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130話:手がかりのかけら その3

「ふぅ……ごちそうさまですマスター」

「いかがでしたかお味の方は。お気に召して頂けましたか?」


 反省の味の後に来たのは爽やかとした味わいだった。俺はその旨を言葉で伝えようと思い。


「とてもスッキリした味わいだったと思います。コーヒーって全部一緒だと思っていたのですが。ここのお店ならまた来てみたいと思いました」

「そうですか。ではまた来て頂けることを期待しておりますよ」


 小さく声を上げて笑い、マスターは再び手前にある洗ったばかりのコーヒーカップを片手に、もう片方の手にある布を使って水分を拭き上げ始める。


「カザギリ……こんどは甘いコーヒーだしてくれよー」

「ふふ、でしたら今度は当店のカフェオレをご賞味ください。きっと気に入ってもらえると思いますよ」


 この世界にもカフェオレがある事に驚いた。俺も今度来たときはサンデーと同じ物を頼もうかな。


「さて、そこで伸びている男。彼が無礼な事を申し上げたことに対して私からも謝らせて頂きたいと思うのですが」

「ああいや、そんな。マスターが謝らなくても構いませんよ! むしろこのスケベな野郎が悪いんですから」


 よくよく思い出したらこいつ。サビの事をひと目見て惚れていたんだったな。んでさっきみたいな事をいいだした。それなら話の筋がとおるわけで。


「本当、不器用な事をする男なものです。頑固な考え方で物事を押し通そうとする。よく言えば筋の通す奴。悪く言えば人の話を聞こうとしないというべきなのでしょうね」

「マスターはイリエとの付き合いはどれくらいなんです?」

「ざっと10年以上でしょう。この男が10代半ば。つまり上の階層にある探偵事務所を先代のミシマさんが営んでいた頃まで遡ることになりますね」

「ふーん、そうなんですか」


 興味はあるけど。いまはホワイエットの捜索が優先的に思えているのであまり深く聞く事はせずに話題を変えることに。


「とりあえず。この男が目を覚ましたらこの絵を渡しておいてください。この子を探しているんです」

「家出かなにかでしょうか?」

「それは――」


 俺はマスターにも事情を簡単に説明をすることにした。するとマスターは。


「では、このお店に貼っておくことにしましょう。予備の絵はありますか?」

「2日ほど掛かりますがいいですか?」

「ええ、そう焦っているわけでもありませんしいつでも構いませんよ」


 俺にとっては焦るべき事なんだが。マスターはこの店のオーナーで別だ。とりあえず帰ってからサビに追加で描いて貰うようにしよう。


「じゃあ、今日はこの辺で失礼しますね」

「ええ、またのご来店をお待ちしております」

「じゃあなカザギリ!」


 店を出てそれから次の場所に向かった。それは、


「あぁんカリト君! いままで何処で何をしていたのよぉ! リリィ寂しかったんだよ……」


 寮に戻るなりこの流れである。リリィの部屋をノックして、俺が扉の前で立っていると分るなり彼女は、バタンと扉を開けて飛び出してきて、そのままギュッと抱きしめてきたのだ。んで、その隣でビックリした表情を浮かばせているサンデーは。


「あわわわご、ご主人っ!? このメスはいったいなんだぁっ!?」

「あら、サンデーちゃんだ。こんにちは。でももう夕方だからこんばんはかな? 覚えてる。私の事?」


 俺の顔を頬ずりしていたリリィは、顔をサンデーに向けて柔らかな笑みを浮かべて挨拶をした。そしてリリィは俺に向き直って。


「ねぇ、今日はどうしたの? 朝からずっと隣の部屋にいなかったみたいだけど」

「その、俺の周りで起きている話って知っています?」

「んー、どんな?」


 あ、これはリリィ先輩にはなにも伝わっていないなと理解し。なので彼女にも事件ほ説明をした。すると。


「それって……拉致か誘拐よ……。分る。仕事をしていると。うんざりと思えるくらいにそういう現場に立ち会うことがあるから分るよ」

「ええ、それで捜査をしている最中なんです。あくまで個人的な事件なんですが。どうもトカゲの尻尾ばかりを追いかけている状態で。いつになっても胴体に食いつくことができていないんです」

「なるほどね。それで私にも協力をして欲しいと思ってきたのね」

「ダメだったら断ってもいいですよ」


 内心、言葉の力を使えるリリィ先輩がいれば今後の捜査で大きなアドバンテージとなっていくはずだと踏んでいる。すると。


「そう言われると断りたくなるのが人間なのよねー」

「じゃあ……」

「ん? 私は何もノーとは言うつもりはないわよ。むしろカリト君が困っているのに彼女の私が何もしないなんて。女として妻として失格ものだわ」

「いやまだ俺達そんな関係まで発展してないから。サンデーが誤解するような事を言わないでくれます!?」

「ご主人。もうこのメスとつがいになったのか?」

「いや、ちがう。まだそんな所まではいってないから。今のは忘れろ」

「おう、わかった。リリィとカリトがつがいになれること。私は応援してやるぜ」

「サンデーちゃん……あなた……いい子ね……」

「お前ら……」


 サンデーとリリィの息が合っている(?)ことに少し驚きと身の危険を感じるのだった。


明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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