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177話:サビの初めてのアルバイト 

「わーっ、凄くかっこよくて綺麗だわ! サビちゃん凄く似合っているわよ!」

「あ、ありがとうですわラミアさん」


 ………………。


「髪型とかそのコスプレ? みたいな尻尾。正直最初はどうなのかなって思っていたんだけど。着替えたときに尻尾がないからビックリしたよ!」

「あ、あの。ちょっとその話を聞きましてその……」

「うんうん、わかるわかるわ。恥ずかしかったんだよね! でもね。このお仕事ではそういうのも大事なんだよ! 目立つ給仕さんってね。すっごくこの業界では重宝されちゃうのよ!」

「そ、そうなのですの?」


 どうやら俺の心配は的外れだったみたいだ。思わずホッと安堵のため息をつく。


「ほら、あそこにいる金色に長髪を降ろした巻髪の先輩。あれも立派に分かりやすいでしょ? あれが誰なのか。つまりはここに来たお客様にも分かりやすく。あの人は注文を聞いてもらえる給仕さんって分かるっていうわけ」

「え、ええ」


 ラミアさんのマシンガントークに押され気味のサビ。要するにあれが誰なのかっていう話をしたいのだろう。サビのクールビューティなメイド服姿に魅了されちゃってるラミアさんは更に、


「じゃあ、最初に教える仕事をやりながら解説するね! こっちだよ」


 厨房の片隅にいた2人がそのまま流し台へと歩いて行く。場所的には配膳カウンターの近くだ。皿洗いから始めるのか? 


「やあ、初めましてだね。君の名前は?」

「は、はじめまして。サビといいます。よ、よろしくお願いします!」

「よろしくねー」


 紫髪のショートヘアーのお姉さんがサビに挨拶をしてきた。


「この子の名前はアルトっていうの。仲良くしてあげてよねアルト」

「ええ、大事な新人だもの。仲良くしておかないと損だからね」

「よ、よろしくお願いします!」


 2人の先輩に合わせようと頑張って、受け答えをしている健気なサビの姿を見守りながら心の中で応援をしている自分。頑張れよ! そこに干渉はできないけど。お前ならやれると信じているから。


「あの、ご注文は?」

「あ……、ああ、ごめん。えと朝食セットを2人前で頼む」

「はーい。ねぇ、さっきから厨房の方ばっかり見ているけど。何かご用?」

「いいや。俺の妹が初出勤だから見守っているだけさ」

「へー、そうなんだ。あの白髪のツンツン頭の女の子かな?」

「ああ、そうだな。俺の大事な妹だからよろしく頼むよ」

「ふふ、妹思いのお兄さんってな感じがするわね」


 黒髪のロングヘアの給仕のお姉さんにそう言われると思わず微笑ましくなる。


「じゃあちょっと待ってってね」

「おう」


 注文を聞き終えて給仕のお姉さんはそのままカウンターへと向かっていった。んで、俺の話をしているのだろう。サビが顔を赤くして恥ずかしそうにあうあうと仕草をしながら恥ずかしそうにしていた。


「なー、私はアルバイトしてだめなのかー?」

「お前があの仕事をしたら絶対につまみ食いするだろ」

「…………え、なんて?」


 一瞬の沈黙と共に返事をしてくるサンデーに思わず。


「お前はつまみ食い癖があるから無理だ!」

「いやいやそんな事はないよー」


 目をあちこちに動かしてあたあたと否定してくるのが実にわざとらしいな……。思わずそこで大きくため息をついてガクッと項垂れると。


「じゃー私は何のアルバイトすればいいんだよー。私一人じゃ暇すぎて楽しくないじゃんかー」

「あてはあるな」

「本当か!?」

 

 丁度この飯を食い終えてから向かう場所がそうだ。


「カミルって言う武器と防具をつくる職人がいるんだけどな。そこで働かせてもらえないかと聞いてみようと思っているんだよ」

「よくわかんねぇけど、そのカミルって言う奴にご主人様はお願いするんだな。で、私が働けば良いんだよな!?」

「ああ、旨く交渉が成立すればの話だけどな。給料がいくらになるかはお前の頑張りしだいになるんじゃないかな? 知らんけど」


 正直、この前のスキャットライフルを粉砕してしまった事で詫びを入れないといけない。その……つまりだ、


「お前にはそこでとっても大事な役割を与えよう」


 彼女には悪いが俺の代わりに犠――頑張って欲しいからな。


「スキャットライフルの弁償代を頑張って稼いで欲しいんだっ!!」

「んん!?」


 なんとなく察したみたいで、彼女はキョトンからの漫画的な驚愕した顔をして。


「私を身売りするつもりかっ!?」

「ちっ、バレたかっ!」

「ひ、ひどいよ!? それなら私だってサビと同じ仕事がしたいよ!」

「それが出来たら苦労しねえってばよっ!? 目を閉じて普段の日常の出来事を振り返ってみろ」

「…………あっ」

「……だろ?」

「だが断る!!!!」

「――!?!?」


 何いきなり決め顔で断ってくるんだよこいつ!? くそ、このままじゃ埒があかないか!


「ひとつ残念なお知らせがある」

「な、なにぃ!?」

「いや、まだ話してないからなっ!?」


 や、やりづれぇえええええええ!!!?


「サビのやっている仕事な。もう定員オーバーなんだ」

「ていいんおーばーだと……?」

「……ああ、つまりだ。働き手はもう足りてるっていう話を聞いているんだよ。だからどうお願いしてもお前の未来は既に決まっているんだ……」

「…………」


 互いに沈黙して見つめ合う俺達。その微妙な空気を割って入るかのように、


「お待たせいたしましたわご主人様。朝食セットをお持ちしました」

「あ、サビぃ! 聞いてくれよぉ!!!! 私、このままだとカミルっていうやつんとこに身売りされちまうーっ!」

「ちょっ、おまっ!?」


 あ、くそ! 俺の言った言葉通りにサビに話しやがったっ!? サンデーの切実な声と言葉を前にサビは少し困惑の表情を浮かべて小さく笑い、


「身売りは大げさよサンデー。よかったじゃない。私みたいに仕事ができて。あまりご主人様を困らせるような事はしないで。ちゃんと言うことを聞きなさいな」

「そ、そんなぁ!?」

「ナイス!」


 はっはっはっはぁ、残念だったなサンデー! お前はサビを味方につけようと思ったようだが、主従の関係が俺に勝利をもたらしたのだ! 


「というわけだ。これ食べたらカミルさんに会いに行くぞ」

「やだやだやだやだ!!!!」


 食事といっしょに抵抗感を示す器用というか珍妙な行動を取るサンデーであった。


「任せたぞサビ。こいつの世話。お前に任せた」

「もちろんですわご主人様。あとは私がやりますので気負い無くいってらっしゃいませ」

明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします!


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