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216話:召喚幻獣『サイクロン』との戦い その2

『まずは小手調べからしようか愚かな人間よ。どれ、タイフガ』


 召喚幻獣『サイクロン』が『タイフガ』と呼ぶ何かを発しながら身振り手振りで繰り出してきた。直後に外気がビュオーと風音を鳴らしながら動き出し始め。そしてルナ先輩が立つ位置に囲むようにして六つの中規模の竜巻が巻き起こり、そのままジワジワと隙間を狭める形で彼女に詰め寄り始めた。


「これがタイフガっていう技。いや呪文なのか」


 相手のつかみ取れないアビリティーに戸惑いを感じながらも、俺はルナ先輩がタイフガの猛威に呑まれないよう、新弾薬である爆裂グレネード弾を手に、銃先端下部に取りつけてあるグレネードランチャーの装填口を開けて滑り込ませるようにセットし、倍率スコープに表示されている着弾予測の弾道のラインに、タイフガの竜巻の一箇所へめがけて重ね合わせ照準し、


「ルナ先輩。6時の方向に向かって退避行動を取ってください!」


 大声で後方へ退路を確保すると彼女に伝える。


「サンキューカリトちゃん! さっすが私の見込んだ少年だわ。後でチューしてあげる!」

「いえ、それは遠慮いたします」

「もう、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ!」

「ははっ……」


 こんな状況でも余裕があるルナ先輩に思わず苦笑するも、やるべき事を成し遂げる為にグレネードランチャーの引き金を引いてポンと弾頭を射出する。ふと、


――無駄だよ。あのサイクロンの事だ。タイフガの竜巻に対しても物理無効の固有アビリティー。『竜巻防壁サイクロンプロテガス』を発動させているはずだ。ボクの使役する四幻獣王しげん・じゅうおうの中でも、あいつはふう幻魔術を駆使した戦い方が得意な幻獣王なんだ。そんなちっぽけな鉄の塊で何が出来るんだい?


 そう意見を話してきたので――てか、いま幻獣王って言ったかこいつっ!?!? ファンタジーゲームでは滅茶苦茶つよいサポートキャラでボスキャラに位置する的な奴だよねっ!?!? あ、胃が痛たたた……!?


「い、いや、あの竜巻に対して直撃はさせないよ」


――どういうことだい?


「ああいうことさ……胃が痛い……」


 と言った直後。爆裂グレネード弾の弾頭が着弾して効力を発揮する。その光景に感極まったのかシャーリーが解説し始めており。


――あれは! ……なるほど。ああやってワザと手前で落として起爆魔術を発動させることにより、タイフガがもつ竜巻の壁に対して効力を発揮させて力を相殺させて掻き消すわけか……。君、もしかして頭が良いのかい?


「んな難しい言葉ばかり使われても分かってない自分がいるからバカだとおもうぞ」


 要はシンプルに考えて物理には物理で。同じ力、あるいはそれ以上の力をぶつける事であの竜巻を霧散させるという作戦だ。力に対して力で矛盾を生じさせて掻き消すか上書きをすれば良いんだ。


「サンキューカリトちゃん! 実に間一髪だったわ」

「命があってよかった……です」

「どうしたの怪我でもしたの?」

「いや、いま目の前で戦っている相手の事を知ってしまって胃が痛くなって……ははっ」

「……それは随分と面倒な相手を呼んだのかしら?」

「その何でも俺の使役している幻獣が言うにはあの化け物は四幻獣王の1体らしくて。それで風魔術を得意とする防御型のモンスターらしいんです……んな相手を俺とルナ先輩でどうこう「できるわよ」ってえ?」

「できるっていったのよ。ようはあのサイクロンちゃんの得意じゃない戦い方をしてやればこちらにも勝算があるってことでしょ?」

「……理論的にはそうでしょうきっと」

「じゃあやればいいわけよ」

「見込みはあるんですか?」

「ええ、昔に一度だけ任務中に似ような戦い方をするモンスターと鉢合わせになった事があって。経験済みだから言っているのよ」


――こやつの言っているモンスターは恐らく爆風龍バリバリシアのことかな。サイクロンより格はずっと下だけど。似たような戦い方をするから練習相手には丁度良いモンスターだよ。


「シャーリーがルナ先輩と鉢合わせになったモンスターの事を爆風龍バリバリシアって言ってるんですけど」

「そう、そいつよ。なんでも知っているのね幻獣ちゃん」


――げ、幻獣ちゃ……ん……? 見下されているのか……?


「あの、そろそろ作戦を決めません……? ちょっとシャーリーが機嫌を損ねてるので」

「あら、ちょっと失礼だったかしら。ごめんなさいねシャーリーちゃん」


――……まあいい。いまはサイクロンをどうにか始末して現実世界から引き離すのが先決だ。


 どうやらこの神獣様は、自分でもあの竜巻を纏ってこちらの様子を伺う幻獣王に対して何も手出しが出来ないらしい。力尽くで現実世界から追い出すしか他に手段が無いという臭わせ方で話しをしているから何だそりゃってなる。ちなみにルナ先輩が、


「カリトちゃん。このまま長期戦になると学園にも大きな影響がでるわ。ここは超電撃作戦でいくわよ」

「なにか方法があるんですね! お願いします!」

「カリトちゃん」

「はい!」

「あなたが頑張って先陣を切って突撃するの!」

「はいぃっ!?」


 思わずガクッと身体が崩れ落ちそうになる。どういうことぉっ!?!?


「最初に渡したあれがあるでしょ」

「え、ええ……コレですよね。なんか野球ボールくらいの大きさのある水晶玉」

「やきゅうって何かしら? まあ、いいわ。ボールサイズのそれはね召喚魔石。通称マテリアルって呼ばれている特別な鉱石で作られた高級魔石なの」

「細かな説明は省きますけど。と、とりあえずコレをどう使うんです……?」


 大体の予想はついているんだけど。一応聞いておこうか……。


「これを使ってあのサイクロンちゃんをキャプチャーするの!」

「んな無茶なぁああ!?!?」

次回の更新予定日は3月9日です。よろしくお願いします。難しかったら10日に繰り越させて貰います。

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