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156話:【発見】貴族街『ベイ・カジノ』その12

「あれだな。学者のローブ着てる連中は」


 これから俺達に襲われる事も知らずにのんきに茶店のオープンテラスでお茶してやがる。俺達も一段落ついたら同じ場所で休憩でもしようかな。

 ニンジャランの副作用で少し疲労感を感じる。双眼鏡を覗きながらそう思いつつも、


「行くか。ここから北西の方向にあるオープンテラスの喫茶店が目標だ」

「おう、りょーかいだぜー」「わかりましたわ」

「お、おまえら俺だけに偵察させておいて。なにのんきに寝転がってゆっくりしてんだよっ!?」

「んー? 走った後は休むのが当たり前だろー?」

「そうですわよご主人様。よかったら一緒にひなたぼっこしません?」

「いやいや、俺言ったよね? あそこにいる学者達のローブを奪って変装しないといけないって」

「そりゃそーだけどよー。今までずっと動きっぱなしだったじゃん。なんかこう、いつもと違う事をしてるから休みたいなーって身体が訴えかけてきているんだよなー。だからこうしてるんだよ」

「……あっそ」


 本能的に疲れを感じて休んでいるんだろう。実にマイペースな奴らだ。

 ……かという自分も左右に同じく疲れてはいるので。


「仕方が無いな。10分だけ休憩な」

「あーい」「んー!」


 器用に鐘楼の屋根の上で寝転がっている2人に倣い、俺も同じようにしようと思ったのだが。さすがにそんな身体能力は持ち合わせてはいないので。鐘がぶら下がる、日陰が良い感じに差し込んでいる場所の地面にひょいっと降りて、そのまま足を崩してお尻を降ろし、そのままだらんと後ろに倒れて伸びをしながら仰向けに寝転がった。


「…………ホワイエット。どこにいるんだ?」


 ゼセウスがこの場所にいるのは確実だ。ロウニン商会で得た情報は確かな物であり、それに伴って恐らくホワイエットも近くに……。感じるんだ。モンスターテイマーの勘が俺にそう告げているんだ。彼女が持つ生命の感触を、


「人と人は心の中で通じ合うっていうけど。俺の場合はモンスターになるのか……」


 言葉で表現してかみしめた。そうすると今のホワイエットから伝わってきているコレは……。


「何かに怯えて冷たい思いをしているのか。ごめんな遅くなって……」


 今後。これを感情共有コネクトと名付けることにしよう。グリムにはまた今度正式名称はあるのかと確認するが。


「ふぁ……眠っ……」


 と、思わず意識が睡魔に乗っ取られてふわふわとしていると。目が勝手に重くなり始めてしまい、そのまま……、


「ご主人! 起きろ! 茶店にいたガクシャ達が動いたぞ!」

「――っ!?」


 サンデーに起こされて、間一髪のところで居眠りを免れた。ガバッと飛び起きて。


「やっば、あやうくそのまま寝落ちしそうだったわ……」

「しっかりしろってご主人。俺達が変に気を遣ってしまったの悪かった。とりあえず飛び降りて駆け足で行けば間に合いそうだぞ!」


 ん、今俺の為に気を遣って休んでくれたって……?  


「わ、わかった!? って、ここは高所なんだけどなっ!? 飛び降りれる高さじゃねぇわ!!」

「んなもんご主人の力でどうにかできるだろー? 私達はなんともないから気にするなー」

「気にするなーって、そう言われたら余計に俺の立場が気になるじゃないかっ! あーっくそ、どっか緩衝材になるような足場はないのかよ……!」


 って、思って軒下の周りを見ると。


「あれっていけるんじゃね?」


 たんまりと盛られた藁山の籠車が1台。都合良く見つかった。古い中世のフランスにありそうな古風な感じの籠車だが、あれなら降りても大事には至らなさそうかもしれん。


「あー、まぁ、幸運をって名感じかご主人!」

「そう言われたら余計に心配症になるわ!」


 だが、おちおちしてられないので。ここはひとまず。


「あそこに狙ってダイブするぞ! すまん、2人は周囲の安全確保の為に先に降りてくれ!」

「それって、万が一。地面に落ちそうになった時に助けて貰いたいからなのかしら?」

「あ――」


 ――しまった。俺の考えが見透かされていたようだ。もう正直に言おう。


「頼む。俺が転落死して人生リアイアにならないようにフォローを頼む……!」


 両手を顔手前で合わせて彼女達にこいねがうと。


「まったく世話の焼けるご主人だなー。分ったよ。降りて待ってるから楽しみにしてるんだな。あ、一応先に行っておくけど。降りる場所が外れても恨みっこ無しだからな」

「サンデー……」


 今日のサンデーはなんだか頼れる存在とかしているぞ。


「仕方がありませんわね。またお姫様抱っこの準備しておきますから。楽しみにしておきますわね」

「そ、そうならないように心がけます……」


 まぁ、相変わらずの対応を返してくるサビも頼りがいのある相棒だな。


「じゃ、またあとでなー」「では、お先にですわ」


 と言葉を残して、そのまま2人は足から降りる形で地面に向かって飛び降りて行った。


「さて、準備するか」


 何も無策に飛び降りるわけじゃない。スーツを起動しておいて、そのまま飛び降りればいんだ。あれ、そうだったら籠車いらなくね……? 


「いや、それでも必要だろう……。両足を折りましたってレフィア先輩に言わざる展開になったらと思うと……」

 

 うん、ここは大人しく足場を使って飛び降りよう。そう考えていると下からサンデー声が聞こえてきた。それにつられて下を覗くと、2人とも準備はできたようだ。サビがフォローできる配置で籠車から少し離れて立って上を見てきている。サンデーの方は、


「なるほど。微調整できるように籠車を持って移動するのか」


 籠車の持ち手を両手で持ったまま上を見て待機しているようだ。


 俺はスーツの力を発動させて前に進み、そのまま両手両足を伸ばしたまま前のめりに倒れて跳躍しダイブした。


 耳に伝わる風切り音と共に、少しの高揚感と、暗転する視界を目の当りにしながら下に吸い込まれていくのを身体で感じている。そして体感的に3秒経過した所で、俺は無事に籠車の中にある藁山に背中から落ちる事に成功した。


 痛みは無い。スーツの作用もあるだろう。そう思いながら身体を起こして藁山から顔を出すと。


「へへ、旨くいったなご主人!」

「……ああ、そうだな」


 無邪気な笑みを浮かべるサンデーを前に、俺は穏やかな笑みを浮かべてそう言葉を返した。


 とりあえず俺達のダイブは誰にも見られずに済んだようだ……。そもそもこの場所事態に人がいなかったのもあるが。とりあえず、


「行くぞ。ここで油を売るわけにはいかないな」


 頭を切り替えて取り急ぎ、学者達を追跡することにしよう。

 明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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