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210話:ルナ先輩の役割(ロール)

「ルナ先輩」

「あら、やっぱり来るのねカリトちゃん」

「はい」


 ルナ先生としての挨拶を終えた彼女に会うため、廊下に出たタイミングを見計らって俺は教室から少し離れた所で接触をはかった。そして今、俺の動きを理解していたようで、彼女はニコッと笑みを浮かべ返してきて見つめてきている。


「何が聞きたいのかしら?」

「単刀直入に言わせてください。俺はなんでこのクラスにいないといけないんですか」

「ふん、なるほどなるほど。残念だけど私にもよくわからない話なのよね」

「えぇ? それってどういう……?」

「文字通りそのままの話よ。わたしはルーノ職長に命令されてあなたの様子を見るのと伝える為に寄越されたわけであって、今日が初めての現地入りだったの。だからあなたが知っていることでも私には何なのかさっぱりなわけ」

「難しすぎて何を言いたいのか分かりづらいのですけど……」

「文字通り私にはわかりません!」


 あーっ、これ俺の思い込みだったみたいだ。すっごく気まずいな……。何でかって聞かれたら、初出勤の新人が、つい最近の間に俺の身に起きた出来事なんて知るわけねぇだろってな話なのに、俺はあたかもそいつが知っているかのように質問を投げかけたわけで。つまり、


「お、俺の思い込みでしたすみません!」

「もう、カリトちゃんったら早とちりもいい所よ。さて、話題を変えましょうか」

「うっす」


 今の話よりも大事な事があるようだ。


「カリトちゃん。ラパンちゃんとはもう会えたのかしら?」

「ええ、ここにきて初日から彼女には世話になっております」

「あまり関わらない方がいいわよ」

「関わらない方がいいとは?」


 ルナ先輩の切長の目が細くなるのを見るのと共に。


「彼女の天賦の才。幸運は欲を原動力にして現実世界に奇跡を起こす不思議な力なの。0を1に。有り得ないを事実に。私たちでも解明する事に成功出来ていない特別な力を彼女はその身に宿しているのよね。それだからなのかアルシェちゃんは彼女をネメシスに引き寄せて囲い入れたの。そしてそれもラパンちゃんの引き起こした奇跡なのかもしれない」

「奇跡を司る幸運のチート使いと?」

「いい響きよね。うん。でもそれを踏まえて言わせてもらうわ。幸運には必ずその量と質に応じた不幸が訪れるの」

「ん? どういうことですか? 普通に考えてラッキーだったら良くないですか?」

「発想が凡人以下よ」

「って言われてもわかないからそうしか言いようが無いですって」

「言葉を返すのもコミュニケーションだけど。まあ、それは学園生活を送っていくうちに養ってもらうことにしておいて。あなたに起きた不幸な出来事。最近になって何かなかったかしら?」

「…………」


 ある。だけど信じられない。ただ彼女と一緒に居ただけなのにそんな事が起こりうるというのか? 根拠よりも因果関係に不透明さがありすぎて考える所までに至れずにいる自分がいる。


「さぁて、そろそろ私も次の授業に必要な教材を取りに行かないといけないからそろそろここまでにしましょう。続きは自分で考えて頂戴。それでわかった事が有れば伝えに来てちょうだい。何事も考えて相談してが大事よ」

「りょ、了解です」


 動揺を隠せてない俺を前にルナ先輩はそのまま背中を向けて立ち去っていくのだった。




予定を変更して更新させていただきました。


次回の更新は02月21日になります。よろしくお願いします。

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