166話:【アリオン邸襲撃】貴族街『ベイ・カジノ』その21
まず襲撃にあたり俺は単独での行動となった。残りのみんなは真っ正面からの突入となる。ようは陽動に隠れて屋敷の中へ侵入する。
でっ、その際に俺はレフィア先輩から武器の変更を勧められた。
「新人。アサルトライフルに持ち替えなさい。室内戦でその武器では制圧力に欠けてしまうわ」
「ハンドガンでもだめなんですか?」
「連射武器を持っている複数の相手に中距離以上だと勝ち目がないわよ」
スキャットライフルはカミルさんから借りた大事なスナイパーライフルだ。おいそれと先輩に言われて持ち替える訳にはいかないが。
「じゃあ、両方とも所持して戦います。状況に応じて使い分けさせてください」
「だってレフィア。いいんじゃない? アサルトライフルって遠距離だと命中させるのに苦労するって聞くし。それにカリト君はずっとそのスナイパーライフルを使って戦ってきたんだよ? 少しは信頼してあげれば?」
「制圧戦で不安が残っているから言っただけよ。ほら、文句言わずにお守り代わりに持って行きなさい」
「おっと」
レフィア先輩は自分の着るスーツから工房製のアサルトカービンライフル『MkR18』を取り出してきて、そのまま俺に放り投げてきた。慌ててそれを両手で受け取り、ズシッとした感触を感じながら、
「ハンドガードまでバレルが切り詰められてる……」
「CQBではその短さが大事よ。あとはストックはスケルトンの折りたたみストックで、発射レートは1分で830発撃ち出せるわ。銃が身体に引っかからないようにマガジンも短い物をチョイスしているから。身動きが取りやすいと思うわ。不必要ならそこら辺にすててもいいから」
「なるほど……」
俺は手渡されたMkR18こと――カービンを入念に検めながら彼女の言った意味を理解する。これはいい銃だ。だけど。
「連射武器を触るの。これが初めてなんですよね……」
「まぁ、そこは適当に連射してばらまけばいいわ」
「できればこんな武器を使って相手を傷つけたくはないな……」
「そうね。でも同じ条件で戦わないとキツイわよ」
まぁ、備えておいてもいいか。とりあえず俺は手にしているMkR18をスーツの中にしまい、手をフリーにしてスキャットライフルを持ち直した。 そして、
「とりあえず俺は裏口から潜入を試みてみます。サンデー、サビ、二人の援護を頼んだぞ。何かあれば感情共有を通じて連絡を寄越すんだ」
思えばこのやりとりは無線機に近いな。誰にも通じない、俺達だけが通じ合える通信手段。いいものだ。ただ、精神的な妨害をうけると厄介なのには変わらんが。対策が必要になるな。
「ご主人。無事にホワイエットを救ってくれ。なんだか胸騒ぎがするんだ。私達も後を追ってご主人の下に駆けつけるから」
「ああ、そっちのほうも頼んだぞ。アリオンの悪事を世に知らしめるためにも」
「頑張ってご主人様」
「ああ、サビ。じゃぁ俺、行くわ」
彼女達の言葉を待たずに、俺はアリオンの屋敷を囲む柵の裏側に回り込んで、そのまま中へと入っていった。
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