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124話:サビと一緒に街の探索 その3

「じゃあ私の知っている事教えて上げるわね」

「お願いしますラミアさん」


 さっそく俺とサビと対面になってラミアさんを相手に酒場の席の片隅で聞き取り調査が始まった。


「うん。とりあえず。無銭飲食でお金に困っている君の妹さんをなだめていたんだけどね。その間に割って入るようにちょっと良さげな感じの男が話しに加わってきたのよ」

「その男の格好とか名前は?」

「ええ、そうね。雰囲気はぱっと優男な感じで。髪は金髪のショートヘアだったわ。くせ毛かパーマを当ててる感じの髪型だったかな。服装は細部までは分らないけれど。赤と白のしましまのスーツにオリーブ色のフード付きのマントを肩からかけていたの」


 オリーブ色のマントに赤白の縞々スーツに金髪ショートの優男か……。メモをして置こう。とりあえず今聞いた話をポケットから取り出したメモ帳と羽根ペンを使って書き残す。そして。


「その男の名前は分ります?」

「記憶には自信があるほうなんだけどね。ごめんなさい名前は分らないわ。教えてもらえなかったしね。でもなんか自分の事を商人とか名乗っていたわね」


 奇抜な格好の商人か……。これは重要な手がかりになりそうだな。さらにその内容を簡易的に書き残していく。さらに。


「ああ、そうそう。どんな商人かって聞いたらね。なんでも人材屋の偉い人で。いろんな仕事を斡旋する商人さんらしいわ」


 人材屋の偉い人ってこれはまた突拍子もない所からの手がかりだな。イリエの言葉を借りて言えば。事件には必ず大中小の手がかりが必ず残されている。そうなると。


「サビ……。ホワイエットがラミアさんの見ていた男の話とかはしていたか?」


 サビは俺の耳打ちを聞いて考える素振りを見せてくる。すると。


「……その人がお金を出してくれて。ご主人様を探すのを手伝ってくれたんだって言っていましたわね……でも……」

「でも……?」


 なんだその語尾は……?


「その男が嘘をついていたらしいですの。探すのを手伝ってくれると見せかけて自分を知らないおじさん達に引き渡してそのままどっかに消えてしまった……と。許しがたき事ですわ……」

「落ち着け……いまはラミアさんとの聞き取り調査中だ。帽子に隠れてそう怖い顔をするなよ」

「でも……」


 俺達のやりとりを見ているラミアさんは気づいていなくてよかった。危うくサビの怖い顔を彼女に見せてしまうところだった。俺でもこれは無理だな……。姿は変わってもサンダービーストの顔で睨んでくる所は変わりはないようだ。なるほどね……。感情が高ぶると。特にこいつの場合は怒りがトリガーになって変身が少し解けてしまうみたいだ。顔の皮膚と骨格が少し変化があったからだ。まるで獣人の顔に変わろうとしていたと言うべきだろう……。


「ふぅ……それでラミアさん。その……妹のホワイエットとその男はどうなりました?」

「えっとね。それからお代は立て替えて貰ったんだけどね。ちょっと遠目にカウンターテーブルの辺りで様子を見てたんだけど。なんだかその男。親身な感じで妹さんと話をしていたわ。それでそのままお店の外に行ってしまったのよね-」


 そこでホワイエットの足取りがわからなくなってしまったを俺は悟った。そして俺はその情報も漏らさずに書き残しておいた。あとでイリエに渡せば何か糸口がつかめるかもしれないと思ったからだ。


「ふぅ……うーん……。もうちょっと煮詰めたいんだけどいいか?」

「いいわよー」

「その男の顔は覚えているよな?」


 彼女が接客業という仕事をしているかぎり人間観察はしているはずだとふんでの質問だ。すると。


「ええ、青の目に二重のまつげがちょっと短いのかな? ほうれい線は少しあったから30~40代かなっておもったわ。あ、眉も金色だったわね。それで唇はちょっと肉厚が薄くて乾燥気味な感じだったわね。耳に金色のリングのピアスをつけていたわ」


 俺の予想通り以上にラミアさんは鮮明に男の顔を覚えていたようだ。これを元に似顔絵ができそうだと思い。俺はサビに面と向き合ってある頼み事をすることにした。


「サビ。お願いがあるんだ。ここで絵を描いてもらえないか?」

「へー、サビさん。絵が描けるの?」

「ああ、妹のホワイエットの肖像画書くのが得意なんだ。ほら、これがサンプルだぜ」

「わぁ……綺麗な絵……。ねぇ、これって売り物になるんじゃない? サビさんの絵からもの凄く才能を感じるわ……!」


 ちょっと興奮した様子でラミアさんがサビの画力に評価を入れてくれている。その反応に対してサビは少し照れ隠しといった感じに、帽子を目深く被り直して表情を隠す仕草をしている。ラミアさんは彼女の仕草をみてニコニコと笑みを浮かべ。


「あなたなら似顔絵を任せられそうね。期待しているわよ。これでも私のパパは絵描きなんだからね?」

「ラミアさんは絵を描いたりは?」

「ええ、やっているわ。でもそんな乗り気じゃないかな。だからこの仕事をやっているのよ」


 親子がそうとも限らないのか。ふむ。


「よし、ちょっとここで待っててくれるか。いまから近くの画材屋に行って道具を買ってくるわ」

「えっ……その……」

「ふふ、サビさん。大丈夫よ。お兄さんが貴方を置いて行ったりはしないって。ちょうど私は休憩時間だし。美味しいお菓子を食べながらお茶でもしてお話しましょうよ」

「えと……その……」


 その誘いを変わってくれとは無理な相談だ。なので彼女の背中を一押しする事にした。


「絵の勉強だと思って話してみろよ」


 とサビに耳打ちすると。彼女はこくりと小さく首肯してくれた。とりあえずこれでよし。


「じゃあ行ってくるわ。すぐ戻ってくるし。ラミアさん。サビの事お願いしますね」

「はーい」

「いって……らっしゃいませご主人様……」

「ねぇねぇサビさん。そのご主人様ってどういう意味なのかしら!?」

「あぁうぅ……」


 まぁ、自分1人でも少しだけ話せるようになってくれることを期待しておこうかな。

明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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