149話:【潜入】貴族街『ベイ・カジノ』その5
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それからだ。俺は彼女達に自分なりの潜入する方法を提案し、実際にその方針で入る事を試みることにした。でっ、実際に現在進行系で潜入成功手前まで進行しており、ここからどうなるかは状況次第だ。
「その後ろにある荷台の積み荷は?」
「カジノ行きで届ける予定の樽酒ですよ。ちょっと急いでもってこいって言われているので早く検閲勧めてくださいな」
御者に扮しているリリィ先輩が、貴族街の検問所のゲート前で立つ衛兵の男と話をしている声が聞こえてきている。それからガサゴソと歩く音と共に室内のタープのすり切れる音が聞こえてきた。室内の様子を検めているようだ。その間まで俺とレフィア先輩とサンデーとサビはじっと静かに息を潜める事に徹している。そして、
「よし、予定には無い荷物だがいいだろう。良い感じに弾んでくれたし通ってもいいぞ」
「ありがとうねお兄さん。じゃあこれで」
「うむ。確かに受け取ったぞ」
予定通りだ。衛兵に賄賂を渡す計画は無事に成功したようだ。まあ、失敗しても、リリィ先輩の声の力で強引に受け渡しも可能だけど。そうすれば矛盾が生じて時間が無い状況に陥ってしまうリスクがある。
「もうそろそろ荷車から降りるわよ。準備してて」
御者が座る席越しからリリィ先輩の合図が掛かる。それに合わせて俺達は身を隠していた樽の中から姿を現して、
「ふぅ……とりあえず街の中には入る事ができましたね」
「案外簡単に入れたわね。何か嫌な予感がするけれど」
「なんか凄く面白い隠れんぼだったな!」
「なんだか窮屈で暗くて心寂しく感じましたわ」
各々の感想とか感じた事を言葉に表わし、樽の蓋に足をかけて乗り越え、荷台の床に両足をつけてその場に並んで立つ。そして、
「トーキョードーム2つ分の広さがあるエリアの中に入ったのは良いが、少し手間のかかりそうなエリアかもしれないな」
まあ、これまでにも手間のかかる事ばかりだったから苦にはならないけど、出来るだけ負担を少なくしていきたいな。
円状に囲まれた壁の中にある、貴族やその関係者達が住む場所。貴族街「ベイ」、ここはいくつかの街の中でも有名な公爵が居住まう邸宅があることで知られており、ここの市政を統治しているのはその公爵である。
俺にはその公爵の名前は分からないが、なんでも学者ギルドの偉い人でもあるらしい。頭の良いお貴族様なのだろうきっと。とはいえ、
「よし、ここで竜車を隠すわね。脱出するときはこれを使うか別の手段で壁を乗り越えなくちゃいけないかなー」
リリィ先輩の言う通りだ。ホワイエットを助け出すことが出来ても、後の事を事前に考えておく事は大切だ。
「外に出ても大丈夫ですか?」
「うん、いいよ」
と言うわけでまあ、臨機応変に対応して脱出するまで計画を上手く成功させてみよう。
本日は朝に投稿とさせていただきました。明日の更新はいつも通りにさせてもらいます。よろしくお願いします。
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