカリト――サトナカカリトに協力を申し立てて作戦にあたることになりました」

「それはどういった根拠をもってじゃ?」

「相手は対モンスター用兵器を密かに開発生産をしており、ロールアウトまでには時間の問題でした。このままだとその兵器事態が戦争の利用にも繋がると判断したため。かねてよりお聞きしていた彼の力を利用できるのではないかと思ったからです」


 バレてたのか……、俺のモンスターテイマーの力について。それに対してグリムは。


「そうか。そういうことじゃったのか。だがしかし戦争の利用に繋がると判断したのはお主の単独での判断と見受けられるの。組織を乱すのは解せん。お主の本来の任務は何だったかのぉ」


 じっと細目になって視線をラパンに送るグリムを見て、隣で息を飲む仕草をして焦った表情を浮かべる彼女の事を横目で見ながら、


「すまんグリム。俺が力を制御せずに証拠も全部跡形もなく消してしまったのがまずかった。本来なら内偵で済ませる筈だったが。相手側の動きに対応が遅れてしまった事もあって結果的に交戦してしまったんだ。ラパンは悪くない。俺が大事にしてしまったのが良くないんだ」

「彼女を庇うのは良い行ないだと思っているようじゃのカリトよ」

「……なんでそう思うんだよ。俺にも否があるじゃん」

「時には組織の人間を正さぬ時もある。アルシェにはそう教えられなかったのかのぉ? のぉラパンよ」

「は、はい……」

「うむ。わしはこう見えてアルシェと旧知の仲であり同じ竜人族の共じゃ。そしてネメシスを管理する立場に身を置いておる。その意味を知るが良いお主達よ」

「…………」


 急な威厳の籠もった態度と言葉にドッとした感覚を覚える。ただならぬ怒りがもれているぞ……。


「お主達は突いてはならぬ蛇を怒らせてしまった。コンチネンタル社はホワイト企業であるもといい。産業革命主義を唱えておるアホのイカロスポリスが私兵として手駒に所有しておるヤバイ企業じゃ。ビリームという男はその社中でも幹部級の人間として知られておる名のある仕事人じゃ。若くして殺しの天職に目覚めた奴はこの街の裏の顔としてのし上がり、今に至るわけじゃ」

「裏の顔と対峙してたのかよ」

「敵を知らねば己の身を破滅に導く。ハンターでもあるお主は何を学んできたのじゃ」

「正直運が良かったとしか言いようがねぇよ……」

「これもその隣におるラパンの力のおかげじゃという事を忘れるな」

「身に余るお言葉に痛み入ります……」


 手を胸にあてながら深くお辞儀でグリムに返すラパンを目の前に、俺は。


「なぁ、グリム。これから俺達はどうすれば良いんだ?」

「今しばらくは学園内と寮を行き来するのみに自粛するのじゃ。道中の付き添いも付ける。ルナ」

「はぁいグリムちゃーん」

「話しは聞いていたじゃろ?」

「そうねー。ようは後輩ちゃん達の尻拭いをしろって言う事よね? まぁ、どのみち遅かれ相手することになる組織だったわけだし。予定より早くに戦う事になるんだと思っておきましょう。それでどっちにつけばいいのかしら?」

「ラパンが最優先じゃろ。カリトは自身で身を守るのじゃ」

「レディーファーストなわけだ。いいぜどのみち責任を感じているし。自力でどうにかするわ」

「単独での移動は危険じゃ。なので今日からここに新たにネメシスの組織の人間がボルカノから訪れておる」

「え、そうなんですか?」


 そう聞かされて思い当たる人物と言えばレフィア先輩かと思った。


「女の臭いがする……。それもイロコイの……」

「ラパン?」


 唐突にラパンが態度を改めてじっと思い当たる場所に視線を送り続けて睨んでいる。なんか初めてみる表情だなと思いながら彼女の見ている方を同じようにみるとただの隣に通じる扉で。何を言っているんだこいつはと思った。


「入ってよいぞ」

「失礼しますグリム様」

「り、りぃ……」

「久しぶりねカリト君。こっちでの休暇は満喫できてる? ロッソから聞いたわよ。羽目を外してるかもってね……うふふ」

「はっ、羽目を外してるわけないだろ!?!?」

「え、でもそのお隣にいる女の子はそうでもなさそうな顔をしているわよ? いったいどういうことなのかしら?」


 んなこと俺に聞かれても返す言葉が無いって……。そう思っているとラパンが急に目の前に出て歩き出してリリィの元へと近づくなり。


「あら何かしら?」

「お前をコロス」


 理事長室内にデデンと衝撃がはしる。


「何なのこの人?」


 少し面を食らった表情を浮かべるも、リリィはニコッと笑みを浮かべてそう冷たくラパンに言葉を返した。こっちが何なんだよと言いたいんだけど。

次回の更新予定日は4月29日です。よろしくお願いします。これから可能であれば午前12時と午後のどこかの時間で1~2話分で更新させてもらいます。よろしくお願いします。


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