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181話:喧騒する酒場ですごす一時の夜

「はい、どうぞ」


 水滴で濡れたジョッキを手にして胸の前に掲げると、サビがエール瓶を傾けながらニコニコと黄金色に輝くシュワシュワを注いできた。


「あ、ありがとう」

「ふふ、さあ呑んでくださいな」


 並々に注がれているエールを口に呷る。これで二杯目になるが、それでも俺は隣で彼女が満たされた表情で恍惚としている事を想えば何ともない。正直普段はこうやって、そもそもこんな事されながら酒を飲むこと事態が初めてだからというのもあり、今日は一段と緊張感が自分の中で増している。


「ぷはぁー! うまい!」

「良い呑みっぷりですわご主人様!」


 ここはいつからアルコールOKなメイド酒場になったんだろうか。さすがご主人様です! って褒められながら酒を呷るなんて。


「お前が俺の主人で嬉しいよ本当」

「そう言われると照れてしまいますわ」

「食うか? 腹空いてるだろ?」

「ラミアさんからはお客様からの差し入れは受け取らないでと言われてますが……」

「身内なんだから大丈夫だ。変な気を起こして事件が起きないのを未然に防ぐためのルールの話しさ。なんだたら聞いてこいよ。仕事で報告連絡相談は大事だって親父がいってたから必要なんだとおもうな」


 アルバイトで日銭を稼いでいた自分が言うのもあれだけど。そういったコミュニケーションみたいな事も大事なんだろうなきっと。特にサビの仕事はそういったのが必要になってくる筈だと考えられるな。


「わかりましたわ。すこしお待ちください」

「おう、首を長くしてまってるからな」

「えと、ご主人様って首が伸びるのですの?」


 俺が妖怪でいうろくろ首みたいに首が伸び縮みするのを想像してみて思わず。


「ない、絶対にないからなっ!? 今のはあれだ。長時間になってでも待ってやるっていう意味が込められた言葉だ!!!?」

「よく分かりませんがそうなのですのね」

「おう、だから待ってるぞ」


 っと、彼女がカウンター向かっていくのを見送り飲食をしていると。


「よう、あんちゃん。あんたサトナカっていうんだよな?」

「…………なんだよ」


 あぁ、さっきサビが言ってた輩の一人かな? せっかくの酒が不味くなるじゃないか……。


「おっとそう怒らないでくれよ。そのなんだ。ここにいる奴らを代表してひと言わせてもらいに来たんだ」

「なんだ? あの子は俺の妹だ。家族で何しようがかってだろうが……」

「へぇ、あの嬢ちゃんのお兄様っていうわけか」


 俺は察しが良い方だ。喧嘩を売られようとしている。荒くれの衣服をした大男の話を聞きながら飲み食いをつづけると。


「おいてめぇ、兄貴がせっかくお前に話しをしようとしているのに何だその態度はよぉ!」

「さっさと用件をいえよ。こっちは妹が帰ってくるのをまってるんだ。邪魔すんな」

「話しが早ぇのはいけないぜ? なぁ、お前達?」

「そうですぜ兄貴」「おうよ兄貴」


 ジトォっと3人を見ながら彼らの茶番に付き合う自分。うん、ソーセージの塩加減がよくて美味しいな。んで、


「というわけだ。おめぇはこの酒場のルールって奴を忘れているようだからすこし面を貸せよ」

「貸したら返してくれるのか?」

「あん?」


 売言葉に買い言葉。これで奴らは自分達のしている事に後悔する道を辿ることになったな。既に彼らの意識外で事は着々と進んでいるからな。だって、


「いっておくけど。お前らに俺は倒せない」

「はん、ほざけ。ひょろガキがいっちょ前に盾突いてくんな!」

「――――っ!!!!」


 その瞬間。周囲の喧騒が一気に静まり変える事態に変わった。俺の目の前にあった晩飯が、大男の蹴り上げによってテーブルがひっくり返されてしまって台無しになってしまった。その事に思わずカーッと酒の勢いもあって怒りが最高潮に達する。


「へへっ、どうだ。良い気分だろ? ここで俺様達の前で跪いて謝って、それでサビちゃんを差し出せば万事解決だぜ?」

「てめぇは俺を怒らせた……!!!!」

「ぎゃははははっ!!!! 兄貴、なんかいってますぜ。てめぇは俺を怒らせたって!」


 俺の真似をして楽しそうにケタ笑いをするスネ某みたいな風貌の男。てめぇは後でブチ転がしてやることにした……!!!!


「さっ――おっといけないいけない……」


 少し冷静さが残ってて良かった!!!! 危うくサビを呼び出してモンスターテイマーの力でこいつらをねじ伏せてしまうところだった。


「なにを言おうとしたかは知らんが。早く俺様にあやま「ちょっといいかいおっさん」なんだぁ?」


 左肩を掴まれながら声を掛けられて、大男は呆けた表情で返事を返して振り向く。奴が見た先には俺の上司がいるわけで。(取り巻きの2人組は気配無く背後にいたその人をみるなりビックリしている。)


「あ、ロッソ先輩。お久です」


 アロハな姿に金縁のサングラスと、厳つい感じのスタイルをしたロッソ先輩が姿を現してくれた。どうやら客に紛れていたみたいだ。ふと奥を見やると、同じ感じの服装でルナ先輩がニコニコと手を振ってきていた。


 んで。


「よう新人。しばらくぶりだな。まったくお前もちょっとは喧嘩相手を選べっての」

「そう簡単に選べるのなら喧嘩なんて起きませんよ。」

「なんだてめぇはよ? お前もこのガキの連れかよ?」

「まっ、俺の妹の旦那ってところかな?」

「えっ、ちょっとロッソ先輩っ!?!?」


 どういうこと!?!?


「んあ? 言ったとおりだろ? リリィがお前の事を旦那様って周囲に言いふらしてるぜ? ってきりお前達もう婚約しちまっているのかって思ってたんだが……?」

「そ、その話しは後にしましょう!!!? 今はそこの三番煎じトリオをなんとかして欲しいですねっ!!!?」

「本当ならお前も手伝えっていうところだが。仕事だし仕方がねぇな。あとでじっくり聞くから覚悟しておけよな」

「お、おっす!」


 というわけでロッソ先輩が俺の喧嘩を代行してくれることになり、三番煎じトリオは彼に連れられてギルドの外へと消えていってしまったのであった。


「お待たせしましたわご主人様! あれ!? どうしてテーブルがこんな酷い事になってますのっ!!!?」

「ちょっと悪酔いしてる連中に絡まれてしまっただけだ。気にすんな」

 明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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