232話:暗殺契約執行命令 その1
「別にお前らガキ共には何の恨みとか辛みなんて個人的にはありはしねぇぜ。仕事だ。そう仕事。ボスからボコボコにして連行するか。お前らの首を差し出せっていう命令を受けたからやることをやっているわけさ」
「多数で殴りかかったり銃撃戦仕掛けてきたりしてるお前らに話す余裕はねぇっつぅの!!!!」
――ズドン!!!!
「あああああああくそっ、やられたぁぁ!?!?。ビリームさんこいつらタダのガキじゃぁねっす!?!?」
「防弾ジャケット着てて何ぎゃあぎゃあ騒いでんだ三下が。これだからお前は俺様に名前で呼ばれりしねぇんだよ」
防弾ジャケットという言葉を初めて耳にして少し脅威を感じている。あっちは少ない弾数でこちらを倒せることができる事になるな。持久戦で比べるならあっちにも分配があるからまずい。
「ねぇねぇねぇねぇねぇちょっと寝ている間になにこんなことになっちゃってるのー!?!? 私の安眠をとらないでってー!!!!」
「そういいながらお前はなんで平然と拳銃で相手を撃ち倒してるんだろうな……」
「夢でカリト君とイチャイチャしてたのにデリカシーないから怒っているのよ!!!!」
的確なショットで次々と三人の男達の猛攻を掻い潜りながら遮蔽物を巧みに駆使して倒していく姿に思わず複雑な気持ちだ。
とりあえずあいつらの弱点が頭なのは分かった。たぶんジャケット以外にシャツとかズボンとかネクタイとかの衣類にも防弾の機能が備わっているに違いない。対モンスター用に開発したセイバーMk.2でも、相手はその場で痛みに悶絶して転げ回るだけで済まされているので、痛いことには変りはないと思うけど、
「ラパン。あいつらがノックダウン。いや、気絶するまで頑張って打ち続けて倒すぞ」
「言われなくても分かってるよ。この場が最初な分けないから!」
「りょ、了解した」
修羅場には馴れているようだ。俺の杞憂である。
要は殺し合いなわけじゃない。シンプルに飛び道具を使ったボクシングみたいなもんだと、剣道でいうなら真剣での勝負に近い戦いをしている事になる。ただ、当たり所が悪ければ殺し合ってしまう事になるけれど。
「ヘッドショットは反則行為だと思って戦えばいいな」
「カリト君の言いたいことはよく分かるかなー。って感心してたり変な事考たりする暇は無いでしょ!?!? さっさと倒してくれないかなー!?!? 後で生きていたら何でも出来るから!?!?」
「そういいながらまた人を撃ち倒してちゃってるなー」
また的確なショットと立ち回りで残りの5人のうち2人がその場で気絶してお陀仏に。死んでいないけどそんな感じだ。
「それにしてもあの黒服姿の男達はなんなんだ。戦うにしても要領の悪いことしかできていないみたいだし」
車内の椅子に隠れて身を乗り出して撃ったりくらいしかしてこない奴らに対して疑問ばかりが浮かび上がってくる。どう考えても素人に毛の生えた程度の銃撃戦しかしてこないからだ。普通なら詰め寄ったりして相手にプレッシャーを与えて攻め込んでくると思うのだけれど。
「コンチネンタルの連中よ」
「コンチネンタル?」
「このアテナの街で暗躍している組織の名前。イカロスグループの元締めであるホワイト企業『イカロス』が所有する直属の実行部隊よ。まさかここまでイカロスが反応するとは予想外だったわ。あいつらは殺しを生業とするフロント企業よ」
「つまり殺し屋がやってきたっていうわけか。なかなかに燃え上がるシチュエーションだな」
「調子にのっているわけにはいかないよー! あいつらは兎も角。奥の方で見物している男の人のほうがもっと強いんだから! カリト君。ビリームっていう男の人はこの街では名の知れた強者の殺し屋に数えられる人物よ。気を引き締めて! 私も一緒に戦うから!」
ん…………はっ?
「なにこの運の悪い状況」
「気づくの遅いよっ!?!?」
うん、そこまで考えずに戦ってたな自分。だが、ここまで来たなら絶対に生きて帰ってやる!!!! どんな手段を使ってでも……。
「へぇ、枚数有利をあんな感じにこなしていくとはね。俺も多くのターゲットを相手にしてきたが。こんな珍しいことは久しぶりだな。ちょっと俺も腰を添えて出張ってやろうかな」
「く、くるよ……!」
「……どう出てくる?」
ビリームが動き出した。やつの得物はショットガンのようだ。ポンプアクション式の散弾銃で、塗装は黒。照準は、あれはレーザーサイトか、横付けでついている小型の筐体から赤い線が飛び出ているのが見える。
「まずい。閉所での戦闘ではレフィア先輩曰く。ショットガンが優位だ」
「面制圧にとっかした武器だからね……。勝てる見込みはあるの?」
「こうなったら手段はひとつ」
相手にはないこちらにある力を使っていこう。
次回の更新予定日は4月26日です。よろしくお願いします。
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