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213話:神獣の力。ちょこっとお借りします! その1

「あーっ、だる……。俺達、幻獣を使役する為に授業を受けているんだよな?」

「ちょっと、あなたの怠けオーラを私に向けてこないでちょうだい。うつるから」


 学園指定の体操服に身を纏う気怠そうなアルヴェルと同じく、その隣でちょっとその態度に嫌そうな反応を示すポルテは、共にしゃがみながら手を使って地面に生えている雑草を地道に引き抜いている。


 そんな彼らの様子を伺いながら。俺は実行に移すことに。


「よし、やるぞシャーリー」


――うむ。では君の指示通りに始めよう。


 そう言って俺の服の中でモゾモゾと動き、シャーリーはそのままスポット腰から抜け出して姿を現したかと思いきや。なんと、その場で透明な姿になって目の前で消えてしまった。てっきり姿を前に現して注目の的になる行動をするのかと思ったのだけど。何か考えがあるのだろうか?


「お、おいシャーリーいるか……?」

「ん、どうしたんだカリト。俺の事を呼んだのか?」

「ばっか、いまのは女の名前よ。もしかしてぇ、これだったりする????」

「い、いや違うってポルテ!?!? あれだよ。俺の幻獣が姿をくらましていなくなっちまって困っているんだよ」


 小指を立てて恋バナでにやつくポルテの発言を一蹴するように、俺は言葉を上手く使ってそれを否定した。


「飼い主のお前が何してんだっての。ったく、いらねぇ仕事を増やすなって」

「す、すまんアルヴェル」

「で、お前はいまからどうしたいんだよ?」

「えっ」

「…………」


 その言葉にはなんとなくだけど俺達にどうして貰いたいんだという意味が込められている気がしたので。


「ちょっと手伝って欲しい……かな……」

「ならそう素直に言えって」

「お、おう」


 なんか馴れ馴れしいなって思いながらもアルヴェルが俺の為に手伝いを初めてくれているので。


「ちょっと俺の幻獣は気難しい奴だからな。とりあえず気配を感じたら俺に声を掛けてくれ」

「その話しで想像すると。お前で無いと俺がボコられちまうみたいな感じか。分かった、とりあえず俺は鼻がきく方だから。何か感じたら知らせてやる」

「じゃあ、アルヴェルはあっちの方に行って探してくれ」

「あたしはどうすれば良い?」

「そうだな。パッソだっけ?」

「ポルテだって!」

「わっ!? おま、なんだその力はっ!?」

「あたしの風使いのシルフよ! 下手に私を怒らせたら八つ裂きの刑だからね!」


 彼女に纏わり付く見えざる風の渦と共に、両腕を胸の前で組んで睨みながら立つ姿を前にして尻餅をつくと。


「あら、あなた。ちょっと変わった雰囲気をもった幻獣を持っているのね」

「わかるのか?」

「あんたの首に掛かる魔晶石の色を見れば分かるわよ」


 そうビシッと指をさして、俺の首に掛けられた黒色の魔晶石を前にしてツンとした態度をとるポルテ。


「それと私は目の色が変わってるでしょ?」

「金眼が何だ?」

「あなたにそう言われるの生きてきた中で初めてね。まあいいわ。無知な人に話すのって新鮮だし初めてだから不慣れだけど教えてあげるわ」


 や、優しいなぁ……っと思いながらも説明を受けていく。


「なるほどね。そのゴールデンアイっていうスキルが君の天賦の才なんだ」

「そうよ。この目のおかげで魔晶石の色の中身を把握することができるわけ」

「で、俺のこの黒い魔晶石はどうなんだ?」

「……いまの私にもその色の魔晶石の中身は鑑定できそうにないわ」

「じゃあ何でそれを話すんだ」

「ただのお節介よったく」

「あ、ああ」


 って話し込んでいると。


――ったく女の子と話すのはいいけど、ボクの事をほったらかしにして何がしたいのかな。


「ん、なに焦ってるの?」

「いや、ちょっと幻獣が早く自分を見つけろって囁いてきているんだよ」

「あなた幻獣と話しができるのっ!?」

「やべ」


 しまった出来るなら知られたくなかったんだけどな……!! だが身から出た錆びよろしくなわけなので仕方が無く適当にごまかすことに。この街にモンスターテイマーについて知っている奴。とくにこの学園はそういう色には濃いところがあるから俺がその人物だと知られたくは無い。


「…………」

「ほら、お前のゴールデンアイっていう力と同じように俺も幻獣と話しができる力があるんだよ」

「ふーん、それって良い意味でも悪い意味でも目立つスキルね。どう、私で良ければ貴方とパートナーを君でもいいわよ」


 その言葉になにか裏を感じる。目もどこかシュッと何かを考えている雰囲気があるな。とはいえ。


「また考えて答えを出すとしようかな。いま直ぐに言うと信用できないだろ?」


 と言葉を返すと。


「そう、ならじっくり考えて答えを聞かせてね。じゃあ、私はあっちの方で作業にでも勤しむわ」

「っていいながら休憩がしたいだけだろ」

「当たり前でしょ。この目は疲れやすいのよ」

「なるほどね」


 とはいえ人払いは済ませることができた。さっさと指示を出さないとな。


――おっ、ようやくかな。


「頼むぞ。シャーリーの力を見せてやろうぜ!」


 少し態度を変えて元気よくシャーリーに合図を出した。





予定を少し早めて更新です。次回の更新予定日は変わりなく3月7日です。よろしくお願いします。

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