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167話:【驚愕と衝撃】貴族街『ベイ・カジノ』その22

前話から遡って3話分の振り番を間違えておりましたので修正いたしました。

「……なんだここは?」


 整然と白い高級感のある壁に並べて掛けられたそれらに思わず眉をひそめる。


「たしか……ハンティングトロフィーっていうんだっけ?」


 昔、お金持ちが登場するドラマとかで見たことのある代物だ。この世界にもこんなのがあったんだ……。どれも全て多種多様なモンスターの頭が生々しい感じに飾られている。


 ここはどうやら鑑賞とかをする部屋なんだろう。とても大きい空間が広がっている。天井まで20メートルはくだらないだろう。それはそれで凄みがあるのだが、さっきから見ていたハンティングトロフィー以外にも、中央には巨大な、名前の分らない等身大の白いドラゴンの剥製が鎮座していて、


「まるで……ホワイエットみたい……だな……」


 まさかこれが彼女だったら俺、我を忘れて気がついた時にはこの屋敷を粉々にしていたってなるかも。


「いや、違った。これ、ただの模造品だ」


 いわゆる偽の素材。本物の素材を使わずに人工的に作り出したもので組み立ててあるレプリカ品だ。とても忠実に再現されているな。腕利きの職人が魂を込めて作り上げたに違いない。


「ん?」


 ふと背後からゴトッという小さな音が聞こえたのを耳にして振り向き、


「なんだ……?」


 不審に思った俺は音のした方。ショーケース入りのリザードドラゴンの剥製が展示されているとこまで歩いて近付き、手で触れてその感触を確かめてみた。だが、気のせいだった。ツルッとしたガラスのさわり心地しかなく、目で周りを観察してみても何もないと感じたからだ。


「押したり引いたり左右にずらしたりしてみたらどうなる?」


 しかし、やはり俺の勘がまだ何かあると言ってきているので、さっそく試してみることに。するとやはり、


「……ショーケースの裏に隠し扉か……何か気になるな……」


 そこには隠された部屋が存在していた。念の為にスキャットライフルから、レフィア先輩から貰ったMkR18に持ち替えて構えつつ、訓練を思いだして、慎重に罠に気をつけながら扉のノブに左手を添えてゆっくりと押し開いていく。キィ――という扉が軋む音を鳴らしながら、室内に滑り込むように素早く入っていき、サッとカービンの銃口を、敵が潜むと思われる方向にハンドリングしながら安全を確認し、一息ついて緊張を解きほぐしてカービンを降ろした。


「なんだ。ただの書斎部屋か」


 無駄な事をした感じがしたな。まぁ、大事に隠してあるとなると、何か知られたくない情報があるはずにちがいない。


「テーブルはあとでいいか。まずは本棚を……」


 思って適当に選んだ赤い装飾に、『初めての剥製』というぶ厚い本を手にとるも。


「……見てるだけで吐き気がするぜ」


 モンスターテイマーとしてはっていうのは言い過ぎか。世の中には色んな人がいて色んな趣味があるし。どうやら俺にはこの界隈の趣味とは相容れない感じがした。とりあえずそっと閉まっておこう。


「んー、どうもこの部屋は単に隣の部屋に関係するものばかりしかなさそうだなー。ホワイエットとはまったく関係は……」


 ……あった。アリオン。お前、自分のコレクションを増やしたいが為にこんな事件を起こしやがったのか……っ!!!!


 それは短くて分りやすい日記だった。


『今日もわしのコレクションが見劣りしていると貴族共の連中がバカにしやがった!!!! わしの趣味をバカにしたやつらになんとしても見返してやらなくては……』


 さらに、


『今日、いつものように学者ギルドの図書室に散歩がてら足を運んだ。いつもの様に奥隅の地下にある禁書庫に行き、中の本の状態を管理していた。そしたら急に背後から黒服フードの男達に囲まれて。気がつくとわしは不思議な雰囲気の教会にいた。そこでわしはレアハンターズの教祖と名乗る性別の分らない服装をした司祭の人物に出会った』


「教祖だと……?」


 そしてさらにページを捲っていくと。


『あぁ……感謝します教祖様……!! わしをバカにしていた連中が目の前で土下座をしております……!! あなた様の恵みが彼らを屈服させたのですよ……!! この生きた人の姿を摸したホワイエットドラゴンのメスの幼竜はわしにとって天使だ……!!!! 是非わしのコレクションにしたい!!!! 直ぐにでも教祖様のお許しを頂かなければ……!!!!』


「…………」


 今すぐにでもこの日記を燃やしたかった。だが、捨てられない。証拠だったからだ。今は落ち着くことを考えていたい……。


『教祖様がわしに許しの代わりにと試練をお与えになられた。モンスターテイマーの少年の命を奪え。そしてその身体と引き換えに力を授けると。なんでもモンスターテイマーの命を奪った者に、その力が授かるだとか……いい、これは素晴らしい試練だ……!!!! わしもモンスターが大好きだ!!!! その力があればきっと、なにも苦労することなくモンスター達の剥製を沢山コレクトできるはずだ!!!! こうしては居られない。司教ゼセウスと協力してその少年――サトナカ カリトを殺し、教祖様に献上しなければ……!!!! あの方はわしの中で唯一の理解者だ!!!! 理解には恩でその愛を返さなければ!!!!』


 あぁ……、なるほど。レアハンターズは俺を殺すために、考え方は違ったけど、モンスター好きのアリオンを唆してこんなことをさせたのか。

 アリオン。お前は間違った道を選んじまったな……。何かの形で早く会えていたらきっと、仲良くできたかもしれないな。剥製趣味はいただけないけど。


「残念だ。あんたのおかげで少しだけ孤独から離れられることができたよ」


 説得は難しいか。残念だけど、お前にはそれ相応の罰を受けてもらう。

明日も予定通り更新いたします。今日からカクヨムのほうでネット小説大賞がはじまりましたね。この作品も応募してみました。応援よろしくお願いします。


この作品が少しでも『面白い』また『続きが気になる』と思って頂けましたら、是非とも広告下にある『☆☆☆☆』の所を押して高評価をお願いします! ブックマーク登録も必ず忘れずにお願いします。レビューや感想もお待ちしております。誤字脱字報告の方も随時受け付けております。



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