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153話:【危険】貴族街『ベイ・カジノ』その9

「あ、ありがとうな……はは」

――『まったく騒ぎを起こすのが上手ですわね』

「それもそうだけど。そろそろ降ろしてくれない?」


 と頭から服の襟首と器用に加えてきたサビに対してお願いをしていると。


「え……。も、モンスタだああああああああ!!!?」

「――!?」

『ガウ?』


 いつの間にか俺達の正面に通りすがりの若い衛兵が居て、俺達の姿を見るなり『!』と、酷く驚いた様子でびっくりしていた。そしてつかの間の空白で見つめ合い。


「ま、まってろ! 直ぐに助けてやるから! 気をし、しっかかりなぁ――っ!?」

「ひ、ひぃ……!?」


 逆に俺が怯える始末に発展。ここで俺を助けようとしている衛兵には申し訳ないけど。これ以上の増援は呼ばないでくれないかなっ!? すると彼の大声を聞きつけたのか、わらわらと建物の前に沢山の武装した衛兵達が駆けつけてきた。彼らの両手には王国製の軽鎧に、同じく王国製のアサルトライフル『BAR』――通称トランペットが握り締められている。俺がサビに加えられている姿を目の当りにして、軒並み全員が若い衛兵と同じ反応をしてビックリしている。


「お、おい、あのモンスターはなんだ!? どこからこんなヤバイやつが……!?」

「そ、それはいいんだ! 早くあの少年を助けてやらないと手遅れになっちまう!」

「人質になっているんですよ!? 巻き込んで攻撃するのですかっ!?」


 遠目に見ていると、上官と部下が言い争ってどうにかしようとあたふたしている。その合間を縫って俺はサビに、


「すまん。悪者になってもらって」

――『なんとなく分りましたわ。それらしく振る舞えば良いのですわね?』

「ぐ、具体的にどうするのかは……あはは」


 暗黙の了解で彼女と俺はやることを決めた。


「あ、隊長! モンスターが少年を連れ去ろうとしています!!」

「く、こうなったら司令室に連絡だ! このエリアを警戒態勢にして封鎖するんだ!! 彼には申し訳ないが……。犠牲になって貰おう……」


 まさに無能兵な発言だった。まぁ……彼らにも出来る技量があるんだろう。だが、これはチャンスなので直ぐさまにサビに合図を送り。


――モンスターがにげたぞおおおお!! あっちだあああああ!!


「襟首咥えられながら空を飛ぶって案外きっつぅ!?」


 跳躍時にかかるGによって俺の首が締め付けられているので、


「すまん……出来たら背中に乗せてくれないか……?」


 と聞いてみたら、


――『えぇ……走りながらは無理ですわよ……』


 従順に聞いてくれる訳では無かった。え、このまま締め付けられたまま死ぬんじゃ……? そう思っていたけども、


――『少しだけ屋根の上で待ちますから早く乗り移ってくださいます?』

「あ、ありがとう……」


 とりあえず途中で飛ぶのを止めてくれて、屋根にストンとサビが降り立つのを見計らい、そのまま屋根の上に足をついて着地。咳き込んで苦しい思いをしながらも耐えて、後ろに立つサビの背中によじ登って座った。ふと、


「おーいご主人!」

「さ、サンデーか。うまく逃げ切れたのか……?」


 騒ぎの事で一杯一杯だったけれど。サビも俺達の後に続いてきてくれていたようだ。サンデーはニコニコと何やら楽しそうな表情を浮かべて屋根の上を歩き、そのままサビの背中に乗り込んだ。


――『なに勝手に私の背中に乗り込んでくるのよ』

「えーいいだろー。ひとかたまりになって逃げているほうが良いって」

「とりあえず追っ手が心配だ。直ぐにこのエリアから離れるぞ」

――『学者のローブはどうしますの?』

「大して今のエリアから離れてないさ。とりあえず厳戒態勢になる前にやることを済ませるぞ」 


 こうして俺達は敵に見つかってしまい、しばらくの間身を潜めることにした。


『いたか?』

『ダメだ。あのデカ物らしきモンスターの姿がどこにも見当たらない』

「…………」「…………」「…………」

『とりあえず司令部からの伝令だ。連れ攫われた少年の行方を追うようにと』

『遺体だけでもせめて見つけてやらんとな……。隊長のあの発言はさすがに俺達でも聞き捨てならんかったしな』

『ああまったくだ。人の命をなんだと思ってやがるんだっての。とりあえずこの先の路地裏を隈無く探してみよう』

「…………」「…………」「…………」

『なあ、そういえばさ』

『あん? なんだ?』

『なんかここに酒樽あるけど怪しくないか?』


 その言葉を聞いて思わず心臓が跳ね上がる……! 隣にいる2人は大人しくしているだろうか……!?


『あぁ? ただの酒樽だろ? なに変な事で気にしてるんだ? いくぞ』


 1人分の足跡が右へ遠ざかっている音がする。そして、


「あぁ……うん。なんで俺はただの酒樽におかしな疑念をいだいてしまったんだ……?」


 無駄に感の良かった若い兵士は、そのまま先に行ってしまったパートナーと同じ方向に向かって歩いて行った。


「ふぅ……危なかった……」


 現場から離れた2キロ先の路地裏にて、俺達は横並びにある3つの樽の中に隠れて、警戒が解除されるのをただひたすら待った。

明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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