230話:対モンスター用有人式大型二足歩行機動兵器『サンダーボルト』
『いくぞ! 消し炭になっちまえ!!!!』
「く、くる!」
サンダーボルトが前傾姿勢になり、右肩のレールガンを撃つための発射態勢に移行した。回りに遮蔽物などが無く、どう考えても避けきれないのは感覚的に分かる。
――レールガン発射3秒前。
――チュゥィイイイイイインン。
「チャージまでにあいつの足下に行くしかないか。うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
『無駄だ間に合わん」
――レールガン発射。
「間にあぇえええええええ!!!!」
――チュドォンッ!!!!
「はぁ……はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」
――再発射まで30秒。冷却シーケンスに移行。
『悪運の強い奴だ。足下に居たらどうなるかくらいは分かるだろう?』
「わ、分かってるさ!!!!」
――ガトリングガン掃射開始。
――ズドドドドドドドドドドドド!!!!
サンダーボルトのアナウンスと共に両腕部下方のガトリングガンが稼働し、その直後に激しいマズルフラッシュと共に、強烈な弾幕が俺に襲い掛かってくる。その刹那の差で全力疾走をしてサンダーボルトの背後に回り込んだ。
対モンスター用有人式大型二足歩行機動兵器『サンダーボルト』は二足歩行を基本として両前足と併用して歩行もできる有人式ロボットだ。おそらく前の世界にある動物で例えるならゴリラの歩き方に近いだろう。両手両足の形がそれに近い形状をしている。容姿もまぁそれに近いか。武装したゴリラロボットっていうのはダサいか。全長は目視で約5メートルくらいかな。
「シンプルな武装だけどどれも対人相手には強力で過剰すぎるっての」
『ふははははっ、怯えろひれ伏せ。これがイカロスグループが生み出した最強の兵器だ!!!! ハンターなど時代遅れな職業だ。この機械を前にしては奴らも無力なのさ』
確かに右肩にさげられているレールガン。左肩にある円盤状のレーダー照準器。そして両腕部のガトリングガンがあれば怖い物などないだろう。
だが、お前の慢心は俺を怒らせるのに充分だ。
「ハンターがいなければとっくにこの世界はモンスターが支配してた。その恩恵をそのように言うお前は何だ? テメェは自分の身体を張って命がけで負けると分かっててもモンスターを前にして戦った事があるのか?」
『はぁ……これだから労働者風情は世迷い言を言うから好かん。所詮能の無い落ちこぼれの戯言にしか聞こえん。むしろそのような自殺願望者の考え方には賛同などできんな』
自分に酔いしれているのかこいつ? どうやらお前はこの街に毒されているようだな。ならば。
「お前には命の価値なんて分かりはしない。何かを守る為に命を賭けて戦うことをお前には徹底的に身体で教え込んでやるよ」
『やれるものならやってみろ小僧。お前に何が出来るんだ?』
そろそろセイバーMk.2の強さを見せてやろう。
俺は間合いを開けて膝立ちになる為にしゃがみ込み、セイバーMk.2の弾倉を入れ替える。
「サンデー。お前の力を借りるぞ」
セイバーMk.2に差し込んだのはサンデーの力が封じ込められた『サンドラバレット』弾倉だ。
それは兎も角だ。コッキングをして狙いを定めて引き金を引き。
――ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
強烈な反動を全身で制御しつつ、銃口から吐き出される超極太のビーム咆撃をサンダーボルトに向けて照射した。
『く、くそ!?!? こ、こんな筈ではっ!?!? ぬわぁっ、ぐああああああああああああ!?!?』
「討伐完了……ふぅ」
サンダーボルトを操っていたフロント企業の社長は。その兵器と共に爆散して跡形もなく消えた。
「また、俺は人を殺してしまった……」
その場に残ったの自分の中に沸き起こる罪悪感だった。
昨日は体調を考慮してお休みさせていただきました。
次回の更新予定日は4月25日です。よろしくお願いします。
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