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234話:暗殺契約執行命令 その3

「ビリーム。お前を許さん。絶対に許さんからな!!!!」


 そう罵声を浴びせるが、ビリームの足並みは止まること無くただ一点に集中して俺を狙い、ショットガンで攻撃を仕掛けてきている。


「堅いね君のその変な鎧は。なんの力で召喚したのかよく分からないが。なかなかに楽しませてくれるじゃんか」

「お前とスポーツをしているわけじゃない」


 最後の殺し合いという言葉だけは引っかかりを感じて言うのを辞めた。まだ俺は悩んでいるのか? 戸惑っているのかよ俺……。相手もあんなふざけた感じをしているが、殺しにかかってきているんだぞ……。


「じゃあ何を言いたいのかはっきりしろっての。サトナカカリト。お前は。本当は殺しを避けたいが為に遠回しな言葉で自分に甘んじているじゃねぇの?」

「ち、ちがう! 甘えとかそういう次元じゃねぇ。俺は非殺を重んじているだけだ。殺したいが為に戦っているわけじゃねぇよ」


 その煽り言葉に銃で応戦するも、相手のトリッキーな動きに翻弄されてうまく避けられてしまっている。その返しと言わんばかりに散弾の嵐が俺の身体に襲い掛かるも、聖刻竜の鎧の力で傷を負うことなく済んでいる。


「だりぃ、お前のそのピカピカ光ってる鎧よ。なんだよ俺様の全部の魔弾を受け止めている割には傷1つや、お前の悲鳴を聞けた試しがねぇな」

「敵に教える道理は無いが。これは俺の力と、そして大切な仲間の思いが1つになって生まれた最強の鎧だからな」

「へぇ、弱い者同士で仲良しごっこをしていればそんな素晴らしい事ができるのか。初めて知ったぜ。教えてくれてありがとうよ。お前を殺したらその鎧で楽な人生を送らせて貰うぜ」

「絶対にお前には似合わねぇから。あと奪うとはまじでさせねぇからな」


 俺が勝つみたいな言い方をされると凄くむかつくな。とはいえこの状況をどうにかしなければ勝ち目が無いのもそうか。


「おっと、弾切れか」


 ふとビリームがショットガンをみてそう呟いたのを耳にした。つまり相手には撃てる銃が無くなってしまったということになる。チャンスか?

 そう思っているとビリームは屈託の無い笑みを浮かべながら肩に銃を担いで。


「どうやらお前達との勝負はここまでのようだな。弾切れとなればどう考えても無謀だぜ。とりあえず今日の所は引分けつぅことで勘弁してくれ」

「はっ……?」


 あいてる左手を立ててゴメンという仕草をとり、


「ということで悪者はここで退散させてもらおう。次あった時はお前のその鎧の力を完膚なきまでに攻略してやるから覚悟しておけよな。じゃなクソガキ共。あーばよ」

「ま、まてぇ! 逃げるなぁあああ!!!!」

「ヒョォゥ!!!!」


 弾もっているじゃないか。ビリームは銃に詰めていた最後らしき銃弾で天井を突き破って大きな穴を作り上げ、その穴に向かって立ったまま跳躍した後に何処かへと消えて去ってしまった。あの素早くテンポのいい動きにはさすがの俺でも狙撃ができるはずもなく、ただ指をくわえて構えて打ち続けるくらいしかできなかった。


「……生き残れた……ラパン!!!!」


 落ち着くのもつかの間に俺は直ぐにラパンの元へと駆け寄った。


「んんっ……うぅ……」

「生きてる。まだ生きてる……!」


 目立った外傷もなく、口からの吐血も完全に止まっている。呼吸も浅いが安定した息使いをして脈も正常のようだ。


「ミステルさん。あなたの教えてくれた調合のスキルのおかげでラパンの命が救われました。感謝します……!!!!」


 ラパンを抱き寄せて、ハンターとして活躍している先輩のミステルさんに心から感謝の思いを込めた。


「とにかくここから脱出しないとな」


 貸し切り状態の列車内とはいえ、駅に着けば殺人事件で大騒ぎになってしまう。


――主殿。もしよろしければエアラで移動してみてはいかがでしょう?


「ナイスタイミングで良い提案だ。いいぞ。この車内を丸裸にしてそこから飛ぶことにしよう」


――承知した。では飛べる準備を。


「ああ、いいぞ」


 その直後。召喚マテリアルから緑の光が渦巻くように発光して、後に車内は足下を除いた全ての壁や天井や座席がサイクロンの力によって吹き飛び、そしてサイクロンが唱えたエアラの風魔術で列車から離脱する事に成功した。


「学園に戻ってグリムに報告しよう」


 こんなに大事になるだなんて。ボルカノに離れて休暇だなんてしているわけにはいかないとそう感じさせられる一時を経験した。


「カリト君……」

「目が覚めたか?」

「なんか身体がフワついているみたいだけど何?」

「俺達いま空を飛んでいるんだよ」

「……えっ?」


 と目を醒し、朧気な表情を浮かべているラパンは目線で下を見るなり。


「なんか凄くいい夢を見ているんだきっと!?!? そうこんな優しくカリト君にされたことが無いから夢なんだよねーっ!?!?」

「んなわけあるかよ。夢だったらとか意味分かんねーっぅの」

「あうう……」


 とりあえず薬の作用でよくなりつつあるのは充分に分かった。そう思いながら無口になって顔を赤くしているラパンの様子を時折みながら学園へと向かった。

次回の更新予定日は4月29日です。


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