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163話:ホワイエット

 暗い檻の中。私はずっとこの場所にいる。最初はよく分からないおじさん達に囲まれた場所で、檻に無理矢理入れられてしまい、そこから色んな場所に運ばれて、


「もぉそろそろぉおじさんにお嬢ちゃんのお名前を教えてくれても、良いんじゃ無い? かれこれ2週間の中でしょぉ? でないとずっとそこで暮らすことになるんだよぉ?」

「………………」


 私は絶対に喋らない。目の前の変な格好のオスには絶対に私の大切な名前を教えたりはしない。この名前は大好きなご主人様がくれた宝物だから。


「…………無駄だよ。お前なんかに私の名前は喋ったりはしないんだから」

「何故なのかなー? おじさんに意地悪して楽しいのかなぁ? これでもおじさん。この国ではとてもえらーいえらーいおじさんなんだよなー」


 まただ。そうやって私を脅してきて意地悪な事をしてこようとしてくるんだ……! 私はそんな言葉で屈したりはしないって誓ったんだから。だって、


「ご主人様が私を助けに来てくれているんだから……!! 絶対にお前なんかには屈したりはしない……!!」


 ご主人様が私を助けに近くまで来てくれているのを感じたんだから……!! それまで私は我慢する!! 希望が、私の心の中にある闇を照らしてくれているんだから……!!!! この気持ちをご主人様に今にでも伝えたいけれど、どうやればいいのかは分らない。でも、会えたときに話すよ。だから必ず私を迎えに来て。そして、


「ふん、おじさんよりそのご主人様っていう男の方がよっぽどのお気に入りのようだとは残念だ」

「ご主人様は強い! 今頃はお前の言っていたレアハンターズ達をボコボコにして返り討ちにしているんだから……!!」


 信じている。ご主人様が私の為に戦ってくれていると。たとえどんなに辛い事があっても、ご主人様やみんなが同じ目に遭っているはず。だから私も頑張る。


――そしてごめんなさいを伝えたい。私の我が儘でご主人様やサンデーちゃんやサビちゃんに迷惑をかけたから。


「もう、私は泣虫のドラゴンじゃ無いんだ……!」

「そういう事をいう君も可愛いもんだな。早くモンスターに変身してくれる所を大人しく見せてくれればいいもののを。おい、あれをもってこい」

「へい、わかりやした」

「…………」


 目の前のオスが付き添いのオスに何かを持ってこさせようとしている。本能的にそれが何か恐ろしい物だと感じる。だけど、それを見ないと判断できない。


「おまちしやした旦那」

「ふっ、ふっ、これが下々の界隈で流行っている魔薬というものか」

「なんでもその薬を打たれると。人間なら魔人になり、モンスターだと魔獣に化けて暴れ出すんだとか」

「刺激を求めて楽しむにはリスクの大きい薬品だな。さて、これを目の前のガキに投与するとどうなるだろうか。お嬢ちゃん。君はモンスターだね」

「……知っているんでしょ」

「ああ、そうだとも。私の知る限りで言うなら君はとっても大事な研究対象であって材料でもある。果たしてこの薬品を投与することでお嬢ちゃんはどんな怪物モンスターになるんだろうか……、実に研究意欲のそそる話だ……」


 その言葉を耳にした瞬間。私の中に冷たい恐怖が沸き起こるのを感じた。あれってご主人様が言ってた薬だよね……? どういうこと……なの……? えっ、私、これからあれでおかしくなっちゃうの……?


「や、やめて……! 来ないで……!! いや、いやだぁ……!!!!」

「くひひひ、もう泣いて謝っても遅いんだよ。さあ、そこで大人しくしているんだ」


 だめっ、手足が足掛けに縛られていて身体が自由に動かせない……!! このままじゃぁっ……!!!?


――たっ、助けて。ご主人さまぁああああああああああああああ!!!!


 嫌だ……!!!! もうひとりぼっちになりたくない……!!!! お母さん、お父さん、死にたくないよぉ……!!!! まだそこには行きたくは無いよぉ……!!!!


「おらっ! 大人しくしろっての」

「ごふっ――っ!!!?」


 強い力でお腹を殴られた、そしたら気持ち悪くなって、


「うぉぇっ」

「おいてめぇ、少しは加減しろ! 大事な研究材料なんだぞ!! 替えはきかねぇだ……!! まったく、あのゼセウスっていう男の無能さ、それに今までの悪事をもみ消して黙認してやってきたのに、レアハンターズ共は禄に仕事ができんとは……!! わしのオーダーにたいしてなんだ。残りのモンスターを奪い取れず。テイマーのガキを殺すことも出来ず。挙げ句の果てにネメシスに嗅ぎつけられてしまったときた……!! このままではわしの存在がバレてしまうではないか!!」

「げほっ……」


 食べ物もちゃんと食べられていないから酸っぱい液体が口の中か出てきてしまった。ぼーっと意識がもうろうとする。その間に私の左腕がその喚いているオスに掴み上げられて、そして私は抵抗することも出来ずに、心臓のドックン!! という脈動を感じた瞬間。


「あっ、あっ、あぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 目の前が真っ黒な霧に視界が包まれていき、そのまま私は意識を失ってしまった。


「こ、これは……!!!! なんという傑作だ……!!!! これをあのガキに見せつけてやれば……!! かっ、かっ、かっ!!!! 最高だ……!!!! きっと泣きすがってワシに全てを捧げるだろうなぁ……!!!! そして奴の命を手に掛ければ願いが成就する……!!!! あぁ、教祖様、心から感謝いたしますぞぉっ……!!!!」

『グォオオオオオオオオオオオン!!!!』

「だ、だんな助けてくれぇ! ぎゃぁあああああああああああああああああああああいだぁぃいいいいいいっ――あぎゃぁっ!!!!」

『グルル……!!!!』


 何をしているんだろう……。暗い霧の中であのオスとは別のオス。つまり私を殴ってきたオスがなぜかブシャブシャと音を盛大に鳴らしながら悲鳴を上げている……。なんだろう……血の臭い……? オイ……シ……ソウナ……ニオイガスル……! ハラヘッタ……オイシイ……カモ……。


――ホワイエット。そうだ、君は今日から人間が大好きなホワイエットだ!!


『ニンゲンダイスキ。ゴシュジンサマダイスキ』

明日の更新は午前を予定しております。言っていた時間より遅れてごめんなさい。リアルの用事でかなり時間を使ってしまっておりました。明日は頑張って早起きに挑戦します。


この作品が少しでも『面白い』また『続きが気になる』と思って頂けましたら、是非とも広告下にある『☆☆☆☆』の所を押して高評価をお願いします! ブックマーク登録も必ず忘れずにお願いします。レビューや感想もお待ちしております。誤字脱字報告の方も随時受け付けております。

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