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229話:フロント企業の社長 その2

 アテナで二度目の列車に乗る体験をした後、俺達は目的地に辿り着く事ができた。途中で倉庫街を警備する警備員の兵士達に目撃されそうになったりもしたが、そこは要領よく身を隠したりしてセキュリティーの目を掻い潜っていき、無事に潜入は成功。あとはこの中に居るはずの社長を見つけ出さないといけない。


「二手に分かれて探すか?」

「ちょっとソレはリスクが高いと思うなー」

「どうして?」

「だって私達の戦力を分散させるメリットがないように思えるの」

「……?」


 ちょっと何を根拠に言っているのかラパンの事が分からない。んーと声を上げながら思考した後、やはり分からないのでとりあえず彼女に合わせて動く事にした。


「武器を途中で調達しないといけないね。私は重い物とか持つのが苦手だからいつもは幻獣と一緒に戦っているの」

「俺はハンターもやっているからな。銃があればとりあえずまんべんなく使えるようには訓練してきている」


 とはいえ、最近になって始めたばかりなので腕はあまり自身がない。そもそも器用貧乏な事はしたくはないのだ。


「その召喚マテリアルはどうしても使わないの?」

「……力が強すぎるから潜入向きではないな」

「じゃあ、戦闘になったら暴れてくれるっていうわけだね?」


 まあ、そういうことになるか。でも使わないのも勿体ないから少しだけ使いこなせるようには頑張っている。その1つが。


「あ、コンテナで行き止まりだね。どうする。引き返して別の道を探す?」

「いや、ここは浮かんでルートを直進してみよう」

「そんな事ができるの?」

「ああ、ここ最近になって編み出したスキルなんだが。サイクロンの風魔術を使った新しいスキルなんだけど」

「なんていうの? どんな事ができるの?」

「簡単に言えば足下にちょっとした上昇気流を起こして宙に浮かぶっていう技だ」

「エアとかじゃない魔術なの?」

「あまり学校みたいな話しは好きじゃ無いが。そういうことになるな」


 まだ名前は決めていないけれど便宜上で風魔術『ホップアップ』とでも呼んでおこう。一定の高さまで上昇浮遊ができるスキルだ。


「ただ上がるだけなの?」

「任意の高さで抜け出して着地する事もできるぞ。着地の時に音を鳴らさない自身があればだけどな」

「私初めてだからー。そうだ。やり馴れているカリトくんにお姫様抱っこして貰ったほうがいいかも」

「なんでそうなるんだ」

「やーだ。ほら、私もう歩くの疲れたから持ち上げてー」


 ペタンと座り込んで腕を伸ばして甘えてくるラパンの姿に、俺は戸惑いというか、ドキドキが止まらずにいて滅茶苦茶困っている。おいおいおい、俺にはリリィがいるんだぞ? なんで無意識にラパンを異性として見てしまってるんだって……。


「はあ、情けねぇ奴だな。ほら、おんぶで許せ」

「わぁ、やっと心を開いてくれたー。うふふ」

「んなわけあるかよ」

「ふふ、可愛いなー」


 んな甘い声を使って耳元で囁くなって。何のASMRだよ。そう思いながら彼女の事を背負ってサイクロンにホップアップの風魔術の起動をさせた。ひとりでに渦巻く風の中に入り、ふわっとした感触と共に身体が天井近くまで浮き上がった瞬間。


――チュゥィイイイイイインン、チュドォンッ!!!!


「っ――!?!?」

「えっ、何あれ!?!?」


 前方約200メートル先。スパークを纏い赤熱した発射台付の機械の塊が、俺達の元いた場所に向けて目には見えない何かの飛翔体を飛ばしてきた。


「あれはもしかして……」

「知っているのか!?」

「ええ、あれは対モンスター用有人式大型二足歩行機動兵器」

「メタル……ギア……?」

「違うよ。サンダーボルト。それも先行量産型の対モンスター用兵器よ」

「サンダーボルトだって? 雷電を操るロボットなのか?」

「ラインデン……? 何を言っているのかわ分からないけれど気をつけて。あれは普通じゃ無いから……!」

「見たまんま普通にヤバイ事だけはよく分かった」


 現に足下にあったコンテナの迷路がスッキリとして跡形もなく消滅しているからな……。ふざけている場合じゃ無いな。


――主殿。シャリオス様からお言伝がございます。


「伝言だって?」

「ん、召喚獣と話してるの?」

「ああ」


――あの鉄の異形から雷の根源を感じるとおっしゃっております。おそらくは雷幻魔術を模倣した木偶人形であると。そして幻獣王ミニョルの存在を感じておられます。


「幻獣王ミニョル……」

「それって神話の物語に登場する雷幻獣の王様だよね? それが何か関係があるのカリト君」

「分からない。だがあの兵器を破壊しないといけない事は分かった」

「えぇっ!?」


 驚くのも無理はない。てか俺も内心は驚いているんだよ。ふと。


『そこで浮いているお前ら! 何者だ!!!!』


 サンダーボルトに備え付けられているのだろう。外部スピーカーから男の声が聞こえてきた。


「見つかったな」

「ええ、みつかったね」

『まさか副社長が連絡してきたガキ共か! よくも俺の会社で好き勝手に暴れてくれたな!!!! ここで会ったのが運の尽きだ。このイカロスインダストリーが生み出した最高傑作でお前達をぶち殺してやろう!!!!』

「人間に向けて使う兵器じゃねぇだろ!?!?」

「こ、こわいよ……」


 相手の考えている事が正気じゃないな!!!?


「ともかく。ラパン。お前は直ぐに引き返して援軍を呼んでくれ。ここは俺が引き受ける」

「無茶だよ! 絶対に死んじゃう! いやだよ!!!!」


 ラパンの泣叫ぶ言葉に俺は、


「無茶でも俺は男だ。女の前で恥を掻くような事をするのは死んでも御免だからな!!!! サイクロン。今すぐにこの子を安全な場所にまで連れて行ってくれ。後で合流しよう」

「カリト君!!!!」


 サイクロンのエアラでラパンは安全地帯にまで運ばれていった。


『ほう、一応の男らしさは見せた感じか。しかしそれも今のうちだ』

「言ってくれるぜ……」


 俺は天高くから地面にフワッと降り立ち、拳銃を片手にサンダーボルトから50メートル離れた場所で立ちはだかった。


『そんな玩具では倒せないぞ。いったいどんなマジックで俺を楽しませてくれるんだ?』

「ふぅ……こういう時の為に嘘はあるってんだよな」

『あっ?』


 ラパンには申し訳ないが、俺は何も手ぶらで街を歩いているわけじゃない。俺はネメシスの一員だ。いつ何時にでも戦えるように武器を隠し持っているんだよ。


「こいつでどうだ? 対モンスター用兵器同士楽しく勝負をしようじゃないか」

『ただのスナイパーライフルで何が出来るってんだ?』


 セイバーMk.2をただ者呼ばわりしている時点でお前は負けだよ社長さん。


「じゃあやろうじゃないか。レッツパーリィー!!!!」

明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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