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221話:学園の治安活動その1

 ちょっとした遊覧飛行を終えて、丁度下校時刻が近付いたこともあり、俺達はその場で解散することになった。いまから学園の生徒全体で選択活動。部活動を時間の許す限りする事になっている。


 今週は俺達新入生が入ってきた事もあって、校内では至る所で勧誘活動が行われている。自分の気に入った部活で学園生活を有意義に過ごす事も成績に反映されるので、しっかりと吟味して選ぶ必要がある。


 ちなみにこの学園では部活動じゃなくて『クラン活動』とよぶらしい。ボルカノでよく耳にしていたクランとは別の言葉の意味があるみたいだ。


「残念だけれど。最下級のクラスの生徒は受け入れられないかな。ごめんね。僕たちは中級から上級生徒の新入生を対象に募集をしているところなんだ。とりあえず邪魔だからあっちへいってくれ」

「んなっ!?!?」


 無礼というかモラルのかけらも無い。目の前にいる爽やかイケメンの上級生は俺の胸を手で触れて突き出し、そのまま後ろへと押してきた。思わずその対応にカチンときそうだったが。


『いまのは主に対する不届きな行ないですな。この私が直々に正しいお作法というモノを身体にたたき込んでやりましょう……』


 マテリアルの中でその一部始終を見ていたサイクロンが滅茶苦茶起こっていたので、


――やめろサイクロン。お前に力を使わせるような相手じゃ無い。ここは俺に免じて許してやってくれ。


 と諭したところ。間を置かずにして、


『おぉ、なんという慈悲深きお言葉……! わかりました。ここは主の寛大なるお心に免じて目の前の小僧の無礼な立ち振る舞いは見なかった事にしておきましょう』


 って、なんだか大げさに反応はしてきたものの。大惨事にはならずにすんだのでとりあえずホッと安堵のため息がつけそうだ。


「そうか……クラスの階級的な奴で入れる部活は限られているのか……」


 それ以前に。


「ちょっと何よ! 学者の家柄はよくて。私みたいな労働者階級はダメだなんて!」

「うっせえ! お前みたいなワーカー共が所属できるクランはねぇんだよ! さっさとパパとママのお手伝いでもしてこいよっての!」


 その言葉に俺と同じ境遇に立たされていた女子生徒がその場で拳を作りながら悔し涙を浮かべて、差別的な発言をしてきた図体の良い強面の上級生をにらみ返した。すると、


「あぁん? 俺達を睨んで何女々しく涙を流してやがるんだよワーカーのクズ女が。この俺がフィアット・アヴァルト家の家系だと知った上でのその態度だろうな?」

「うそ……FAの家系……」

「はん。それはそうと。お前いい顔立ちしてるな。俺の女になれよ。そうすれば今の無礼な態度は水にながしてやるぜ? 悪くない話しだろ? ワーカーと罵倒されるのはさぞ辛いだろうな。そんなクソみたいな心配は俺の側に居れば何の問題も起きない。地位がお前の元にほら、直ぐそこに転がっているぜ?」

「……パパ……ママ……」

「そうだ。お前のパパとママも地獄のような労働の毎日から抜け出せるんだぜ? お前の身体一つで楽にさせてやれるんだからよ。こいよ。こっちへこいよ……ぐへへっ……」


 そうタチの悪い取引を持ちかけられてしまった女子生徒の心が揺らいでいるのは目に見えて分かった。これが彼女の選択なら俺は止める権利はない。だけれどな……!


「おい」

「あぁ? なんだテメェ?」

「あっ……君は……さっきの……」


 女子生徒の動線に立って男に向かおうとしたのを制止した。

 俺の正義の心が男に悪意があるのを感じたんだ……! 黒く紫色の悪意のオーラが背中からにじみ出しているのをこの目で見てしまった。あれは直感的に犯罪的なナニかをしている奴らから感じるオーラだ。


「お前。この女の子にナニか悪い事をしようと企んでいるんじゃねぇのか?」

「なんだって?」

「もう一度聞く……。女の子にナニをさせようと思っているんだ」

「てめえの考えているような事はしない。あくまで可哀相なワーカーを救済する為の慈善活動だ。そうこれは。俺達のクランは慈善活動と共にあるんだよ! なあ、お前ら」


――そうだぜ。俺達は可哀相なワーカー。特に女の子を大事にするクランだぜ。


「嘘っぱちくせぇ……」

「なんだとこのクソガキが」


 最初から最後まで高圧的な態度で俺を見下ろしてきているが。1つだけわかる。


「そうやって表向きはよくしてますってやっているんだろ? 分かってんだよお前らの悪事は」


 そう、俺はこのクラン活動に紛れて犯罪を犯そうとしている犯罪者を取り締まるため、解散時にルナ先輩から任務を与えられていた。


次回の更新予定日は4月3日です。よろしくお願いします。


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