表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/402

205話:クラス決めの試験 その4

 召喚の儀式は至ってシンプルなシステムのようだ。試験官が伝えてきた通り、ただそこにある魔方陣の中央に足を運び、そのまましばらく魔晶石を手に持ちながら立っているだけでいいのだというから、試験の苦手な俺でも楽にして挑む事ができそうだ。


「あなたが素晴らしい学生であると理事長からはそうお聞きしております。なんでも何百年に1度の逸材だと」

「えっ?」


 ん、どういうこと?


「おとといの会議で私。理事長から直々に良き計らうようにと仰せつかっている身なので。くれぐれも失敗の無きように頑張ってくださいね。明日のボーナスの査定に掛かる話しなので」

「いや、あんたのボーナスを出しに俺を遠回しにプレッシャーを掛けないでくれないかな!? すっげぇ気を遣うじゃん!?」

「まぁ、理事長のメンツに泥を塗るような事が無ければいいのですが」

「…………」


 来て早々なんだよこの試験官は。俺を呷ってバカにしているのか? そうもとれる喧嘩を売られながらも俺は魔方陣の中央に歩いて立つと。


「さて、しばらくそこでローディングを待つことにしなさい。なお、ここに入った限りは何があっても外には出ない事です。理由は様々ですが。この儀式は無代償型と呼ばれる。なにも供物を差し出さなくても良い召喚儀式で。それを可能としているのは貴方の身体が触媒として作用しているからです」

「そう言われて理解出来るほどの能はないかな」

「最初はそうです。要するに儀式の契約に反する事をしない。これが重要となります」

「何もせずにここでずっと立っていろという事かよ」

「ええ、そうですね」

「その方が分かりやすいっつーの」

「残念ながらよく言われますね」


 まあ、細かい事を抜いて話すと、後でそれ聞いていなかったですとすまされないんだろうな。お互いの立場的に妥協しろと言いたいのかもな。


「ではそろそろ儀式の起動が始まる頃ですね。では最後は盛大に周りの学生を賑わせてくれるような。あるいは慎ましい終わり方をして頂けるとこちらとしては安心して次の試験に移れます」


 うーん。どう言葉を返せばいいんだよそれ。と思いつつ考えごとをしていると。ふと服の中でモゾモゾとシャーリーが動き出して。


――にゅっ? なんか下から凄くパワーを感じる……。


「えっ?」


 と言葉にした直後。赤い閃光と共に視界が真っ白になっていき。


「……うぅ、どうなってる……?」

「……まさか。ありえませんわ……!」

「…………?」


 目がバルスみたいに見えない中で聞こえてくる試験官の動揺する声。明らかに戦慄感のある声色だった。えっ、なにか俺。ヤバイ召喚獣でも呼んじゃった……? と、思ってしばらくした後に視界が戻って周りが見えてくると。そこには、


「……んんん??? あれ、なんで???」

「どうして召喚の儀式の魔方陣が破壊されてしまったのですか……!?!? あなたは一体何者なんです!?」

「サトナカ カリトです」

「そんな冗談は聞いておりませんわ!!!!」

「あ、はい」


 召喚の儀式によって本来なら他の生徒達みたいに多種多様な幻獣が召喚される筈だったのに。俺の場合は。


「どうして拒絶が起こったのです……?」

「…………」


 召喚の儀式がキャンセルされて魔方陣が木っ端微塵にパリンと壊れて霧散して消えてしまったんだ……。そしてその影響もあって俺の元には幻獣が降り立つ事はなく失敗に終わってしまった。


「……試験の規定では想定外な出来事について。このようなイレギュラーな要素は考慮されていません……。残念ながらサトナカ カリトあなたはこれ以上の試験は受けることが不可能となりました」

「え、そんな」


 嘘だろおいおいおいおい!?!?


――どういうこと? 魔方陣か壊れちゃったよ?

――あいつは何者なんだ? 普通じゃねぇぞ。

――これは何かの理由であの人には召喚の儀式に対する資格が無かったとしか思えませんね……。


 周りの冷たい反応が耳に刺さってくる。嫌だ! こんなの認められるわけないだろ!!!?


「な、なあ。もう一回やり直してくれよ!!!!」

「無理です。魔方陣の再構築には莫大な費用が掛かってきます。あなた一人の問題としか思えません。ですので試験の結果としては。残念ながらあなたは最下級のクラスに所属となります」


 理不尽すぎるって……!!!! そう思っていると後ろから。


「そうだそうだ! お前は最下級学徒に大人しく入っちまえ。このインチキ野郎が!!!!」


 その言葉が啖呵となって周りに伝染していき。


――インチキ野郎!!!!

――サイテー!!!!

――お前みたいな奴が学園の風紀を乱すんだよきっと!!!!

――遅刻した時点でお前は最下級学徒だ!!!!


「違う……俺はただここに立って試験を受けただけなんだよ……」


 それで魔方陣にトラブルがあって。もう……俺には弁明する余地がない……みたいだなこの感じ……。


「学園を追放する行為はしません権限の範囲を超えてしまいますので。ですので今後の処遇については追って通達します」

「はい……わかりました……」


 俺を庇ってくれる味方はここには誰も居なかった。



 

次の更新は水曜日になります。よろしくお願いします。です。今後は書きためて予約投稿する形で可能な限り投稿させてもらう予定です。よろしくお願いします。


この作品が少しでも『面白い』また『続きが気になる』と思って頂けましたら、是非とも広告下にある『☆☆☆☆』の所を押して高評価をお願いします! ブックマーク登録も必ず忘れずにお願いします。レビューや感想もお待ちしております。誤字脱字報告の方も随時受け付けております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ