127話:サビと一緒に街の探索 その6
『それじゃあ。また何か分ったことがあればこちらからも一報をいれさせて貰うから。それまでの間は頑張るんだよ』
ギルドの出入り口での別れ際にミステルさんから励ましの言葉を受けた。その言葉に対して俺は。
『全力でホワイエットを救ってみせます。それが俺の持つべき使命だと思うので』
そう話すとミステルさんはニコッと笑みを浮かべて。
『まるで家族思いのお兄さん。あるいはそれ以上だと父親だね』
と返されたのを俺は思いふけるなり。
『まだ自分はそんなタマじゃないですよ。禄に人ひとりを幸せに出来ていないんですから』
今までの事を振り返り、そう話をしてサビを連れて立ち去った。そして現在は。
「そろそろ15時くらいになるのかな?」
腕時計の類いを持っていないので、体内時計で把握をしてサビに話しかけた。
「ご主人様はお腹は空きませんの? 私だけご馳走になってしまうのは気が引けると言いますか……」
「いいよ。ラミアさんの驕りでしかも。仲良くなったんだからな」
あれからラミアさんとはそのまま分かれることになった。まぁ、あの人は仕事の最中だったから仕方ないんだけど。
『ねぇねぇサトナカ君』
『はいなんです?』
『今度でもいいからこの子をまたここに来させてあげてよ。大丈夫。その時は私が身の回りの事をしてあげるから』
『はっ、はぁ……』
どういう意味なのかは分らないが。ラミアさんはサビの事が気に入ったようで。彼女的にはまた会って話がしたいというのだろうという事で受け止めることにして承諾した。ただ今の状況だから、事が落ち着いてからにはなるな。
「この事件が終わってからになるけれど。ラミアさんとは仲良くしていくんだぞ?」
「大丈夫でしょうか私がそんな事をして……」
「いいよ。いつまでも身近な人ばかりで過ごし続けるのも良くないからさ。たまには場所を広げて見識を深めるのも大事だと俺は思うぞ。それに絵の勉強になると思うからさ」
「……うん」
その返事はどっちの意味だろうか。あまり深く詮索するのもよくないか。まぁそれは良いとして。
「ギルドからの足取りはどうしたものかな……。なぁ、ホワイエットはここを通ったのは間違いないだろうな?」
「ええ、そう言ってましたわ。この通りにある噴水広場と。その先にある商店街を通ったと言ってましたわ。でもそこからは私でも分りませんの」
「というと?」
「そこで目が覚めてしまったからですの」
「あぁ……その、ごめんよ」
多分あの時の騒ぎで目を覚ましてしまったんだろう。それで夢の続きが分らなくなってしまったということか。なるほど。俺が悪いなこれは。
「分った。とりあえず今日はこれくらいにしておこう。そろそろモンスター牧場にもどろうか」
「まだ時間はありますわよ? ご主人様はホワイエットちゃんを今日これ以上は探さないとおっしゃるのですか?」
「違う、そうじゃない。一度イリエと話を摺り合わせたいんだ」
そう話すと不服なのか、サビは俯きガチに落ち込んでしまった。そしてそのままコクリと首肯してくる。……わかってるさ俺だってガッツリとあいつを探したいんだよ。だからそのための段取りがしたいんだって彼女に言えたらよかったと思うのだけど。
「ほら行くぞ」
「わかりましたわ……」
今になってひと言目を間違えてしまった事を察して後悔している。なんだろうな本当俺って……。そしてそれから1時間が経過してモンスター牧場に戻り。
「あっご主人おかえり。どうだった!?」
「…………」「……ただいまですの」
「2人ともどうしたんだよ!? なんかもの凄く仲の悪そうな感じがするぞ!?」
否定はしたいけど難しいな。そう思いながら迎えてくれたサンデーにある頼み事の話をする事にした。
「なぁ、サンデー。すまないがこれからお前と一緒にイリエのいる事務所に行きたいんだがいいか?」
ふと、その直後だ。サビの手がギュッと俺の手を強く握り締めてきた。圧迫感のある痛みを感じながら思わず横目で彼女を見ると、その表情は悔しさという一文字でわかる顔をしていた。ごめんな……。
明日は一身上の都合で更新をお休みします(主に通院とか公募用の作品の制作とかになります)。
次回の更新は10月11日です。よろしくお願いします。
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